『無色の世界』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
無色の世界に何を願う。
無色の世界は色がなくて、形も見えない透明。
無色透明なら、何にでもなれるのではないか
今からでも、無色な世界ならやり直せるんじゃないか
私は無色の世界に憧れた。
何にでもなれるから。自由な羽を手に入れた気分で、
空を自由に飛べるから。
貴方は赤色だから〇〇だよね、とか
貴方は黄色だから△△じゃないよ、とか
カテゴライズされるのはごめんだ。
誰しもが一色の人間ではないのに、
必ずしも生まれてから死ぬまで、
ずっとその色とは限らないのに、
人はなぜか、他人を一色に決めたがる。
その方が安心するから?
同じ色の人と群れられるから?
違う色の人を拒絶できるから?
たまに思うのだ。
無色の世界で生まれたら、
みんな仲良くできるのだろうか?と。
この色よりこの色の方がキレイ、とか
この色は汚い色だ、とか
そんな争いから開放されるのだろうか。
私は無色になりたい。
そして、その日の気分でいろんな色にもなりたい。
無色の世界は、自由の世界と同義だと思う。
「無色の世界」
君がいなくなった
この世界は
色を失い
ただ透明な
無色の世界
風のように無関心で
ガラスのように冷たく
もう
触れられない
どうか
もう一度だけ
その温かい手を
差し伸べて欲しい
そしてこの
止まぬ涙を
優しく拭って欲しい
それだけでいい
それだけでいいから
そうしたら
また
離れていいから
手を
離していいから
二度と
振り向かなくていいから
あの時のように
「無色の世界」
僕の目は、生まれつき、色を認識できないようだった。
色の無い世界だとしても、別に困りはしなかった。
僕の髪やら瞳やらは、他人から見ると、人間離れしているらしい。
それがどんなものかは解らないけれど、嫌悪される対象であるらしかった。
だから、色なんて知っていても知らなくても、たいして変わらないのだろうと思っていた。
だって、僕自身が、異色であるようだったから。
「すごい、貴方は真っ白だ」
そんな、僕の世界。
無色で冷たい世界の中に、唐突に現れたそのひとは。
例えるなら、眠りに落ちる直前の、どこかへ沈んでいく感覚のように――僕というものがそのまま呑み込まれてしまいそうなほどの、黒。
長い髪を綺麗に泳がせる、漆黒のひとだった。
そのひとは、実際には、人間ではないようだった。
僕の背丈と同じくらいの大きな鴉。それが、そのひとの正体であるらしい。
なんとも不思議なひとに拾われた僕は、その日から、世界中の色を知った。
そのひとの黒い髪、金色の瞳。それに始まって、たくさんの色が、濁流のように押し寄せてきた。
そのときの僕は、どこを見ても眩しい色彩が恐ろしくて、自分の目をくり抜きたくなる衝動に駆られた。
まっしろな僕を気に入ったらしい鴉のひとに、制されていなかったら。僕は、色がどうこう以前に、視力を失っていただろう。
「ほら、あそこに花が咲いていますよ」
そのひとが、ふいに指をさす。そちらを見る。
薔薇の花が咲いている。あの花びらの色は、赤。向こうは、黄色。
そのひとと過ごしている今、僕はたくさんの色を知った。
これからも知っていく。この世界にはまだ、僕の知らない色が、山のようにあるらしい。
けれど、と。人間のかたちに化けた鴉のひとを横目に、僕は小さく呟くのだ。心の中だけで。そのひとに気づかれないように。
色のない世界で、僕が一番最初に見た、漆黒。
これから先、どんな色に出会おうとも、僕はその漆黒が、きっと一番に好きなのだろう。
このモノクロの世界には、色は無く音も無い。
人と、人とを繋ぐ彩。
それは、心。
そして呼吸は、あなたとこの世界の命の音。
この世界には、彩と音が蔓延りそれぞれ形が在る。
それを愛と呼び、人は助け合い生きて往く。
そうやって人は、繋がり拡がりこの世界に色がつき新たな恋が芽生え命が生まれる。
さて、あなたの心は何彩ですか?
