『秋恋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
オレンジ色に染まった森の中を歩く。その横顔を盗み見る瞬間が何より幸せなんだ。近くて、遠くて、触れると壊れてしまいそうな絶妙な距離感。もどかしくて、苦しい。もういっそのこと全部ぶちまけてしまいたい。迷惑だろうと構わない。この胸の内をあなたに曝け出したい。頭の中の悪魔が今日も囁いてくる。
でも、あなたの答えはもうわかってるから。
「最近涼しくなってきたよね」
「そうだね」
こんな無難な会話しかできない。こんなに近くにいるのに。出会ってからもう半年も経った。あなたは何にも気づいてくれない。それか気づいてても無視してる。
そんなあなたが憎らしくて堪らない。
冬になったら、凍えるような世界に一人で放り出すくせに。どうして私はあなたのものになれないのだろう。
少し冷たい風が吹いた。私は行き場のない右手を、そっとポケットに仕舞い込んだ。
【快感】
シールがきれいに剥がせたり
適当に入れた水が分量ピッタリだったり
「秋恋」(一行詩)
秋恋の灯籠を宛に探す姿
◆
嫁入りの文を読む 秋恋の訃
◆
秋恋の誘いに茶を濁す
◆
秋になると毎年彼女のことを思い出す。
高校生のころ好きだった人。
┄┄┄┄┄┄┄┄
僕の友達グループと彼女のグループは仲が良かったからたまに昼休みにみんなで弁当を食べたり、何度か大人数で一緒に遊びに出掛けたりもした。
でも、それだけ。
彼女はいつも友達のそばでニコニコしてるばかり。あまり自分からは話をしない人だった。
僕も内気なほう。男友達になら普通に話しかけられるが相手が女子となるとさっぱりだ。
僕は彼女のことをほとんど知らない。
知っているのは彼女が友達とよく盛り上がって話しているドラマのタイトルくらい。少しでも彼女に近づきたくてそのドラマを見てみたがありきたりな恋愛もので彼女と語り合えるほどの興味は持てなかった。
彼女のことを知りたい、話したいとは思うものの話すきっかけが掴めない。友達に彼女のことが気になっていることは伏せつつ相談したが、きっかけがどうとかそんなことを考えていたら一生話せないぞと笑われた。
いつ彼女に話しかけるか考えるばかりで一日一日は過ぎていった。
考えすぎてもうわけがわからない。
恋愛って難しい。
なぜ他人の恋愛は心底どうでもいいのに自分の恋愛となると頭の中がそれでいっぱいになってしまうのか。
恋愛なんてしなくたって生きていけるのに。付き合えるかも両思いになれるかもわからない人間のことを考えるより晩ご飯のメニューに思いを馳せるほうがよっぽどマシだと思っていたはずなのに。
2年生の秋、中間テストを来週に控えた水曜日の放課後に昇降口で彼女と目が合った。
彼女がいつも一緒に帰る友達は体調不良で欠席。僕の友達は部活が休みだからみんなでカラオケに行くんだとダッシュで帰ってしまった。
駅のほうだよね?
急に聞かれて驚いた。一瞬なんのことだかわからなかった。回らない頭をどうにか動かしてその問いに頷いた。
一緒に帰ることになってしまった。
これはもう負けイベだ。こんなに突然出された難問、勝つほうが難しいだろう。
しばらくはやっと暑さが和らいで過ごしやすくなったことや趣味など当たり障りのない話をしていたが、その会話のレパートリーも尽きて静かに2人で歩いていた。
駅がもうすぐ見えてくるというところで彼女に遠回りをしないかと提案された。どこに行くのか聞くと内緒だと悪戯っぽく笑いかけられてしまった。全身が途端に脈を打つ。
会話のネタは相変わらず思い浮かばず、気まずさに耐えながら彼女についていく。駅を超えたらもう僕は知らない道だ。駅前のビルに囲まれた道を抜けると住宅街だった。下町風情の残る古い家が多い。毎日近くまで来ているというのに知らなかった。
そこからまたしばらく歩いて河川敷に出た。遊歩道こそ整備されているがその両脇には草が生い茂った跡が残っていた。夏は背の高い草に囲まれるのだと彼女が教えてくれた。
もう元気のなくなった草たちと妙に高い空、それに長袖のシャツを通る風がもう秋なのだと強く訴えていた。数ヶ月前より広くなった世界で少しの寂しさを感じた。
2人で遊歩道を歩く時間は一瞬だったようにも永遠にも感じられた。
┄┄┄┄┄┄┄┄
7年前のこの時期だったなと思い返しながら当時とは似ても似つかない暑さと夏の圧迫感に寂しさを掻き消された。
これでいいのかもしれない。
どこで聞いたっけ
満月に願ったことは叶うらしい
こんな湿気った気持ちが
秋と一緒にすんなり
晴れてくれるわけない
花畑を根っこからへし折って
元の世界に戻ってきた
短い夢の途中で
いつも息ができなくなって
気づいたら
風が少し緩くなってる
本当に夏が終わった
『秋恋』
この季節、私は世界で一番美しく在れる。
どんなに強く輝いていたって、
見えなければ無いのと同じでしょう?
