『流れ星に願いを』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
流れ星に願いを
こころとからだに調和を失うと軋みをたてて崩れていく。宇宙にはみんなの願いが七夕さまの短冊に書かれている。言霊という。きっと宇宙にはみんなの願いが言霊として漂っている。そして宇宙はある目的をもっているに違いない。人が病気になるのはからだの使い方を間違ったときだ。自然が荒れるのは悪い言霊が吹き払われるからだ。宇宙は美しいものを好むに違いない。調和のある美しさ。こころも使い方を間違うと病気になる。大きな調和。それは美しく、平和な静寂。みんなの願いだ。
宇宙は広い。星はいくつでもある。わたしの存在はあの星屑の中のひとつ。星はたくさんあるから星屑と言うわけか?私なんかとるに足らない存在。そう自虐してみるとなんか気持ちが楽になる。巡り合わせが悪いときは仕方がない。みんなが輝くわけではない。次の輝きを夢みて流れ去る星もたくさんあるのだから。
(アンデッドアンラック 二次創作)
流れ星に願いをかけると、願いが叶う。
銀河の理と同時に泡のように生まれたジンクスは、このやり直しの世界においても懲りずにまた人々の心の拠り所となったようだ。
出雲風子もかつて一度、願ったことがある。
『お願い、当たって!』
願い、というどことなく儚いものよりはむしろ、鬼気迫る念だったし、送った対象は自分が降らせた隕石だったが。
「そんなことも、あったなあ……」
呟きは自室の空気へ溶けて消える。いずれにしろ遠い遠い昔の話だった。
腰かけていたベッドへ、そのまま仰向けに倒れ込む。ため息。どうも今日は感傷的になってしまっていけない。そういう感情は悲願を達成するまでは引っ込めておこうと決めていたのに。
それもこれも、風子の掌にある、硬質のモノのせいだ。
カードというには分厚い、一見なんの変哲もない破片のような何か。リメンバー。
今日なんとか無事手に入れたそれを目の前にかざすと、照明を反射して端が光る。
このカードを額にしていた人物を、自分を相棒と呼んだあのひとを、否が応でも思い出す。いや、その言い方は正確ではない──忘れたことは片時もないのだから。けれど普段、なるべく考えないようにしているのも事実だ。
けれど。けれど今日は、無理だ。
二百年近く前の出来事がまるで昨日のことのように脳内で再生されて吹き荒れる。流されてしまいそうな自分を叱咤して。
思い出を封じ込めるように、両の手で古代遺物を包み込んで目を閉じた。
……目尻が少し濡れることくらいは、気づいてない振りをしよう。
口の中で小さく名を呼ぶ。
流れ星は単なるデブリが燃え尽きる現象であると知っている。
それでも今日もし夜空に光が流れたら。
きっと。
流れ星に願いを
流星群は
事前に予報されてから流れる
だから 分かってて見るから
綺麗でも 幸せだとは思はない
ふとした時に見上げた夜空に
サーッ っと流れるのを見ると
それこそ 些細な幸せだと思える
その流れた瞬間と
流れたあとの 空虚な空間に
つい、見蕩れてしまう
だからいつも
願い事は 間に合わない
とは言え
流れ星は ただの塵が煇ってるだけらしいよね
世の中、不思議だな。
_ ₃₆
いくらでも空を見続け待ってやる
インスタントな奇跡くらいさ
流れ星に願いを
星に祈れば願いは叶うというけれど
夜空の下をいっしょに歩くあなたと
この先もながく過ごせると
願ってもいいのだろうか
これが恋だなんていったい
いつ自覚したのだろうか
好きじゃない、なんて言ったら
ピノ材で出来た少年のように
鼻が伸びてしまうだろうね
そうとは知らずに星はふたりの間を静かに翔る。
__流れ星に願いを
生まれつきネガティブな人なんていない
嫌なことあったから
ネガティブなったんでしょ?
