『泣かないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
泣かないでなんてのは相手を追い詰める言葉でしかない。
また今日も一日が終わったね。
辛いこともあったけどよく頑張ったね。
泣く前に私とお話をしてみない?
辛かったこと言った方が楽になるよ。
泣かないで、大丈夫だよ。
貴方はひとりじゃないから。
今日も頑張ったね。
『泣かないで』No.2
お題「泣かないで」
タイトル「謝る言葉はいらない」
雨采 ミツジ
R5/2023/12/1
人々はこいつを俺の「兄」だと言った。
俺自身も、意識を持った時、いや、ずっと前からこいつが「兄」だと知っていた。
俺はこいつの「弟」として作られたから。
どれだけ経った頃か覚えていないが、「兄」を模したものが作られた。
「兄」は「弟」が増えたと喜び、俺も兄になったのかと楽しそうだった。
「兄」と2人の日々が終わったことに少し寂しさを感じたのは、何があっても教えてやらない。
「弟」が増えても、「兄」は特段変わらなかったから、言わなくていいんだ。
いつだってちょっとした呟きでも拾って、叶えようとする。
「兄」にとっては特別が増えただけで、どっちを優先するとか、どっちの方が愛おしいとか、そんなものはなかったらしい。
「なあ、行くなよ。行かなくていいだろ」
どれだけ訴えても「兄」は頷いてくれない。
「分かってるだろ。あいつはお前を傷つけるだけだって、行っても傷つくだけだって」
それでも「兄」は微笑んで、俺を抱きしめた。
No.1 【泣かないで】
君は一人じゃない、泣かないで
一人でいると思ってたけど
本当は違う、本当に1番近かったり
遠くにいる人だったりする。
だって私は、周りの友達や家族に頼れなかったから
赤の他人に悩みを聞いてもらったよ。
はじめは信じてなかったけど
本当に優しいカウンセラーの人だったよ。
今では仲良くしてまた相談してもらってる。
大丈夫だよ。周りにいるよ。絶対に頼れる人がいる。
【泣かないで】
昔、流行った研ナオコの歌を思い出した。
作詞作曲は中島みゆき。
♪泣かないで、泣かないで、私の恋心
あの人はあの人お前に似合わない♪
このフレーズを口ずさみながら私も自分の心に言い聞かせていた。
あの人に私は似合わないのだと…
あれから何十年が過ぎたのだろうか。
今は泣きたくても涙が出なくなった。
泣けなくなった。
泣いてみろ!と言われても泣けない。
もしかしたら実の母親が亡くなっても泣けないのではないかとさえ思う。
だから私は言いたい。
泣けるなら泣きなさい、思い切り泣きなさい、きっと心が休まる日がくるから…と
私が泣けなくなったのは老いたからなのか、それともいろんなことがありすぎて素直になれなくなったからなのか、心が氷のように冷たく硬くなったからなのか…
私もたまには声を出してオイオイ泣いてみたい。
(前の投稿から3ヶ月以上も過ぎていた。書くことは心のゆとりの表れだとしみじみ思う)
【泣かないで】
大吾さんが泣いている。
ベッドの端に力無く腰掛け、俺がいつだったかに置いていったワイシャツを手に静かに涙を流している。
震える大吾さんの肩に触れ、抱きしめる。それでも大吾さんの震えは止まらない。「大吾さん」と呼びかける。それでも大吾さんの涙は止まらない。
俺は自ら病院の屋上から飛び降りたことを後悔することはないと思っていた。
こうして体を持たない「何か」に成り果て、大吾さんが独りで泣いている光景を見ていることしか出来なくなるまでは。
「大吾さん、泣かないでください。俺はここにいます」
この声が届いてほしい。どうか、一度だけでいいから。
そう願いを込めた言葉は、大吾さんに届くことはない。
#44『泣かないで』
生きてって言いたいけれど、そんな言葉をグッとこらえる。あなたの気持ちは最大限に尊重したい。自殺幇助は罪だけど、生きることを強要するのは?ただ抱きしめることしかできない自分はあまりにも無力だ。
『泣かないで』
君に泣かないで欲しかったのは、
「君には笑顔が似合うから」だとか、
「君が泣いてると僕も悲しくなるから」だとか、
そんな優しい理由じゃない。
そんな優しい理由じゃなかったんだ。
ただ僕は、泣いている君を慰めるのが面倒だった。
億劫だった。
君の気持ちなんて少しも理解できなかったし、
どうしたら泣き止むのかも分からなかった。
君の泣き声がどうにも耳障りで、
殺意のようなものすら感じていた。
だから、僕のために、君のために、
僕と君のために、
泣かないで欲しかったんだ。