私だけがここに在る。
他の奴らなんて目じゃ無いわ。
今この場にいるものたちの中で、私が一番輝いている。
だからどうか目移りしないで
南の空を見つめなさい。
18番目の輝きだって、今ばかりは一等綺麗な筈だから。
秋の夜は魚の口に恋をする。
フォーマルハウトはすぐそこに。
この1週間で一気に
涼しくなった北海道
昨日、大雪山系(旭岳)から
紅葉のニュースが届いたら
今日は、同じく黒岳の山頂から
初冠雪のニュース!
北国の秋は、足早に過ぎる
わたしは『秋恋』を
よくわかってない、けど
なんとなく淋しい感じがする…
でも、良かったー!
北国で!
まー
秋恋って言葉あるのか。
夏よりは出だしが難しそうだが、暖めるまで時間があって長続きする恋になりそうだ。
夏休みに会えなかったけど、文化祭もクリスマスも年末年始も一緒になれるかもしれないんだ、お得だな。
【秋恋】
前までわたしのこと好きでいた後輩くんのことを好きになってしまった🤦🏻♀️あの人に会わなかったら今頃後輩くんと付き合えていたのに🥲🥲これからわたしの片思い生活が幕を開く🎶
︰秋恋
秋が恋しい。
姉ちゃんがいなくなって二年は経つ。だから、もう原材料名の確認をせず好きなようにアイスだって選べるし、ケーキだって好きなの選んでいいし、姉ちゃんが好きじゃないって言ってたモナカだって好きに買える。
姉ちゃんは卵アレルギーだったから、原材料に卵が使われているものは食卓に並ばなかったし、卵料理を食べる機会も少なかった。それが普通だったから卵が食べたいと思ったこともあまりなかったし、姉ちゃんが幼稚園へ通うようになってからはお昼に卵かけご飯を食べたりもしていたから特別卵に飢えてるわけでもなかった。
姉ちゃんが飲んでるペットボトルのジュースを分けてもらったことがある。一口もらって返して、姉ちゃんが飲んでから「痒い」「ピリピリする」って不安そうな顔で言た。自分がさっきまで卵が入ってるものを食べていたことをすっかり忘れて、ペットボトルに口をつけたから、それで痒くなったんだ。「やっちゃった……!!」って思ったよ。
バイキングに行ったとき、姉ちゃんが取ってきたデザートに卵が含まれていたらしくて嘔吐したことがあった。そこで「卵入ってたのかな?」ってポロっと言ったら親に怒られた。多分、言っちゃいけなかったんだと思う。
配慮が足りてなくて姉ちゃんを傷つけることいっぱい言ったしやったんだと思う。なるべく気を遣ってたつもりだけど、やっぱりつもりでしかなくて。
パンも、ハムも、マヨネーズも、ハンバーグも、チキンも、アイスも、ケーキも、クッキーも卵が入ってないやつ。嫌じゃなかったよ。なんならケーキは卵が入ってないほうがさっぱりしてて食べやすくて好きだ。マヨネーズよりマヨドレのほうが好きだし、パンも卵が入ってない方が好みだし、ハムだって、クッキーだって。姉ちゃんと同じものを、同じように食べられるのが好きだよ。
姉ちゃんが好きじゃないって言ってたモナカも好きなだけ選べるし、こっちのほうが好きって言ってお菓子はチーズ味ばっか食べてたけどサラダ味を選べるし、もう卵が入ってるか入ってないか確認せず好き勝手に手にとってカゴに入れて買えばいいんだ。オムライスだって、もう、食べられる。いいなあって眺めてたオムライス、もう食べちゃったよ。美味しそうだなぁってショーケースを眺めてるだけだったタルトだって食べちゃった。美味しかったよ、すごく美味しかったんだ、ごめんなさい、自分だけ。