私はその人を
ネガティブにした人を許せない
だって一生治んないかもしれないから
事の重大さを知らないでヘラヘラと
生きてる奴が嫌い
何かしらかたちでバチが当たればいいのにって
いつも考える
ネガティブで性格悪い願いは
絶対に綺麗な綺麗な流れ星は叶えてくれないだろうけど
【流れ星に願いを】
※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン
ガラル地方にはねがいぼしというものがある。
特別な力を持った小さな石で、拾うと願いが叶うのだといわれている。
もっともポケモントレーナーには必須のもので、これがなければガラル特有の一時的な進化現象、ダイマックスもキョダイマックスも出来ない。
トレーナーになる時に手に入れ、そして加工して、腕輪の中に取り入れることでポケモンのために使えるようになる。それがガラルのポケモントレーナーの成り方のひとつだ。
幼いころから、ぼくもたくさんのひとの前に降って来たり、あるいは彼らの道の途中で姿を見せるその石を見て、わくわくしたものだ。
先輩たちは自分の「願い」を拾い上げ、初めてのポケモンと共にガラルのジムチャレンジャーとして旅立っていく。
輝かしいポケモントレーナーのはじまりの一歩を、ねがいぼしは象徴していた。
いつかぼくの前にもねがいぼしが降って来るのだろう。その時立派なトレーナーとして、自分のポケモンと共に一から旅立ち、共に成長していくのだ。
「マクワ、これがあんたのねがいぼしだよ」
新品のバンドは、母の手の上でぴかぴかに光を反射していた。ぼくは両手で受け取り、ぼくのために準備されたダイマックスバンドを見つめる。
暗く見えるケースの部分の中に、それは既に組み込まれていた。小さな石の形は、暗がりの中でちっとも見えなくなっていた。
胸の奥の方にある言葉は、ぐちゃぐちゃに混ざり合ってなにも拾い上げられなかった。
「ありがとう、お母さん」
気が付けば口角が弧を描き、口腔はお礼の形を描いていた。そう、母はいつだってぼくのために大変な努力をして、ぼくを導いてくれている。
毎日のきつい訓練だって、勉強だって、全部母が見てくれていた。
母は現役のリーグトレーナーで、ジムリーダーだ。母の言う事さえ聞いていれば間違いはない。
母の願いを叶える事は、きっとぼくの願いを叶える事だ。
「それとね、あたしのラプラスをあんたに譲ろうと思っているんだ」
「……え」
ようやくばらばらの気持ちが、溜息の流れに乗り、音と共に現れた。ラプラスは母の切り札だ。
母が大切に育てたポケモンであり、母と共に育ったポケモンでもある。
ぼくが体得してしまった『自我』の萌芽は、母親との、そして街を一つ巻き込む程の激しくて長い諍いの始まりだった。
◆
スタジアムに大きな歓声が広がった。
キョダイセキタンザンと、キョダイカイリキーが向き合う勝負の最中。カイリキーの放った巨大な拳、ダイナックルがセキタンザンに直撃した。だがキョダイセキタンザンは弱点を突かれたにも拘わらず容易く受け止めて、両足で立ち続けていた。
当然だ。誰にも負けないようにずっと訓練し続けてきた。彼の硬さは誰よりもぼくが知っている。
それでもこうして結果として見られることは、トレーナー冥利に尽きる。心の奥底に炎がくべられて、燃えゆくのが分かった。
ぼくの腕に輝くのは、結局、あの時母から貰ったダイマックスバンドそのままだった。
あちこちぶつけたりして当時よりは煤けてしまったが、それでもまだ立派に輝いて、切り札たるバディをキョダイマックスさせてくれるものだ。
ねがいぼしの光を纏ったセキタンザンは、キョダイセキタンザンとなって体躯を42mへと変化させる。ガラルでしか見られない進化現象。
何より迫力あるその姿は、観客を虜にすることを知っている。ぼくは彼の見目が何よりも映えるように彼の前に背中を見せて立ち、セキタンザンに指示をした。
「ダイバーン!」
セキタンザンの放った力いっぱいの劫火は、スタジアムの温度を一気に上げ、相手のカイリキーの体力を奪った。強い日差しが緑の芝を輝かせた。
セキタンザンとカイリキーの周りを包んでいた紅い光が破裂するように輝き、空気を吐くように元の姿に戻っていく。彼らの姿を変えていたダイマックスエネルギーは時限付きのものだ。
お互い体力はそれほど残っていない。ここで一気に決めるしかない。
セキタンザンがぼくを振り返ると、赤い眼が爛々と輝いていた。灼けるような日差しが肌を貫く。これは反動で体力を削る大技だが、今の彼なら勝利をもぎ取れる。
