『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『理想郷』
「おたくのご主人、浮気してるわよ」
そう忠告してくる人がいる。
いや、忠告じゃなくてからかっているか、馬鹿にしに来ているのかもしれない。
学生時代も「あなたの彼、他の子と一緒にいたよ」とかよく言ってくる人がいた。
人のことに首を突っ込んで、こちらが揉めるのを期待しているのがまるわかりだ。ワクワクしているのを隠しきれていない。
「あら、そうですか」
と答えると期待を裏切られたと憤慨するのだ。
だが、それも悪くない。
まるで私が、ちょっと突つけばショックを受けて涙を浮かべるようなかよわい人間のようではないか。
少なくとも相手はそう思って言ってくるのだ。
いい、実にいい。
帰宅した夫にそのことを話すと、彼も楽しそうに「いい傾向だ」と笑った。
食後にふたりで仕事道具の手入れをする。
血をふき取って錆止めをして、薬物の補充も忘れない。
私たちがどういう人間なのか知られずに、ごく平凡な家庭だと思われているこの状況は、得難い理想郷のようなものだ。
理想郷…
肉体の無い
ふわふわ~っと
キラキラした
あたたかい場所
あちら側からすると
肉体があり
人との対話や
体温が感じられる
こちら側が理想郷なのかも?
✴️197✴️理想郷
誰もが不安なく生きられる
そんな世の中だったらいいって思うけど
実際は不安な要素がいくつも転がってる
生活のために働く毎日
わたしはわたしをちゃんと生きている?
♪此処にある全ての夢 理想郷が
Oh 叶わない そんな事分かってる
決断の引き金で
生きてるか生かされてるのか
分からないような生き方を
撃ち抜こう
7th Trigger/UVERworld
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いつもありがとうございます。
「理想郷」
花がたくさん咲いている。
お日様の光が全身に当たって暖かい。
何故か僕は全裸だった。ここに誰か現れたら、警察に捕まる!とも思ったが、他の人が来ることはまったく想像できないほど、見渡す限りの緑の丘に、色とりどりの花が咲いていて、うっとりするほど気分が良かった。
僕は、ゆっくりと散策した。花を愛でて、時々聞こえる鳥の声に耳を澄ませ、ゆっくりゆっくり歩いた。
僕は、ずっと痛みに攻め苛まれていた。
だけど今はどこも痛くない。それだけでもストレスがなくて、なんて自由で、なんて気持ちが良いんだ!
これが理想郷というものなんだな。
これから何が待っているかは知らないけど、生まれてここまでで、今が一番良いから、何でも出来るような気がする。
さて川を渡ろうか。
ほんの少し開いた窓から
ひんやりとした涼しい風が入ってきた
壁一面の本棚にギチギチと
音が鳴りそうなほど詰まった本
テーブルの上に広がる読みかけの漫画
行き場がなく床に置いたお盆
香りの良いアールグレイティーにチョコレート
柔らかくも体を支えてくれるソファに埋もれて
体を伸ばして心地の良さにうっとりとする
好きな音楽を止めて
今度はモニターでライブDVDの再生
観ているうちにウトウトし始めて
次に目が覚めたときはどこからか分からなくなる
それも「まぁいいや」と片隅に追いやって
窓の外はいつの間にか暗くなっていて
そろそろ夕飯を作らなきゃと思いながら
またソファにしがみつく
好きな時間に好きな場所で好きなことをやり尽くす
ここが私の理想郷
『理想郷』
私の理想郷は、私の中でしかない
だってこの世は、私好みじゃない
存在しないからそこ、理想郷として存在たりうるんだよ
なんだか禅問答みたいだね
「故郷を探して」
二年か三年ごとに住む街を変えることにした。
実家が無くなり、同級生たちの多くも都会に出てしまって、その街に住んでいない。
だが、帰る場所がないのなら、これから作っていけば良い。しかも複数作っておけば、安心。
軽い気持ちで始めた生活だが、どうやら私には合っているらしい。
そしてわかったことがある。
「この街は、今の私には早かったな」
荷造りを終えて、部屋を見渡す。
ちょうど二年。
この街から新しい街へ。
この街とは違う気候、違う景色、違う文化の街へ。
「子育てするには良い街なんだろうなぁ……」
次の街は、国立大学のキャンパスがあるから大学生が多いかも。同世代との出会いは期待できないかもね。
まぁ、こんな定期的に引越しを繰り返す女と結婚しようとする男がいるとは思えないけど。
「じゃあ、またいつか」
辛い思いをしたわけではないけど、この街にはもう来ないだろうな。
すっかり荷造りと各手続きはプロ級だ。
記念すべき十回目の引越し。
故郷にするのはどの街でも良いはずなのに、故郷にしたい街はなかなか見つからない。
────理想郷
この先は誰だろうと通さない六畳間に「好き」が溢れる
「理想郷」
理想郷
自分が言葉を綴り、
それを世の中に発信できるシステムがあるなんて、
思いもしてなかった。
(しかもこんなに簡単に……!)