もう好きなだけ食べられるんだ。姉ちゃん。
姉ちゃんはさ、美味しいの、食べてるのかな。口にして痒くなってないかな、気持ち悪くなってないかな。姉ちゃんは薬が嫌いだから、痒くなってもなかなか薬食べようとしないんだよ。もうこっちのほうが不安になっちゃってさ。
姉ちゃん、美味しいの、お腹いっぱい、食べて――。
少し冷えてきて、もうすぐ冬が顔を見せるくらいの秋の頃、公園の塀に二人で並んで座ってソフトクリーム食べたんだ。
「これ美味しそうだけど卵入ってる、くそー」
「こっちも卵って書いてる」
「もしかして食べれるやつない?」
「あ、このソフトクリーム卵入ってない!」
「よっしゃそれ食お」
「じゃあこれ二つレジもってこ」
姉ちゃんは文句を言ったりしない人だって知ってる。はんぶんこできなくても、食べたいならそれ食べていいんだよって、卵入りのを好きに食べていいんだよって言ってくれた。その上姉ちゃんは自分の分を先にこっちに渡して少し食べさせてくれた。自分は貰うのに自分の分をあげられないのが悲しいからなるべく卵が入ってないやつを選ぶようにしてたんだ。だってはんぶんこしたいじゃんか。
それよりは、おんなじものを美味しいねって言って食べる方が好きだ。お揃いのもの買って食べるのが何より好きだ。
秋が終わる頃、アイスを食べたらもう寒いくらいの頃、二人でソフトクリーム食べたよね。寒いねって言いながら、姉ちゃん、美味しいねって笑ってた。
もう卵表記があるかなんて気にせずアイスだって手に取れる、好きなだけ食べられる、姉ちゃんが好きじゃないって言ってたモナカももう好きなだけ選べる。
それが……悲しいのかな、苦しいのかな、寂しいのかな。
気にして選んでた頃が恋しい。あの秋が恋しい。二人でアイスを探してたあの頃に帰りたい。
でもきっと薄情なんだ。卵入りのを好きなだけ選んで食べられるのが嫌だと思わないから。姉ちゃんごめんなさい。酷いこと思ってて。嫌なこと思ってて。
秋恋あまり聞かない言葉ですが、秋に始まる恋って長続きがしやすいという説があるらしいです。
理由としてはいくつかあるらしく…
秋以降は季節ごとへのイベントが豊富である。
人肌が恋しくなる季節。
食欲の秋という言葉もある通り食事が美味しいから。
秋の夜長にじっくり語り合える。
と色々あるらしいです…。
確かに、秋からはイベントが豊富ですね!
ハロウィン、クリスマス、大晦日、お正月…。
学生さんならば文化祭もしくは体育祭が秋、冬頃にありますね!
食事が美味しいからは関係あるのか?と思って色々調べてみたのですが、胃が満たされると、自然と満足感と幸せを感じることが出来るからだそうです。
夜長で話せるのも相手のことを理解する事ができる機会作りになり、自然体の自分でいられるからだそうです。
暑い季節だとスキンシップとかって暑くて嫌になりますが、寒い季節だとくっつきたくなってスキンシップが増えるので長続きしやすいみたいですね!
ですが、最近は秋という季節が無い感じで暑いですし、どうなんだろ?と思いますw
どちらかと言うと、寒い季節にする恋は長続きする説の方が信憑性が上がる気がしますw
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今日もお疲れ様でした!