「フレアドライブ!」
ぼくの叫びにセキタンザンが呼応して、石炭の巨躯を炎で包み込んだ。炎の弾丸となったセキタンザンはその場で跳躍し、パンチを繰り出そうとしているカイリキー目掛けて飛んで行く。
ぼくは見た。夜空を流れる一等星が空気を裂いて燃え盛っている。
流れ落ちる願い星が、今この瞬間ぼくの目の前にあった。ぼくが探していて、ぼくが何より見たかったもの。ねがいぼしは、ひとの願いを叶える星だ。ぼくの願いを乗せて、彼は輝きを纏い飛躍してゆく。
ぼくは思わずサングラスを抑えるが、自分の口角が上がってゆくのを感じた。
セキタンザンのねがいぼしは激しく燃え上がり、真っ赤な尾を引いて落ちて行く。
ここはぼくが選んだぼくの道の上だった。母との衝突を、批判の声を越えた先にある場所。
ぼくはここにずっといる。そして彼の隣に居続けたい。これから先も。
セキタンザンが吼え、審判が高らかに結果を告げた。
ぼくの流れ星は、ぼくの願いを聞き届け、かなえてくれたのだった。
現実から一歩遠ざかり、
旅行も兼ねた少しの休息。
「おいでよ」と声を掛けられたほうへ足を進める。
窮屈な日常をとびだして暮らす毎日は、
自然に囲まれた小さな世界。
たまには電車で街へ行ったり、
ゆっくり、きままにスローライフ。
一日に疲れた夜、
いつもの島でふと見上げた空は、
静かに瞬く、息を呑むほど美しい夜空。
キラリと光った星に願えば、
明日はもっといい日になる。
みんなであつまれる日も、もうすぐそこ。
島での暮らしも、慣れてきた頃です。
【流れ星に願いを】
『流星を待つ』
流星を待つ 煌々とストーブの灯がゆらめく ここには他に誰もいないよ ひとりぼっちという贅沢だ
紅茶があるよ蜂蜜もあるし、何よりティーカップがお気に入り 紅茶に蜂蜜入れた時 私は他の誰かを思い出す あの人もこの人も元気かなって思ったら 連絡したくなりました。流星はつゆ知らず そそくさと夜空に溶けてった
流れ星に願いを
願いを祈るのはいいとして
それとは別に
願いを叶えるための道は
確かに存在してるのかな?
道が見えてて
道を歩けてるなら
道を間違わない限りにおいて
辿り着きはするよ
この道が
どこに繋がってるのか
わからないまま歩いてて
この道が
辿り着きたい場所で
ありますようにってことなら
周りを見渡してみて
目的地が同じような場所なら
沢山いれば間違いないはず
ただこの場合の問題は道にはない
沢山の人がいるってことが問題で
みんな思うことは違って
目的も違うんだからね
思うのと違っても仕方ないね
みんなが幸せになれる道はない
みんなが同じ道を歩いてたとしても
道には幅があり
場所によっては居れる人数に限りがある
同じように歩いてるように見えても
人により速度は違うし
歩き方も違う
空を見上げる余裕くらいは必要だけど
あなたの願いを叶えられるのあなただけ
それに
流れ星に願いを祈れるのは
あなただけじゃないはずだから
誰の願いが叶っても恨みっこなしで
その時は叶わなくても続きがあるなら
また願うといいよ
流れ星はひとつではないし
でも
あなたの願いが叶うとしたら
それはあなたによるものであった方が
私はいいとは思うけど
流れ星に願いを叶えてもらっても
あなたにはおそらく継続は出来ないから
他力本願って
他力次第ってことで
他力によっては変わってしまうから
――流れ星に願いを――
フラストレーション
明るい闇にばら撒く
嫌が変換されていく
流れ星は不条理だと思うだろうか
痛み止めでも抑えきれない痛みを
願えば取り替える
迷信とは出来すぎているものだ
きっと人間は偶像に
無償で幸せを求めてる
それだけなんだろうな
本当ならきっと私も
幸せになれたかな
幸せになりたい
もう嫌だから
無駄に強固な集団心理
価値観が穿つ人間関係
知識と反比例する選択肢
劣っていれば憐れまれ
優れていれば叩かれる
流れ星、こんな私に救いを与えてくれますか。
流れ星に願う
景観の良いベランダに出て、星が瞬く空に願う。
願い事は、"~だったらいいな"というより、
"~である"と願った方がいいらしい。
自分はすでにそういう状態だと呟き続けると、そういう状態になりやすいらしい。
自分は、順調に事が進み、お金がたくさんあり、愛に満ち、自由に行動することができます。そしてこれからもどんどん発展していきます。
自分は、英語が話せ、好きな国に旅行することができます。