【また、逆で】
「ああ、ああ。泣かないでおくれ。 僕は君の涙に触れると、もう どうしようもなくなってしまうんだから」
男は、わーんわーんと泣き喚く女の涙をそっと手で拭う。
「なら、そんなこと 2度と言わないで。 私は、これまでも これからも、あなた以外で涙を流したことはないのよ。」
女は、どうしようもなく悲しくって、虚しくって、涙に濡れた目でキッと睨みつけ、男を責め立てる。
「ごめんよ、僕の愛しい人。でも、これはどうしようもないことなんだ。わかっておくれ」
男は、風に触れるようにやさしく女を撫で、聞き分けのつかない子どもに言うように諭した。だが、女はそんなことはとうにわかっていて、それでもくるしくって泣いているのだ。
「もう、あなたなしじゃ世界を見ることさえできないの。だから、どうかいなくなったりだなんてしないで。」
男はベッドから体を起こすと、目を擦り、頭を抱えた。
あの女は、僕で、あの男が、君だ。
僕の初恋の人。15の時に、余命が2年だと医者から言われ、入院していた愛しい人。
毎日通って、泣き喚いて縋って慰められて、そんなことを2年繰り返して、君は旅立った。
僕の誕生日に。
それからもう6年も経つが、ずっと、毎日似たような夢を見る。
あのベッドにいたのが僕で、僕を求めて泣き喚くのが君。
そうだったらと何度も思って、夢に見る。
だって、君はいつも眩しくて、周りの奴をみんな溶かしてしまうくらい優しくって、もちろん人に好かれた。
葬式の日、僕みたいに泣き喚いて縋ってるやつが40人はいたし、そんな中でも君は美しく眠っていた。
僕の誕生日に消えてしまうなんて、とびっきりの呪いだなんて思って、1人で笑って、崩れ落ちて泣いた。
毎日君を思って泣いて、義務感で食事をして、仕事をする。
ゴミは捨てられないから部屋は汚いし、お風呂も1週間に一度しか入れない。
やっぱり僕は、君なしじゃ 世界を見ることすらできないんだ。
今の僕を見たら、君はなんていうだろうか。
拝啓、愛しいひと もう一度、最初からやり直してくれませんか 次は、きっと
〜創作メモ〜
二世信者
半洗脳状態の娘、神を信じる母親、妻に逆らえない夫
離れていく同級生たち。
大人になった娘、同じ宗教の元信者と出逢う
今日好きな人といっぱい話せた
いっぱいって言っても5分10分ぐらいだけど
ほんとに好きすぎてやばかった
もう好きって言っちゃおうか迷ったけど
邪魔になりたくなかったからいえなかった
卒業までの少しの間だけでもこの恋を楽しみたい
【泣かないで】
もし俺だったら、こんな小説を書くことはできなかった。
そう思い知らされたのは、親友の書いた小説を偶然読んでしまった時だった。
夕日の入る窓際の部屋。そこに親友は住んでいる。
そろそろ帰ろうかという時に偶然見つけた。
何のノートかと思い、何気なくぱらりとめくった先にある文字の世界。
それは、俺にとっては衝撃的なものだった。
こんな緻密で繊細なミステリー小説は読んだことがなかったからだ。直ぐに俺は世界に引き込まれた。
不可思議なトリック。癖の強い登場人物。そして散りばめられた謎。絡み合う伏線の数々。
弟みたいに思っていた彼の、描く世界は魅力的で。
もっと。続きが読みたい。
そう思ってページをめくろうとした途端。
「それは読んじゃだめだ!」
親友に、ノートをはたき落とされた。
すぐさま拾い上げ、彼はノートを体の後ろに隠してしまった。
「……なぁ、これ、お前がかいたの?」
俺の質問に、親友がびくりと震えたのがわかった。
「……は、恥ずかしい、だろ。大人にもなって、小説書いてて。もう、夢を見るようなガキじゃないのに」
「そんな事ないだろ」
大人になって作家になった奴らなんてごまんといるじゃないか。
そう言い返そうとして、止まる。
親友の瞳が、潤んで揺れていたからだ。
「そんな事、あるよ」
なんで? 文字なんて、文字の世界なんて自由なもんじゃないか。
少なくとも俺はお前の小説を、好きだと伝えたかったのに。
俺には書けない、あの物語を。
「そんな事….…あるんだよ」
後悔するような親友の言葉に、俺の心臓が大きく波打った。俺の知らない何かが、彼の奥に見えた気がしたからだ。
何が、彼を、そう苦しませるのだろうか。
俺にはわからないけれど。
「……泣くなよ」
小説を書くことを後悔してほしくない、と。俺は親友に近づいて、その涙を拭って見せた。
『泣かないで』と貴方は言った。
そんな無理なことを言わないでよ。
大好きな貴方にだけは言われたくなかった言葉
どうして貴方は気づかないの?