無色の世界
無色とは?
白でも黒でもないの?
透明?
人の形がなく心だけの世界を想像してみた。
その時、自分は人に
どう認識されるのだろう。
昔
モノクロ世界からあなたに出逢ったことで世界に色がついた。
と言われた。
私は何色を与えたのだろう…
私は黄緑とオレンジ色が好き。
この世界は、何もかもが透明だ。
はるか昔は色なんてものがあって、僕たちが見ている景色にだって豊かな色があったらしいけれど。
ある時急に色を失い始めて、ついには何色でもなくなった。人々はそれを、無色現象と呼んだ。
何もかもが透明なことで起こることといえば、ありとあらゆる場所に身体をぶつけることだ。
無色なら白っぽいのでは?見えるんじゃないの?
そう思うだろう。だが違うんだ。白も色の1つだから当然無くなってしまうんだ。
全部が透けているといったらいいのか、とにかくどこに何があるのかが分からない。
水で出来た世界の中を歩いているみたいなんだ。
そんな世界でも、色という概念は分かる人が多い。
なぜなら人間だけには色が残っているから。
僕は僕や周りの人に色が残されていなかったら、きっと黒がどんな色か、ピンクがどんな色か分からなかったと思う。
そして、この世界に色という概念が残っているのは、色が失われる前の世界のことを知っている人が多いこともあると思う。
おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんが僕や妹に色というものを伝えて教えてくれた。
でもそのうち、色というものを自分の目で見たことがある人はいなくなってしまうんだと思う。
色は口伝えだけの幻みたいな存在になって、そのうち伝える必要もなくなって、いつかそっと消えてしまうのかもしれない。
そしてそうなった時、僕たちは本当の意味での無色の世界を生きていくことになるのだと思う。
何処までも 限りなく透明で
唯々静かに騒がしい
どの色も 滲みぼやけて沈んでく
金剛石の檻と感じる
ゆらるり ゆらるり
水面が 下へ下へと突き堕とす
細い光は 欲に耐えず
嗚呼 美しき世界
この鍵の開いた檻から
にげようとせずに
お題【無色の世界】
タイトル【空白】
意識を手放す直前、瞼の隙間から見えたのは無色の世界だった。
何があったかは覚えていない。瞬間的なショックで忘れてしまったのだろうか。目を覚ますと、視界は真っ暗闇に沈んでいた。手足は動かそうと思えば動かせそうだが、重い風邪をこじらせた時のように不自由だ。床はふかふかしていて絨毯のような感触。居場所も状況も分からない。
突如戸が開く音がした。襖の音だろうか?そのまま誰かに両手で持ち上げられる。
「僕の可愛いお人形さん。」
男の声がした。歳はまだ若い方か?私は声の主に抱かれ移動する。そうして再び別の場所に立たされると、真っ暗な視界のまま服を脱がされた。いかがわしいことでもされるのだろうか…。たちまち嫌な予感がしたが、それはすぐに新しい布生地が肌を包む感触とともに打ち消された。少しサイズが大きいようで、だぶつくような重さがある。布の擦れる音が微かに聞こえる。胸のあたりの締め付けと、袖口がやたらに大きいところからして、どうやら着物を着せられているようだ。着付けが終わると、またも抱き抱えられた先で今度は何かに座らせられる。大きな人の手が優しく頭を撫でてくる。背後で気配がする。2つの人の手が、慣れた手付きで私の髪を梳かしていた。髪は背中ほどまで伸びていたが、普段の私の髪はそこまで長くないはずだった。
ああ、今の私は文字通り人形になったのか。もしくは私の魂だけが人形に宿ったのか。どちらにしても、今の私は自分の意志で動くことは困難なようだ。
ふわりと和らいだ髪をそっと手に取り、スンスンと息を吸い込む音がする。匂いを嗅いでいるらしい。手は再度頭をひと撫ですると、私を抱き上げて胸に収めた。仄かに白檀の香りがする。男は大事そうに私を抱きながらどこかを静かに移動している。湿った冷気が頬を撫でる。風の匂いや草木のざわめき、野鳥の声が遠巻きに聞こえる。男が見ているであろう景色が目の前にあるのだろうが、いかんせん今の私の目は一筋の光も捉えることが出来ないのだ。
わたしにはなにもない
得意なことも
心から好きだと言えるものも
大切にしたいと思えることも
なんにもない
それはまっさらな紙みたいに
なにもないつまらないわたし
そんなわたしに君はいう