流れ星があるなしなど関係無い。流れ星は燃え尽きれば消えてしまう儚い星である。そのような星に願いを背負わせるのはなんだか可哀想に思ってしまう。
他に星はいくらでもある。星と自分の間を遮るものはないから自分が思うまま願うだけで良い。
寝たくない夜も、願えば安心感が持てる。
これで今日も寝れそうだ。
【流れ星に願いを】
手と手を合わせて流れ星に願いを叶えてもらえるように、僕は夜空を見上げた。星が無数に散らばるあの空に手をかざしても行き場のない手が空中を泳ぐだけ。
「願いが叶うならお金がいっぱいほしい。いっぱいお金貯め込んで自由になってやるんだ。」
何をもって自由かなんてそんな定義どこにもない。ただ、自由という言葉に縋りたいだけ。ただ、自由になりたいと言って君と笑っていたいだけ。
「なぁんて、クソ野郎みたいな願い事。でも、それ分かるかも。」
そう言って笑うのがいつもの流れ。君がいるならきっとこの星ももっときれいに見えた。
流れ星に願いを
星に特段興味がある訳じゃない。星座だって、オリオン座くらいしかわからない。プラネタリウムも一人だったらきっと行かない。だけど、彼と出会ってから夜道で空を見上げることが増えた。
東京の空は濁ってて、一等星が見えたら万々歳。本当はあの星はなんとかっていう星座の一部だって、少年のような目で空を見上げる横顔を見るのが好きだった。星座の名前は覚えていないのに、彼のその緩んだ目元はよく覚えている。
だから、こうして1人家路に向かう最中、彼の言っていた一等星を時折探してしまうのは、星が好きになったからじゃない。彼に会いたいから。彼との思い出が恋しいから。
同じ日本にいたなら、この星をあなたも見ているってそう思えたのに、遠い異国では今、燦々と太陽があなたを照らしているのかもしれない。
ねぇ、先輩。今夜は東京でも流れ星が見れるみたいです。
そう伝えれば、深夜にこっそり会いにいてくれた彼はもういない。伝えたって、会えない。会いに来てくれない。同じ星を見て寄り添い合うことだってできない。
だから、今夜、私は流れ星を見ない。
異国で励む彼に帰ってきて欲しいだなんて、身勝手な願いを、流れ星に聞かれるわけにいかないから。
夜の帳はまだ上がることなく
スパンコールが散らばる
バルコニーに紫煙が揺らめく
睡魔の誘いを断って
これを夢としてしまうのは
余りに残酷すぎるから
もう少し 夜明けを遅らせて
遠い昔の夜空には
流星が駆けていた
お題【流れ星に願いを】
タイトル【同じ空を眺めて】
七夕の季節、多くの笹に願いが下げられる。私はそれを叶えなければならない。でも、すべて願いが叶うわけでもない。私の力が届く範囲で、善良な人間に対してのみその願いを叶える。一年以内に叶うように調整するが、力およばずで叶えられなかったものも多い。だけど、誰も私を責めない。みんな、口を揃えてこう言う。
「神様なんていないんだ」
この言葉に何度も傷つけられた。私はここにいるのに、それを証明できない。それが悔しくて何度も泣いた。一人じゃ背負いきれない責任に押しつぶされそうになって後任を探したこともあった。
だけど、時々届く「神様、ありがとう」の言葉に救われて止めることができないのだ。
そんな生活を人間の新しい一つの習慣を知った。
流れ星が降る夜に、彼らは願い事をするらしい。星が消えるまでに願い事を三回唱えると、叶うのだという。
それを知った私は驚いた。神様に頼らないで願いを叶える方法があるのだと。だが、どうしても不思議だった。流れ星に託した願いは誰が叶えるのだろうと。星は神様のように不思議な力はない。そうなると人間はなにを考えて祈っているのだろう。
それを教えてくれたのは別の仕事をしている神様だった。
「神様よりも、星はものだから期待値が小さくて済むんじゃない? ほら、星よりも人の方が叶えてくれる力がありそうな気がするもの」
そうか。それなら、私も星に願い事をしてもいいのだ。
宇宙を眺めて流れ星を待った。すると、やっと一つの流れ星が見えた。目を瞑って、流れ星に願いを託す。
もっと私に、人々の願いを叶える力がつきますように。
「まずさあ、空を見上げないよねえ。
スマホ? いやいや、歩きスマホなんてしないよ。危ないからさあ。
でも、仕事終えたあとの帰り道って、なんか空を見上げる気がしなくない? ああ、駅が地下鉄なのもあるかもなあ。入り口までずっと、なんか地面を見ながら歩いちゃったりなんかしてさあ。
疲れて上見る気になれないのかなあ。本当にやだよねえ。残業よくない。