私も早く恋がしたいというか、彼氏が欲しいです!!ここ最近ずっと言っているのですが…いつ好きな人ができて彼氏ができるのでしょうか…w
この秋に是非ともしたいです!w
そんな急に好きな人が出来て付き合いましょうは無理でしょうけど、少なくとも今年中に欲しいな〜とか思ったりしてますw
最近、彼氏が欲しすぎてタロット占いだとか色々みちゃうんですけど、月末、もしくは月の初めに出会えるみたいな結果でサインは雷の音を聞いた時だったので、あまり信じるタイプでは無いのによく雷の音を聞くというのもあり、何故か最近ソワソワしていますw
ちなみに、私は小学校の頃1度恋と言っていいのか分からないようなものを体験した事がある以外で恋と言うものをしたことがないんですw
だから、好きという感情が分からずできるのか不安という部分も少しありますw
しかも、その小学校の頃した恋のようなものが周りに広まってなんなら私の学年の人はほぼ知ってるくらいに広まり、いじめ的なものにあったというのもあり恋というものに抵抗感があって今までしようという気になれなかったのかな〜とか思ったりしています。
今はまだ恋はしていないですし、まだ不安がありますがとりあえず相手が欲しいなってところですねw
逃げるにしろ何にしろ相手がいなければ始まりませんしねww
ちなみに、好きな人の話とかはどんなに仲が良くてもあまりしない方がいいですw
私はそれで広まり虐められましたので…。
どうしてもするのなら、大親友的な人だけで止めておきましょうw
まぁみんながみんな話してバレて虐めてくる訳ではないと思いますけど、虐められる可能性もありますので…w大人になっても人は恋愛の話になると騒ぎ立てますからねw
今日も読んでくださりありがとうございます!
おやすみなさい!
【秋恋】
あれは、恋だったのだろうか
去年のちょうど秋と冬の間頃、
ある子に恋をした
その子は、言うなれば私の憧れで
手を伸ばしても、逆立ちしても、
命を懸けようと、届かないくらい
何もかも私とは違う子だった
だから、話せた時は嬉しかったな
同じ世界に立てた気がした
世界が違うと思っていたその子は
意外とすぐ近くにいたみたいで
趣味や話があって、楽しかった。
自分が自分でいていいって
初めて認められたようで
毎日が楽しいって思ったのはいつぶりだろうか
でもその恋のような感情のせいで……
いや、それがなくても
同じ結末だったのかもしれない
手に入ることの無いあの子を追いかけていたら
つなぎ止めていた親友を……
最近、ずっとその話ばっかだな…
やるせない気持ちがずっと自分の中にあって
吐き出しても
吐き出しても
吐き出しても
呪いみたいにずっとあって、苦しい。
どう解けばいい?
罪を犯したのだろうか、人の目が怖い。
どう償えばいい?
病にかかったのかもな、頭がそれだけに侵されてる
どう治せばいい?
誰かに恋をする友達を見て
空っぽな自分と比べて絶望する
何かに真剣に頑張る兄弟を見て
何かに阻まれて力が抜ける
感情が高ぶって泣く先輩を見て
冷静で仕方ない自分が嫌いになる
そしてその全貌を改めて見直して
やっと泣ける……
この呪いは、罪は、病は
親友が壊れてからずっとだ。
親友が離れた瞬間もっと酷くなった。
嘘は武器、笑顔は盾
離れていったのはもう笑い話。
無理をするのが当たり前になった。
疲れた、なんて気づいている時点で浅いんだ
もう少し頑張れる
身体がフラフラする、でも動けるなら
まだ大丈夫だ
笑顔が少ないって言われた、考え事をしてただけ
私は笑えてる
苦しくなったら来るって約束だったよね
まだ苦しくなんてないから
君は疲れていそうだね、
少し休んでいったらどうだい?