無色だからこそ何色にでも
染められるんだ、と
すこしずつわたしの色を見つけられたなら…
そして、わたしの世界は色づき始める
__無色の世界
お母さん、おもちゃ、絵本、花、空。私の世界でそれらは全て「灰色」という色で彩られていて、人はそれを「無色」と言う、らしい。
私は生まれた頃から母に病院へ連れて行かれるまで、皆が私と同じ世界を見ているものだと思っていたがそれは当たり前でなく、全色盲という異常であると言われた。そう言われた幼い頃の私は、何を言っているのか理解できなかったけど。
絵の具の違いがわからない。夕日が綺麗だという感情がわからない。
小学校の先生や友達は私の灰色の世界を知って、私の当たり前を受け入れてくれたけど、私は皆の当たり前を受け入れることも、皆の世界すら知ることができない。
そんなことを経験するうちに、私は塞ぎ込んで自分の世界だけに引きこもるようになった。
この、何色なのかもわからない色の濃淡で染められた世界を表現できるのは私だけ。コンプレックスの裏返しのように私はデッサンにのめり込むようになった。
高校生になった私は、いつものように美術室で石膏像のスケッチをしていた。
目の前にある男の顔をした石膏像は、窓から差し込む光によって濃い影を作り出している。黒は私にとって1番強くて安心する色。黒であれば皆と共有できる。ずっと夜であればいいのに、そうすれば私も皆と同じ世界にいることが出来るのに、そう思って寝れない夜もあった。小さい頃は。
影を作る石膏像は厳格な雰囲気を纏って、綺麗だと感じた。そう感じると同時に影に対して飽き飽きする気持ちも隠せない。
これが私が美しいと感じるもの。
そう思い聞かせながら鉛筆を走らせた。
そうしているとふいに人の気配を感じて、反射的に美術室の入口に目を向ける。
明るくて、白い。
そこには今まで見たことがないくらい、淡い女の子が恥ずかしそうに立っていた。
「す、すみません!失礼しました!」
彼女は目が合った瞬間びっくりしたようで、そう言って慌てて入口から走り去っていく。
まって、と口が動く前に体が動いた。
椅子から立って入口の方へ走る。私の後ろでガタンとキャンバスが倒れた音がしたが関係ない。
もう1回見たい。彼女の色を。
私の周りにいる人間は全て灰色で彩られている。
だけど彼女は白色だった。
急いで彼女の後を追い、手を掴む。
全力疾走したせいで、息が上がって言葉が出ない。
「描かせて。」
やっと出た短い言葉と共に顔を上げる。
戸惑いを隠せない彼女の姿を見た私の鼓動は更に大きく速くなる。
次に描くべきものは影じゃない。光だ。
私は彼女を見てそう確信した。
貴女が居なくなってから私の世界はモノクロのように無色の世界が広がっている。失ったあとに貴女がどれほどまで偉大だったかを思い知らされまた、私が貴女にどれほどまでに依存していたのかを理解せざるをへなかった。好きだった花も色がなく。今ではどれがお気に入りの服だったのかも分からない。この無色の世界で私はどのように生きるべきなのか無色の世界で一人考える。
君と出会ってから
毎日が信じられないほどカラフルになって
その色鮮やかさに目眩さえ覚える
いつまた、
あの頃のどうしょうもない世界に引き戻されるのか
その不安が、日増しに心を蝕んでいくだけ
色がついている世界は、確かに日常生活から生かされており、色があるおかげでそれぞれの個性を表現出来たり、区別をつけることがある。一方で無色の世界は、色の分別がなく、もし私たちの世界から色がなくなったら、不便になってしまうだろう。しかし、色が無くなったからこそ、いい点も出てくると思う。例えば、最近はSDGSの一環として、ジェンダー問題も上げられる。現在でも、男子は黒や青、女子はピンクや赤といった固定概念を撤廃できると思う。
私は何色にもなる
パステルカラーで染めたり
時には真っ黒にしたりして
産まれた時は無色の世界
何もわからない 何も知らない
大人になるという事は
複雑なんだ
『無色の世界』
部屋の物を全部 白黒灰色に してみた
出来るだけ周囲の無駄なものを排除したかった
この部屋の空間で 唯一私の身体だけに
色がついている 不思議な
空間と私が 乖離 している
自分が、別世界に来たような気がしてきた
それでも カーテンを開ければ このとうり
いつもの近所の町並みが ある
はず だったのに
外の景色、白黒じゃないですか!?
