『秋恋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
秋が来るたび思い出す。
あの少女との日々を。
今、あの子はどうしているのだろう。
元気に過ごしているだろうか。
淡くせつない恋は風に乗り届かぬまま遠くへ消えてゆく。
『秋恋』
早く眠りたいのに
勢いよく降り始めた雨の音と
激しい稲光り
そして時折
窓を震わすような雷鳴が
私の心をざわつかせる。
この雨が過ぎれば
夏は押し流されるように去り
秋が始まるのだろう。
そんなことを、ぼんやりと
考えながら
スマホに手を伸ばすと
LINEの通知が表示されている。
「雷、うるさくて寝れねーわ笑」
ぶっきらぼうな、短文が彼らしい。
「同じく…笑」
と、返すとまた直ぐに既読が付いた。
そうして、いつものなんて事ない
やり取りをしていると
ざわついた心は穏やかになり
瞼がどんどんと、重たくなってきた。
「なんか、あんたとLINEしてたら
急に眠くなったわ。おやすみー」
それだけ送信して、私は眠りについた。
まだ、何も気付いていなかった
夏の最後の夜の出来事。
これから彩られてゆく、何もかもを
知らずに。
【お題:秋恋】
秋恋
16歳の時、抗えないまま受け入れた関係があった
たった1ヶ月で散ったけれど、強烈に記憶に残っている
ばいばい、と泣きながら別れを告げてきたのは
16歳歳上の、既婚者の同性だった。
会ったこともない、声しか知らない
けれど、別れた人に私がそっくりだったと
私を通して、その人を見てしまっていたと
苦しそうに教えてくれた
いかに傷つけてしまったか。
風が涼しくなってくると、息が浅くなる日がある
10月2日。あの人の誕生日。
お別れを言うのが、誕生日だなんてあんまりだから
10月3日にした。
素直なあなたは私の、身勝手な弱さを
丁寧に聞いて、絞り出すような了承を発した。
感謝と謝罪と、理屈と道理では押し殺せなかった感情が
人間らしさに塗れていた。
金木犀が香る昼下がり、幸せそうに話すあの人は
私に許され、社会的には罪を犯していた。
忘れられない秋の過ち。
過ちと言い放つには
お互いが弱かった。
心の隙間の形が
偶然にも合わさってしまった。
ぐずぐずになった声の「ばいばい」と
電話の切れた音が
弱さとは何かを学ばせた。
秋風さらりと吹きました
少し冷やせと言わんばかりに
私の背中を押しました
秋が来たら風が吹く
暑さを忘れる風が吹く
さらりとさみしい風が吹く
秋が来たら葉が染まる
炎のように葉が染まる
命を燃やして葉が染まる
秋が来たら虫が鳴く
静かな夜に虫が鳴く
今夜が最期と虫が鳴く
秋が来たら月が出る
ひとりの夜に月が出る
だれかと見たい月が出る
秋が来たら人恋し
生きる孤独に人恋し
愛しき別れに人恋し
〜秋恋〜#6
秋恋____涼しくなって人肌恋しい季節に始まる恋のこと。
「肌寒いなぁ……早く温めに来てよ、」
無駄だと分かっていても、そう言い放ってしまう。
今日も私は線香の匂いを纏って、眠る恋人に会いに行く。
秋恋
涼しい風が吹く頃になり
あなたの服が長袖になったのを見て
夏から秋へとまだ恋は続いているのだと
顔を赤らめた
そんな秋恋
秋なんてあっという間
さっさと相手を見つけなきゃ
クリスマスもお正月ももうすぐそこだよ
なんて話を友達がしてた
あんまりにも真剣に話すから
茶化すのも違う気がした
久しぶりに会ったが
かなり真剣にパートナーを探しているようだった
正直に、いいなぁと思った
その熱は自分には無いものだった
でも何となくだがわかる気がする
気づいたら鳴き始めていた虫の声
肌寒い帰り道
小さな街頭が照らす長い夜
どれもこれも孤独を感じるには十分すぎる
秋は好きだが長い夜は苦手だ
さっさと過ぎて欲しいものだ
でも秋が過ぎたらすぐに年が明ける
その心の準備はまだ出来ていない
多分恋を始める準備も出来ていない
 ̄[秋恋]
秋恋よ
夏の恋とは
また違う
あなたの冬服
影で見る私
高らかに響いた、スタートラインのピストルに
少し長いハチマキが風になびいた。
青天井に、古臭いはずの校舎の白がやけに映えて
あなたが中心の舞台が彩られる。
秋の長雨に秋の夜長、強い西日がつくる長い影。
この瞬間も秋よどうか長くして。
#秋恋
『君を想い続けて何回目かの秋』
「俺秋が1番好き、だって涼しいじゃん。」
そう語っていたよね、
私の君への想いはまだ夏なんだけど?笑
なんてね笑
そしてまた秋が来た
放課後、漫画やアニメでいえば定番の体育館裏で君を見つけた、その時の気持ちはなんて言えばいいんだろう
君はクラスのあのコに告白されていたよね。
その時の君の顔はあの紅葉のように赤色に染まっていた。
そしてそのコの想いは実ったかのようにまるで向日葵のような笑顔になった
つられるように君も笑顔になったよね。
あぁ、私の想いは春になることはできなかったなぁ…笑
君を想い続けて何回目かの秋、私の想いはまるで枯葉のように散っていった。
« 秋恋 »
こうやって少しずつ涼しくなってくると同時に、感傷的な気分になってくる。
暑すぎる夏はそれだけで忙しいのに、気候が快適になれば、物思いにふける暇もできる。
そのせいで、まったくでたらめな思考ばかりが頭を過り、真夜中に流れては消え、瞬いては己を苦しめる。
ただただ暑さに茹だり、寒さに凍えている方が、私の性に合っているのだ。
快適なのが悪なのか。書いて書いて君を想う。もういないのになんて、夏の暑さがあれば思わなかった。
今朝拾ってきた机の上のどんぐり。季節は巡る。君は取り残されたまま、油絵具で描いたような暑さの中、あの笑顔を浮かべたまま。
『秋恋』
秋恋
手繋ぎに
肩寄せに
熱いハグ
夏の間は
おあずけで
秋の涼しさ
感じる頃に
はばかりもなく
ギュッとしよう
秋恋を、君とハグして、季節が変わる
秋恋。それは秋と共にやってきた、
忌々しくて、いじらしい恋。
好きな人に連絡をした
友達と通話しながら返事を待った
何時間だっただろう
既読も返事も来なかった
さすがに次の日には来るだろうと
眠りについた
次の日になっても来なかった
私は不安と心配で頭がおかしくなった
嫌われたのかなそれとも何かあったのかな
私はどうすることも出来ない
ただ待つだけ…
❴秋恋❵
『拝啓◯◯へ
紅葉の色が綺麗に淡くなってくる時季になりました
◯◯はお元気ですか?