十分頑張っていると思うよ。
私はもう少し行ってくるよ。
大丈夫。
辛くなったら来るから。
秋恋ってなんだ
秋恋を始めるみんなへ
飽きが来ないように、相手を想おう
今年も秋は来るよ
秋恋
少しだけ、涼しくなった風が、
庭に咲いている、
秋桜の花を、
そよそよと揺らす。
薄紅色の秋桜。
可憐で何処か華奢な、
その姿に、秋を想う。
夏が終わり、
秋がやってくる。
秋の空。秋恋。
行き場を失った、私の恋心。
花言葉に私の想いを託して、
忘れられない、想い出の彼に、
黒い秋桜を贈ろうかな。
黒い秋桜の花言葉は…。
『移り変わらぬ気持ち』
例え貴方が、
私を忘れてしまっても、
私はまだ…。
貴方を、愛してるんだ。
「ここが年貢の納め時だ、魔王よ!」
勇者は魔王軍の幹部を蹴散らし、玉座の間までやって来た。
魔王を守るもの誰もおらず、まさに絶体絶命である。
だが魔王は追い詰められているというのに、不敵な態度を崩さない。
それが勇者には不気味だった。
「魔王よ、ずいぶんと余裕だな。
確かにこちらも少なくない犠牲を払ったが、お前もそれは同様だろう。
それとも何か秘策でもあるのか?」
「そんなものは無い。
ただずいぶんと大事になったと思ってな」
「フン意味の分からないことを……
まあいい、お前を殺す前に一つ聞きたいことがある。
なぜこんな事をした?」
「どういう意味だ?」
魔王は、勇者の問いかけに意味が分からないと首を傾げる
「お前はもともと一般人だと聞いている。
そして平凡で、大きな不幸の無い一般的な過程で育ったそうだな。
そんなお前がなぜ世界を恐怖に陥れるような真似を?」
「ククク、では語ってやろう。
我を壮絶な過去をな――」
◆
あれは、3年前のこと。
我が勤めていた会社の同僚に、気立てのいい女性がいた。
誰からも好かれ、気が利いて、我とは対照的だった人物だった……
そんな彼女に、いつの間にか我は恋に落ちてしまった。
だが日陰者の我と、人気者の彼女。
眩しい彼女に近づくこともなく、遠くから眺めるだけで満足していた
だが日に日に思いは募るばかり。
我はある日、決心をし告白することにした。
仕事上の都合で交換したLINEを使って……
だが断られた。
当然だな。
業務連絡以外に、何も話したことは無かったからな。
だから我も、玉砕覚悟で告白した。
断られてもすぐ引き下がるつもりだった。
だが自思っていたよりも、自分は往生際が悪かったらしい。
断られた後聞いたのだ
『どんな男が好み?』かとね
そして彼女は答えた。
『大事にしてくれる人』と……
◆
「と言うことだ勇者よ……
我は彼女にふさわしい男になるため、魔王として君臨して――
聞いているか?」
「あ?
ああ、聞いているけど、聞いたけど」
「なんだ歯切れの悪い……
ハッキリしろ!」
「少し待ってくれ。
頭の中で整理してる」
そういうと勇者は腕を組んで考え始めた。
誰にも聞こえないような小さな声で、勇者はぶつぶつ何かを呟く。
そして唸ることしばし、ようやく勇者は顔を上げる。
「やはり、さっきの話がどうにも繋がらない……
なんで『大事《だいじ》にしてくれる人』て言われて、魔王になるんだ?」
「何を言っている?
彼女のタイプは『大事《おおごと》にしてくれる人』だぞ」
「『おおごと』!?」
勇者は叫ぶ。
真実があまりにも予想外の事だったからだ。
「絶対にない!
好みのタイプがトラブルメーカーなんて、そんな奴いるわけないだろ!」
「ふん、彼女を愚弄するか?
おそらくだが、彼女は平凡な人生に飽きたのだ。
だから――」
「仮にそうだったとして、お前には言わんだろ。
仕事上の付き合いしかない、親しくないお前には……」
「そんなわけ……」
「親しくないから、当たり障りのない『自分を大切にしてくれる人』って』言ったんだろ」
それを聞いた魔王が椅子から滑り落ちる
ようやく気付いたのだ
自分が愚かな勘違いをしていたことに。
「で、では、我がこれまでしてきたことは……」
「全くの無意味」
勇者の言葉が魔王の心を砕く。
それは、彼女の言葉を支えにして生きてきた魔王にとって残酷な事実であった。
「フフ、フハハハハ」
「どうした?