私の、身体も!!
ただでさえ 灰色の気分なのに
見るもの全てが、神経に障るのよ
白黒灰色も、色だよね?
もっと 無色透明に しなければ
無色透明に、しなければ。
「無色の世界」
夜汽杏奈
「あなた方は生きる楽しさを伝えてください」
誰かがコメントしていた
バウムクーヘンの年輪
楽しいも楽しくないも
感情の波は穏やかでいい
「生きること≒楽しいこと、は良いことと決めつけ、それを伝え、執着させてしまうのだとしたら、死や病気に対する恐れや不安を強くさせてしまうことに繋がりかねません」
私はそう、コメントした
光と影は元々一つ
メトロノームの振り幅
誰かのリズムとメロディーは
どの章もどの♯も♭も
誰にも奪えない
鍵盤の上の一輪の薔薇
愛深き故
悪魔と散った遠い物語
統合するなら無となり
愛で包み統合するなら光となった
ニュートラルでいるか
森羅万象全てを信用し
宇宙へ手放すか
涙無しには語れない
その舞台の幕の内側で
誰にも気付かれず
永遠の熱いキスを交わすのか
世界がバラ色ならば幸せで
ダークなら不幸だと
どの時代も人は言う
人に優しくできる人は良い人で
頼るしかない人はダメな人で
お金持ちは偉くて
悪魔は悪者
誰がそんなことを、決めたの
全ては無色の無の世界から生まれた
生きることを感じる為に
存在を経験する為に
相対的なものは本当は一つだったと思い出す為に
とてつもなく果てしない次元の
宇宙の中で
好きも嫌いも感じ
良い悪いを判断してしまう、
未熟な自分も
全てを受け入れ、
森羅万象全てを信用し、
愛せたら、
ニュートラルになれたら、
手放せたら、
いつか無色の無の世界に
安らぎに似た想いを抱けるのだろうか
いつか悪魔の仮面の下で
涙すら忘れた瞳を
穏やかな愛で包めたら
この上ない優しい色の世界で
二人、微笑み、眠れるのだろうか
了
ぽたっ、
無色の私の心の世界に、赤色のインクが落とされる。
それと同調して、私も怒る。
ぽたっ、
今度は青色のインク。
赤ではなくなって、紫へと変わる。
それと同調して、私も怒りと悲しみでこんがらがった気持ちになる。
なんにもない、透明な私の心は、自分の意思で感情を表すことが出来なくなった。
周りの人間に流されて顔や気持ちをコロコロ変える、ただの人形に成り果ててしまったのだ。
〜無色の世界〜
無色の世界は無い。
皆、自分の価値観を持っているのだから。
色が無い無色の世界。
イメージするのは白黒の映画。
でも、きっと無色の世界は白と黒もない。
何色も入ってないパレットのようなもの。
僕の周りが透明で自分のことすら見えない。
存在の証明が出来ない世界。
きっとその中で見た初めての色は灰色でも綺麗なんだろう。
今の世界は色に溢れてる。
元々は三原色だと信じれない程に。
この世界で輝ける色に自分はなれない。
ならば、せめて消えても分からない色になりたかった。
なのに中途半端な使えない色に生まれてしまった。
( それなのに赤色に憧れる自分は罪深い。 )