『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
自分だけ 理想郷には 馴染まない
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世界のあらゆる所で考えられた理想郷の一覧を見ていた。
飢えも貧乏も怪我も病気も老いも喪失もないその世界に、私と同じ俗人がいるならそこは理想郷だろうか。私と違う聖人がいるならそこは理想郷だろうか。誰もいないならそこは理想郷だろうか。
孤独を寂しがる心と、他人と比べる心を抜いた私は私と言えるかしら?
理想郷
君と笑って
歌って
踊って
1日が過ぎるそんな日が
続けと願う夢を見ては
線香を焚く
この場所は君と僕の理想郷
子どもの頃は大人の世界が理想郷だったな
子どもは親に自由を制限される一方大人は自分で稼いだお金でなんでもできるなんて思ってた。
実際は子どもの頃の方が自由だったなんて思いもしなかった。
でも大人も不自由なりに自由を楽しめるし案外人生って楽しいものなのかも
<理想郷>
もし理想郷というものが実際にあるとしたら、私はその存在を他の人に教えるだろうか。
多分教えないと思う。その場所を自分のものだけにしたいと思い、徹底的に隠し続けるだろう。
だから私みたいな人間の前には理想郷は現れない。理想郷というものは、この世に存在する全ての愛おしい人々が住まうべき場所。私ができることは愛する人たちがそこに行くことだけだ。そうやって思い続けていくことで、秘匿しようという思いは長い年月をかけてきっと消えていく。
不可能の希求は徒労に終わるだろうが、それでもこんな理屈を捏ねて諦めるよりも、愚直に進み続ける状況の方が幾分理想郷には近いと思った
理想郷
自分が描くものは何?
理想に近づいたあと
自分はどんな気持ちでいるのかな
もし心から笑顔になっていたら
きっとそれは
叶うのかもしれない
テラリウムやアクアリウムを育てるみたいに、地球を観るのがすきな宇宙人たち。
「うんうん。ゆっくりだけどオゾン層、回復していっているね。」
「50年もしたらオゾンホール塞がりそうだね。」
「あとは中の二酸化炭素濃度か。」
「ちょっと濃すぎかな?温度が高めだね。」
「でも人間たちがまた気をつけはじめているからね。オゾン層みたいにきっとよくなっていくよ。」
「そうだね。ボクとしては酸素を出す植物をもっと増やしてほしいね。」
「人間は、ハラスメントっていう感覚の違いから起きる不快な状況も、理解し、改善していこうとしてるよ。」
「そうそう。性別に関する固定観念もなるべくなくして、柔軟にものを見る努力もしているよ。」
「おもしろいねえ。」
宇宙人たちは顔を見合わせて笑う。
「でもさ…
この戦争とか、侵略とか、
どうにかなんないの?」
「地球のあちこちで起きるね。」
「いつまで経ってもなくならない。」
「くだらない。」
「これだけは理解できないねえ。
せっかく作ったきれいなものも台無しにされちゃうし。」
「なんとかなんないのかねえ。」
「ボクたちは観るだけで一切の手出しはだめなルールだからね。」
「まだまだ理想のかたちは遠そうだねえ…。」
「でもきっと理想を捨てなければ変わっていけるさ。人間の多くは平和がすきなんだ。だからこそここまでの変化があったのだろうから。」
「そうだね。
そうであってほしいね。」
青い地球をただ見つめて、そんな話をして、また見にこようね。と言う宇宙人たちなのでした。
「理想郷」
至福。安寧。平穏。
それらに反した要素で、日常化が絶えず続いている。
だからこそ人は夢を見る。
果てしない自分の楽園を、恋するように求めて。
【理想郷】
私は日本に生まれて良かったと思っている… 島国であり山がたくさんあり貴重な水もたっぷりある 美しい四季も感じられるし 全国各地素晴らしい特産物もある 気候変動でビミョーになってきているが 世界的に観て 日本は理想郷だと私は思う…
ポポヤ
A「なあ、理想郷(ユートピア)って言ったら何を思い浮かべる?」
B「ユートピア?そりゃアレだろ。楽園(エデン)と同じさ。仕事がない、何もしなくてもボーッと暮らせる場所!」
C「そうかな。退屈すぎてつまらないんじゃない?」
B「じゃあお前はなんだよ?」
A「そりゃ酒池肉林!これに限るね」
B「煩悩丸出しだな、周りのことを考えてない」
C「理想だろ?だったら自分だけが永遠に楽しめる世界でいいじゃん。フィクションだし」
A「じゃあ、お前の理想郷に他の人はいないんだな」
B・ C「え?」