あまりのショックでおかしくなったか?」
「殺せ。
もう生きていけない……」
「殺すつもりだったんだけどなあ……
あんまり憐れすぎてやる気なくなったわ」
こうして世界を巻き込んだ大騒動は、魔王が恥をかくことで終結した。
騒動の規模の割にはあっけない終わりであったが、世界が平和になったことに人々は安心した。
そして世界中の人々は、平和のありがたみを感じ、家族を大事にしようと心に誓うのであった。
秋恋
秋には秋の色をした
男を見つけて恋をする
ヤボだね おまえはいつまでも
私を追いかけついてくる
バカバカしいのよ
お前の愚痴など 聞きあきた…
アン・ルイスカッコイイよね
あの頃は ストーカーなんて言葉もなかったけど、本当近頃は気持ち悪い男も多くたまに女もいるからたちが悪い。
誇大妄想気味で必用に追いかけて来る執念の怨念は、難破船の怨歌か?ヤベーな、どんなけ陰湿(笑)
せめて 少しは
格好つけて くれ
潔く 恋は引き際が肝心
令和6年9月21日
心幸
秋恋
俺は秋が好きだ。あの子を思い出すから…
秋ちゃん。なんと10月生まれで好きな食べ物は焼き芋。秋そのものの精霊みたいな感じ。
あの秋はとても濃い秋だった。俺の初恋だったから。
秋ちゃんの顔は別に特段可愛いわけじゃないんだけど、笑顔が素敵で話が面白くて。好きになっちゃうのも無理はないね。
そのまま告白にいったんだ。そしたら、「えっ。ちょっと考えさせて。」
もう折れた。死んでくる。って脳内の声は言ってた。現実の俺の声はあっ、えっ、うん。とかだったと思う。
だいぶ長い事悩んで「いいよ!」って言ってくれた。俺は下げてから上げるという女の子のトラップに引っかかったと思った。「でも、私と付き合ったら幻滅しちゃうかも…いい?」勿論!!
それからは一緒に焼き芋焼いて食べたり、一緒に課題したり、一緒にカラオケ行ったり。楽しかったな。
冬の足音がもう背後まで迫ったころ。秋ちゃんがこういった。「ねぇ。私達、別れよう?」
おかしいな。周りの音が聞こえない。目の前がまっくら。手汗がだろだろ。
なんで?と喉を絞って絞って声を出してみた。
「えーと。付き合う前から決まってたことなんだけど、私、引っ越すんだ。☓☓県まで。」
息の吸い方も、舌の置き場所も、目の動かし方もわからない。
そんなの嫌だ!他県に行っても俺は…!俺は…!「仕方ないなぁ。じゃあ、二十歳の秋になったら、迎えに来て。約束ね?て、忘れてるだろうけどw」
忘れるわけないじゃん。
あれから5年。俺は大きくなった。今夏だ。残暑に苦しめられてるけど全く暑くない。
ああ、早く秋、来ないかな。秋来い!!
「待ってたよ。」
彼と夜を過ごす。
夜は隠れることができるから好きだ。
今日一日を彩った予定達も底を尽き、それでもお互いの言葉はなくまだ川沿いを歩いている。
同じクラスの彼と太陽以外を共有できるのは私の特権だ。
まだ私達は背景になれない時間。オレンジ色と紫が混じり合ってそれはそれでロマンチックだ。
同じ時間を過ごして、手を繋いで、思い出すだけでふわふわした気持ちになる。
でもまだ明るさに負けている気がして、欲張りたくなる。
あと一度だけ、動悸が欲しい。彼の恋を私に伝えて欲しい。
お互いがきっと同じ気持ちでこの道を歩いている。
それでもまだ恋愛初心者の私達には勇気が足りない事にも気付いている。
現に理由も会話もなく増える距離がそれを証明している。
これ以上を願うにはこの季節は日が長く、この期待と心拍数を落ち着けるには日は短かった。
それでも彼が私に触れる勇気と、恋の楽しみを知るには最良の季節だ。
『秋恋』
お題: 『秋恋』
周囲を見渡して、私の中の候補としてあがったのが君。
そんな程度だった。
私を好きになってくれないかな〜。
どうしたら惚れさせられるだろう。
そんな感じだった。
なのに、君がこちらの方向を見るだけですごい照れてしまった。
君はえくぼが特徴的。
ひとめ見た時から、惹かれたものがあったのを覚えている。
恋の落とし穴ですか?私は恋をしているのか。
この感情はなんだろう。
まとめられなかった複雑なこの感情は、いまは「恋の真似事」
とでも表しておこう。
触れられた頬に
残る微熱を
涼しい風が
やさしく撫でる
秋