どうして貴方は変なところで気づくの?
不思議だね。この関係も不思議だ。
そんな困った顔しないでよ…。
まだ私が幼いとき、空想の中に君がいた。
君は私が創造りだしたたった1人のお友だちで、友だちのいない私の寂しさを埋めてくれた。
真夜中まで一緒にお話をしたり、綺麗な夜空を眺めたり、朝が来るまで君は私の隣にいてくれた。
日が登ると君はいなくなってしまうからそれが少し不満ではあったけれど、私は君が大好きだった。
けれど君は私が歳を重ねるたびに私の前に現れることが少なくなり、私もいつしか日々の忙しさに君を忘れてしまうことが多くなってしまった。
そしてある日、君は私に別れを告げる。
顔もおぼろげになってしまったあなたに逢うのは何年ぶりだっただろうか。それでもあなたの優しい声を、私は忘れてはいなかった。
はらはらと涙を零す私にあなたは優しく触れ、あの頃と変わらぬ子どもの姿のままで私を見上げる。
「泣かないで」と言ったあなたの方が泣きそうな顔をしているのに、私を気遣う言葉に私はまた涙を流す。
私が創造った幻想のお友だち。独りの寂しさに私が生み出した幻影は、その役目を終えて消えていく。
「ありがとう。さようなら、――くん」
かつて私が呼んだあなたの名前。あなたに最初に贈ったプレゼントを…君の餞にもう一度呼ぶ。
君は少し驚いて、そして満面の笑顔を私に見せた。
その残像を抱いて、私は次の朝に目覚める。
そしてその夢を忘れないように、私はこの日記に君の記憶を記して残した。
【泣かないで】
友達の不幸を願った。
友達が志望校に落ちることを期待した。
「おめでとう」と言う言葉を吐き出す時、私はちゃんと笑えているだろうか。
弟が不登校になった。
学区内で1番頭のいい公立高校の合格を蹴って、有名大付属の私立に入ったくせに不登校になった。
私の家はシングルマザーで、金銭的余裕がなかった。
年子だったこともあって私の受験の時、母はこれでもかとプレッシャーをかけた。
普通どこかの高校には行けるようにと公立高校だけでなく私立高校に併願をかける。それすら許されなかった。
頭が良ければレベルを下げればいい、けれど私は馬鹿だったから学区内で1番頭の悪い高校もC判定だった。
面接練習を死に物狂いで頑張って、なんとかその高校に推薦で入ったけれど空気感が合わず2年になって不登校になった。
ずっと弟が羨ましかった、弟は私と違って私立の併願を何校も受けさせてもらえて、ずっと行きたいと願っていた私立高校に入れさせて貰えた。そもそも公立と私立では設備が違うのだ、私の第一志望は県内でも有数の吹奏楽強豪校だった。そこで演奏がしたかった。
それなのに、不登校になるなんて絶対に許せない
弟が不登校になってから家庭環境は劣悪だった。
誰もご飯を食べない、誰も会話をしない。
母も鬱のようになった。私も弟も腕はリスカの跡でいっぱいになった。
1度だけ、弟と殴り合いの喧嘩をした。
お互い学校にいけと言って最初に手を出したのは向こうだった。泣きながら殴ってきた。
弟が泣く姿を見たのはこれが最後だった。
学校のカウンセラーに心療内科を勧められた。
睡眠が取れず1週間の平均睡眠時間は15分だった。
家だと落ち着かずずっとベランダから夜空を眺めて本を読んでいた。眠れなかった。
一緒に無理やり弟を引きづって連れていった。
心療内科なんて行かなくていいといった母と祖母に泣きながら「弟はこのままだと死ぬ、人殺しになりたいのか」と訴えた。