A「理想郷は?と聞いたとき、いま一番欲しいものを上げる人は多い。そしてそれを現実と地続きの空間として考える人は少ない。休みが欲しい人は天国、楽園のイメージで『何もしなくていい場所』。自分の欲望が満たされてない人は貴族的な『快楽と淫靡にまみれた世界』」
B「オレたちみたいに?」
A「そう。逆に仕事が楽しくて仕方ない人は『仕事が楽しいからそんなもん要らない』って言ったり、家族が大好きで現実に満たされてる人は『ここが理想郷だよ』なんてことを言う」
C「んーつまり?」
A「『人にはそれぞれ地獄がある』と言った人もいるけど、人にはそれぞれの理想郷があるんだ。そしてみんなそこにはたどり着けないと思っている」
B「まあ理想だからな。理想が現実になったら、もっと上に理想を設定するから?」
A「そう。理想郷は自分が『いま持っていないもの』の象徴だから、そのときどきで変わっていくんだ」
C「ないものねだりなんだね」
A「人それぞれ理想郷が違うってことだけでも知っておきたいよね。その人が何を求めてるかが知れる」
B「それぞれのゴール設定が明確になる、か」
A「そして現実が楽しい人は『理想郷なんか必要ない』って言う。持ってないものを数えないんだ」
C「そんなに達観できないよ」
A「…だからかな。現実を地獄だと思う人が多すぎる」
B「いまの若者に自由やお金がないのは事実だろ」
A「持ってないものに嘆くより、一回持ってるものを数えてみるんだよ。若い人は若さ、年配の人は経験…」
B「虚しくなるだけだ」
C「なんかわかるかも。僕にはこれだけ話せる友達がいる」
A「そうそう、こんなバカ話ができる時間がある」
C「もしかしてここは理想郷?」
B「バーカ。バイト中に何言ってんだ」
…コンビニバイトの夜は長い。
あなたの理想郷は、目の前にあるかもしれません。
テーマ理想郷
理想郷とは?
私の理想郷は君が
自由に暮らす世界
君が気ままにゴロゴロ
のんびり昼寝できる世界
理想と現実は
ままならない
お題『理想郷』
いわゆる異世界転生というものを果たしてから、オレの人生は最高だった。当然だ。前世では、学校ではイジメられ、家では両親は出来のいい弟ばかりかまけていたからオレの居場所なんてないに等しかった。
転生してもオレの容姿はよくならなかった。それなのに最初からやさしい両親がいて、かわいい幼馴染がいた。
成長して、オレは大して努力しなくても魔法の力が強くて王都にある学校で勉強して、かわいい女の子にも何人か会った。
いろいろあって旅をすることになって、なぜかメンバーが幼馴染を含むかわいい女の子で固められて、そして彼女たちは皆、オレの妻になった(この世界では一夫多妻制が認められてる)。
大して努力しなくても、オレ自身が強くて、かわいい女の子からモテまくって、こここそがオレにとっての理想郷なんだと思う。
「あれ、オレこの物語読んだことあるぞ」
と一瞬思ったが気の所為だということにしよう。
理想郷
今の私に理想などない。現在は郷を離れているが、離れたからこそ郷の良さを知った。空気の味がおいしいところ、時間がゆっくり流れているところ、料理に深みがあっておいしいところ、親戚がたくさんいて和気あいあいに話せて楽しいところ、学生時代の思い出がたくさん詰まっているところ。あの頃は気づかなかった良さ、居心地の良さを知った。
そんな私だが、やはり昔の自分には理想があった。すぐ電車がくるような都会で、若者が集まる原宿などのお店に学校帰りに行って…。もちろん理想を持つことは自由だが、理想というのは自分が得するようなことだけを集めた夢に違いない。
私は暮らしに理想を持つことをやめ、今の暮らしをいかに充実させたものにするかを考え、想像することにした。
あ う〜まだ残ってる
い やらなくて良さそうなのは?
あ いや、ぜーんぶやる!
い 頑張り過ぎだよ
あ 後で、まったりしたいし
い でもさ…
あ 決めたからさ!
い なら、いろいろ言わない方が…
あ え?
い 幸せ逃げちゃうよ
『理想郷』
絵に書いたような理想郷
誰もが幸せになる世界
そんなのを夢見ていた。
そこには妖精も居たらいいなって思う。
そんな夢は一夜にして父親によって
火の海に消えてなくなったけど
私はまだ理想郷を諦めていない。
いつか理想郷を作るまで
─────『理想郷』
「理想郷」
理想郷を作りました
小さな盆に自分が理想像とする社会を
憎悪ばかりが産まれる
現実から目を背け
小さな理想郷に逃げ込む
理想郷なんて何処に作っても
憎悪が蔓延してしまえば
理想郷を作ったて意味が無い
理想郷の社会なんて
何処にもありゃしないんだ
「人と妖とが共存する国が昔あった」
そう語りだしたのは作家を目指している三十手前の男だった。名前はたしか……神木優? だったか?