……あ〜、でも、会社帰りに空見上げたな〜、みたいなこと、一回だけあったかなあ。
流れ星は見てない。だって、朝だったんだもん。
そう、泊まり込み。朝日が登ってさあ、朝焼けがそりゃあ綺麗で、なんだか泣けてきて……さわやかな気持ちになっちゃってさあ。
って、話ぜんぜん変わっちゃった。やっぱ仕事やめようかなあ。流れ星見たら、私の代わりに願ってくれる? なんて、人の一回分のお願い取ろうとするなんて図々しっか、あはは」
#流れ星に願いを
そういえばわたし、見ましたよ。
3時間目の終わりがけ、にわか星の予報が発令されて、わたしたちは早びけになりました。そういう日は誰かの家に集まって、おしゃべりしながら朝まで映画を上映するに限ります。屋根に星ぼしの転がる音がうるさくて、わたしたちの益体もない噂話なんか誰にも洩れ聞こえたりしないのです。
予定より早く降り始めるようでした。真白な入道雲の端を小惑星の群れが掠めていくときは、たいていそうです。帰り道ぞいの駄菓子屋で、わたしたちはアイスクリームの袋をちぎりながら星のくだるのを眺めていました。
昨日の夢の話です。
どうか明日も何事もなく過ごせますように。
つらくありませんように…
【桜散る】【無色の世界】【雫】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
4/6 AM 10:30
「桜がもうだいぶ散っちゃってたねぇ」
ショッピングモールへ向かう道の途中で
見た桜並木を思い出したのか、
暁が残念そうに呟いた。
「そうね」
「他のお花も咲いたら散るのは一緒なのに、
なんでか桜が散るのってすごく寂しい
気がしない?」
「……そうかもね」
小さな花びらが降るように散る様子が、
まるで淡く消えてゆくようで、
美しさと同時に、物悲しさを感じさせる
せいかもしれない。
「ショッピングモール内のお店は、
まだ桜フェアっぽいけどね!
あ、見て見て宵ちゃん、可愛いのが
いっぱいあるよ!」
そう言って、暁がプチプラアクセの
ショップの方へ歩いていく。
桜フェアを謳っているだけあって
桜モチーフのピアスやイヤーカフ、
ネックレスやリングが並んでいて、
春色にキラキラ輝いていた。
「桜の形もモチロン可愛いんだけど、
個人的にティアドロップもすごく
可愛いって思うんだよね。これとか」
暁が指差したのは、ヴィンテージピンク
とでも言えばいいのか、仄かなピンク色の
小さめの雫型イヤリングだった。
桜の花びらのように見えなくもない。
「似合うわよ」
「えっ、そう? ……ん~、でも、
こっちも気になるかなぁ」
暁が次に指差したのは、同じ雫型の
イヤリングで、無色透明のもの。
「これって、水晶? ……こんなに
色彩豊かなアクセが揃ってるのに、
無色なものが気になるの?」
「だってほら。無色だからこそ、
光のあたり方でいろんな色が
写り込んで綺麗じゃない?」
ね? と小首を傾げながら
イヤリングをアタシに見せて
楽しそうに笑う暁を見て、
無色の世界なんて、暁の瞳には
存在しないんだと思った。
【ここではない、どこかで】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
4/3 PM 3:00
「ねぇ、宵ちゃん。
宵ちゃんは、ここじゃないどこかで
わたしたちが生きてるとしたら、
それってどこだったら楽しいと思う?」
ゲームに集中していると思ったのに、
暁が不意にそんなことを聞いてきた。
大きく伸びをしている辺り、
集中し過ぎて疲れたのかもしれない。
「どこだったらって言われても」
「ほら、こないだわたし、大正浪漫感が
溢れる夢を見たって話をしたでしょ?
真夜(よる)くんも、わたしたちが
ホグワーツに通ってる夢を見たことが
あるって言ってたの。
だから、宵ちゃんにも聞いてみたく
なっちゃって。どんな世界観だったら
宵ちゃんは楽しいって思うかなって」
ニコニコ笑う暁の顔を見返しながら、
仕方なく考えてみる。
ここではない、どこかで。
アタシたちが生きているとしたら――。
「……どこだっていいんじゃないの。
アンタと真夜がいれば」
――そう。
重要なのは《どこなのか》じゃない。
2人が側にいるかどうか。
そうじゃなければ、どこだったとしても
楽しくないし、意味がない。
「……宵ちゃんも、時々さらっと殺し文句
言うよね。一撃で心撃ち抜くような」
「そんな大層なこと言ったつもりはないけど」
「いいの。わたしは嬉しさを
噛みしめてるから」