弟は電車に乗れなくなっていた。
だから途中で何回もおりて休んだ。
2人とも無言だった。
診察を終えてから2人で祖父に供える花を選んだ。
毎回の恒例行事にした。少しでも外に出したかった。
2人とも体調のいい日は、駅ナカのカフェでお茶をした。
弟は紅茶を、私はシフォンケーキを頼んだ。
それから暫くして、コロナで学校が休校になり、引きこもりが合法化された。
母も落ち着いて、3人でよくご飯を食べるようになった。
それまでは3人でご飯と言ったら外食だったけれど、母がご飯を作るようになった。
皆でアニメを見ながら食卓を囲んだ。
休講期間が開けて、弟も私も学校に行くようになった。
私は大学生になった。夢の看護学生になった。
弟も大学生になった。一時期そのまま付属大への進学は難しいと言われていたけれどなんとかなった。
私は学校を留年した。医者に言われたようにメンタルがもたなかった、合わないらしい看護業界は。
弟は家に返ってこなくなった。たまに帰ってきても朝帰りで死んだように眠りにつく。夜になると女の子と電話をしている。
今、病院には1人で通っている。
通うのがしんどくなって通ったり通わなかったりを続けている。
あの時余裕がなくて見ることの出来なかった駅ビルを見に行くと、無印やLOFTなどが入った大きい施設だということに気がついた。
病院からは綺麗な景色が見える。
泣かないで、って。人に言うのは難しい。
言ったところで余計に泣かせてしまうから。
涙も乾いてしばらく経つ。雨は地に降りることを拒絶している。水は尽きている。生きとし生けるものはすべてみな水が必要、それは昔話になった。いずれ夢現のお話になる。かみさまは第二の創世記をお始めになり、その終日に「泣かないで」と仰せになったので、あらゆるものは泣くのをやめた。空も大地も赤子も老人も泣くのをやめた。悲しみも喜びも怒りも行き場をなくした。渇望、ということばを私は本で読み、辞書で引いて、時折呟くなり書いてみるなりしている。さんずい、日の匂い、亡、月の王。かつぼう。かわき。泣くとはどんなものかしら。泣くとはどんなものかしら?
私が泣いている時、私の方に駆け寄ってくれたのは貴方だけだった。
「泣かないで!あなたの笑ってるところ、見てみたいな」
とっても、眩しい笑顔。私は、ぎこちなく笑って見せた。
それから、私と貴方は親友になった。夢を叶えるために、互いに支え合って、時に喧嘩して、でもちゃんと仲直りして……。
そんな私と貴方が、離れ離れになった。
私だけが、夢を叶えられなかったから。
でも、ある日貴方に会いに行った時、貴方らしくない顔をしていた。
涙のあと。いつもの眩しい笑顔が無くなって、なんだかやつれているように見えた。
「私ね、夢を諦めたの。病気なんだって」
そういった貴方は、大きな涙を流してそのまま黙ってしまった。
このタイミングであんなこと言うのは、違うかもしれないけれど、私は、
「泣かないで!貴方の笑ってるところ、見てみたいな」
いつもの眩しい笑顔が、見たいから。
泣かないでと言ってあなたが去った。
別に泣く気などない。泣かないでと言われたからではなく、こうなることを知っていたから。言ってしまえば心の準備は済んでいたのだ。
どうせ、泣こうが喚こうが、こうなるのだ。
「もし、君が行かなくて良くなるなら、喜んで泣いたって言ったら、どんな顔するかな」
それは少しだけ興味が湧いた。
僅かにぼやけた視界でも君の背後だけはよく見えた。