「その国は妖を許さないとある宗教によって滅ぼされた」
今は彼の考えたプロットの話を、とあるカフェのテラス席で聞いている。
「国を作っていた妖の女王は殺され、人であった女王の愛人は再建させるために奮闘した」
目をつむり、頭の中で想像しているが、さほど面白くない。
「が、復興する前にまた人類が押し寄せ、愛人は殺され国は滅亡した」
フワッとした作品より、もっとキャラクターの顔が思い浮かぶような作品を作ればいいのに。
「愛人は死後、黄泉の国へ行くと妖の女王が人と妖の共存する国を作り上げ、皆笑い楽しそうに暮らしていた」
どうだい? と彼は聞いてくる。
俺は煙管に煙草を刺して火をつけ感想をのべた。
つまらん、と。
『理想郷』
2023年8月1日午前9時ごろ
患者 あさがお
〘最近はどうでしたか?〙
そうですね……特に変わったことはないです。
先生にお話するようなことはなにも。
〘些細なことでも構いません。夕飯が美味しかったとか、道端で野良猫を見つけて和んだとか、そんなことでもいいんですよ〙
……あ。
そういえば昨日、7番街にあるバーに行ってきました。
〘誰と?〙
知人…いや、もっと離れた人ですね。名前も知りません。たまたま会って、たまたま一緒に飲んだだけです。
〘バーというのは?〙
先生は下の街を見た事ないんでしたっけ。えっと、麒麟っていうお店で、きりんさんという方がオーナーをやっているそうです。
下の街はここと違って物価が安いので、私もたまに行くんです。
この話、主人には言わないで頂けると……
〘もちろん。私にも守秘義務があります〙
よかった。下に行っていた、なんて知れたら何されるか分かったもんじゃないから。
〘下は治安が悪いですから〙
…先生、それは違いますよ。
下の方たちは無関心なだけです。
私にとってはここの人たちの方が治安が悪いですよ。
犯罪を権力でねじ曲げて、偽りの平和を守ってる。
そういう意味では、下の街は私にとっての『理想郷』なのかも知れませんね。
どこか遠くで汽笛が鳴る。
各々に夢や希望、不安やしんどさを抱えて電車は走ってゆくのだ。
その先に我々の理想郷があると信じて。
……嗚呼残念、今日もまた途中下車する者が現れたらしい。
全員で同じ方面を目指せばその先にあるのはきっと理想郷。
それを邪魔する者は何者でも許されない。
鉄槌を下すべく、私は拳銃を片手に立ち上がった。
理想郷
英知の光を放つイルカのために、海を創ろう。サンゴ礁の草原、夕暮れの赤の地平線、生命が凍える冬の深海。天上の舞で悠久の波間を泳いでいく。
生々流転を歩む鹿のために、山を創ろう。峰々連なるその姿、龍が天に昇るがごとく雄大なり。雲海から時折見せる峻険な岩壁を、恐れもせず走り渡る。龍の背を走るが如き鹿の躍動。まさに生命の疾走。
美しい叙情詩のために、四季を創ろう。若葉の芽吹き。天高く積み重なる入道雲。黄金色の水田。純白の世界。四季の移ろいが魂の奥深くに火を灯し、内なる宇宙を探索する。
平和のために、法を創ろう。正義と平等の道しるべ。社会の礎。歴史と文明の結晶。強者の横暴から弱者を保護し、今日と明日を繋ぐ歯車。厳密さと緻密さを昇華させた美しき方程式。
コンコンコン、誰かが扉を叩く。
どうぞ。
失礼します。
やあ、天使くん、こんな時間までお疲れさま。どうしたの?
大変ですよ。大事なことを忘れてました。
なに?
人間ですよ。神さま、理想郷に人間を入れるのを忘れてませんか。
……あっ。
あっ、じゃあないですよ。どうするんですか。
うーん。もういいんじゃない。入れなくても。
な、なんてことをいうんですか。
だってさ、せっかく『法』っていうのを創ってあげたのに、あいつらケンカばっかりしてるしさ。こっちのいうこと聞かないし。本当は、人間がいない世界が理想郷なんじゃないの?
……それ、絶対に外で言っちゃいけませんからね。とても神さまの言う台詞じゃないですから。
そうかも知れないけどさ。……じゃあいっそのこと、人間の思考を変えちゃおうか。
どんなふうに?
もう何も考えなくする。
やめてください。怖いですから。そんなことしたら、悪いことは考えなくなるけど、楽しいことも考えなくなっちゃうじゃないですか。そんなの理想郷じゃないですよ。
うーん。もう面倒くさい。ああもう面倒くさいな。……やめた。もうやめた。理想郷、無理。この世は地獄です。
駄目です、そんな簡単に諦めないで下さい。何のために、僕たちが毎日サービス残業で理想郷作りをやってきたと思ってるんですか。ちゃんとしてくださいよ。
うーん。じゃあ、ちょっとだけいい?
何がですか?
人間の思考、変えるの、ちょっとだけ。
どんなふうに?
それはね、ゴニョゴニョゴニョ。
うーん、まあそれくらいなら。
よし、じゃあそういうことでよろしくね。わたしはもう帰るから。
あ、え、ああ。ったく、逃げ足だけは速いんだから。しょうがない、さっさと書類作って僕も帰ろう。
さてさて、
『人間同士はいつも、出会ったら真心を込めて挨拶する』
これをメールしてっと。これでよし。施工は来週からだな。これで理想郷ができればいいけどなあ。