私は毎日元気に過ごしております
今度お会いしませんか?久しぶりに昔の話をしたいと
思いまして、、
空いている時間があれば、手紙で送って下さい
お待ちしております
ユキより』
私が最愛の人に送ろうとした手紙、、、
ちょうどこの頃に恋をして、
この頃に書いた手紙
でもそれは、、、
想い人には二度と届かぬ苦い片想いになった、、、
※フィクションです
秋恋、秋に恋する。
私は恋愛にとても疎いので、
相変わらず斜に構えた、求められている内容とは
かなり離れたことを書くだろう。ご了承願いたい。
それでも許されるここの存在はありがたい。
さて、秋のメリットは多種に及ぶ。
やっと灼熱から解放された気候面。
紅葉やコスモス、彼岸花などが見頃となる行楽面。
そして、「食欲の秋」である。
今年はサンマが豊漁と聞く。
ここ数年、「もう漁獲量が戻らないのでは」と
絶望が囁かれるほどだったことを考えれば
とても嬉しいニュースと言えるだろう。
正直なところ、スーパーで従来の2、3倍もの
値段が付いている状況を見るのは辛かった。
言うほど好きな魚ではないのだが、
今年は素直に焼いて楽しみたい気分である。
そう考えている自分を見つけると、
私も無意識に「秋恋」しているのかもしれない。
「指を絡めて 花火」
虫の鳴き声が響く夜。
ドキドキしているのが、バレてしまいそうな距離。
大丈夫。
隣の幼馴染は、花火に夢中で気がついていない。
どこかの神社の例大祭で打ち上げられている花火。
いつまでも暑かった秋は、やっと気温を下げる気になったようで、ここ数日一気に涼しくなった。
だからだろうか。
幼い頃のように、こうしてくっついて座っているのは。
「冷えてきたな」
「そうだね……」
「窓、閉めるか」
立ち上がって、窓を閉めて、また私の隣にくっついて座る。
そうするのが当然だというように。
囃し立てるような虫の鳴き声。
そんなんじゃない。そんなんじゃ、ない。
彼氏彼女の関係ではないはずだ。
それなのに、どうして私たちはどちらからともなく指を絡めるのだろう。
そうするのが、当然だというように。
どういうことなのか、聞きたい。
だけど、聞かなくてもいいような気もしてる。
今さら、言葉で確認するようなことだろうか。
お互いの体温が心地よいことは、わかりきっている。
窓越しの締めの花火。
近づいてくる唇に、瞼を閉じる。
────秋恋
「最近流行ってるハッシュタグ、知ってる?」
「はっしゅ……なにそれ?」
「そこからかよ」
SNSを眺めながら、向かいに座る友人に話しかける。話題提供の一環だと適当なものをチョイスしたのだが、相手は予想外にデジタル音痴だったらしい。思いもよらぬ返答がきた。
「ハッシュポテトなら知ってっけど」
「サクサクしてて美味いよな! じゃなくて」
かくかくしかじか。ハッシュタグというのがどういうものなのかを簡単に説明するも、ふうん、とわかってるんだかわかっていないんだか微妙な反応。まあいい。本題はここからなので。
「『秋恋』ってやつなんだけど。どういう投稿につけるんだと思う?」
「あき……こい?」
眉間にむむっと皺がよる。なんてことはない、秋の風物詩を撮った写真に使われるのだが、乙女チックな言葉選びのため俺も最初は首を傾げた。
「んー」
あまり興味のない話題だろうに、真面目に考えるのは彼の美点。
「さんさんと照ってる太陽の写真とか?」
「その心は?」
「秋が恋しいなあ、ってときに使うのかなって」
「やるじゃん……!」
本来の使われ方より気に入った。採用! と一人盛り上がって立ち上がる。
「太陽の写真撮りに行ってくる」
「ぶはっ。馬鹿じゃねえの」
愉快そうにその肩が揺れる。
「んじゃ、俺はコンビニ行ってくる」
「ハッシュポテト買いに?」
「おう」
「人のこと言えねー!」
ケラケラとふたり笑い合って席を立った。まるで違うもの同士だけど、似たもの同士。十分後には同じ場所に戻ってきて、またどうでもいい会話に花を咲かすのだ。
秋恋 #12
君と迎える初めての秋。
まだ目が合うと照れてしまう私、きっと今の頬は紅葉のように赤らんでいるのだろう