私にとって、
ここは小さな理想郷だ。
理想郷
眠るのと気を失うことはとても似ていて
眠ることが怖い
いつか目覚めない日がくると知っているから
私は寝具を持たない
気を失うように寝たいから眠るための準備はいらない
必要なのは頑張ったが寝てしまったという言い訳だ
ああ苦しみのない世界の苦しみはどこにいったんだろう?
たぶん苦しみしかない世界があるんだろうな
#理想郷
ひろと君と僕は図書館で、クジラに飲み込まれた男の、古いお話を見つけた。
男の名まえはヨナ。神さまの言いつけに従わず、船で逃げようとしたら嵐になった。
自分のせいだと思ったヨナが、海に飛び込むと、大きなクジラがやってきて彼を飲み込んだ。
ヨナは三日間クジラのお腹にいて、そのあと吐き出され、今度は神さまの言う通りにした。
「じゃああれも、僕らを見張ってるってこと?神さまに逆らうヤツがいたら、飲み込むために」
「うーん」
図書館前のベンチで、僕らは空いっぱいを覆う、巨大な宇宙クジラを見上げる。
「なんか見張るとか、そんな風に見えないなあ…」
あれはもっと、ゆったりしてて大きくて。
まるで方舟みたいに、僕らを遠い新しい世界へ運んでくれそうな気がする。
そう言ったら、ひろと君は
「僕も」とにっこり笑った。
世界中の人の理想郷は、地理とそこから生まれる歴史、文化によってみんな違うから,戦争になるんだよね。【理想郷】
理想郷を想い描く
胸が締め付けられる
今存在している世界は
苦しくなるほど辛い世界
その現実に早く気づいて
手を伸ばしてあげて
争いの無い世界
自然との共生
人々の調和
哀しみの極限まで無い社会
美しい地球
そこに在るのは美しい秩序
その筈なのに何故・・・
争いは何も産まぬという事を
何度繰り返しても学ばないのか
「理想郷」
理想なんて出てこない、だって理想したって意味無いから。
『理想郷』
目を開けると自分の好きなものばかりだ。甘いお菓子に可愛いお人形、側には綺麗なドレスが吊り下げられている。たくさん悩んで作ったこの部屋は私の好きなものだけで作った。大変だったけど、どこを見ても私の理想。好きに囲まれた幸せな部屋だ。
瞼が重い。
「先輩、依頼された住所ってここですよね。めっちゃ異臭するですけど」
「残念ながらここで間違いない。先に室内の確認だ」
「うわ、中もめっちゃ汚れてますよ」
「食べ物は腐ってるし、部屋はゴミと虫だらけ。服とかもボロボロ、あ奥に誰かいません?」
「この部屋の家主だろう。写真で見た時よりだいぶ痩せたな。ほとんど骨と皮だ」
「えこれで生きてるんですか?人ってこんななれるんですね」
「新薬のせいだろうな。副作用で幻覚などの症状が出るらしい。ここまでとは聞いてなかったが」
「相変わらずヤバいですねウチ。俺もう1秒もこんなとこ居たくないですよ」
「同感だ、早くやることやって帰るぞ」
何か匂う。焦げ臭い。
《理想郷》
乳の川 葡萄酒の泉 ちぎってもちぎっても尽きないパン 常春の花園 迦陵頻伽の歌う声 互いに長大な箸で食べさせ合うような 悟りと隣人愛 ただし、禁を犯して林檎を食べた者は永久追放だから注意するコト
理想郷
一部の金持ちとそれを支える奴隷のごとき労働者。そんな格差社会は金持ちにとっては理想郷だろう。労働者からすれば地獄でしかなくても。
死ぬまで働き続けないといけない人がいる一方で生まれてから一度も働かないでいい人もいる。
死にたいと思いながら生きている人もいれば一度も死にたいと考えたこともない人もいる。
すべての人が幸せな世界などなく誰かの幸せは誰かの苦しみによって支えられている。
きっとこの世界にはそこにいる誰もが幸せに生きている理想郷がある。だけどその理想郷は間違いなく地獄を積み上げて作り上げたものだ。
理想郷とは
想像上に描かれた理想的な世界
らしい。
理想的な世界。ってきっと、争いがなく、みんなの差がなく、平等に暮らせている。
って感じなのかもしれない。
けど、僕が考える理想郷、理想的な世界は、実現できていると思う。
僕がいて、愛する妻と子どもがいて、笑顔で楽しく暮らせている。
ちっぽけだな。って言われるかもしれない。けれど、小さくても幸せを感じられる今の生活が、僕にとっての理想だから。
その理想を手放さないように、僕は頑張りたい。
この地球に生きているありとあらゆる生き物がお互いに助け合い、争いのない愛と調和に満ちた世の中が理想郷だ。