『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨が降ったらいつも
傘をさすけれど
それが柔らかい雨だったら
濡れながらスキップで
帰るほうがきっと楽しい
しとしと
ついさっきから降り始めた雨
秋雨前線の影響だとかなんとか
ニュースキャスターが言っていたなぁ
傘をさして、
いつもの通りを歩く
雨が降ると、
同じ景色なのに
違うように感じる
声は無く
雨の音だけが聞こえる
目当ての店に入れば
しっとりとしたジャズが聞こえた
…喫茶店に入るのは
決まって雨の降った日だ
雨とコーヒーとジャズ
と、ふと聞こえた声
懐かしい思い出を
見つけた気がした
喫茶店で友達と話す
少女とも女性とも言い難い子
昔の私の様な子
彼女の様子は
昔の私と違って
満ち足りている様で…
雨だけが、柔らかく
私を許してくれる
帰りに傘はさせなそうだ
…雨に打たれて帰りたい
【柔らかい雨】
見上げれば空は灰色に染まりつつある。暗い雲に覆われた青空は、今の私の心模様と似ていた。どうしようもない出来事。感情。それらが心に雨を降らせる。それはもうどしゃ降りだ。ベンチに座り、あなたが通らないかと期待したけど、きっとあなたは会いたくないんだね。涙が零れそうになる顔を上げた。もうすぐ雨が降ってくる。思い出すのはあなたの優しい声。好きだと思った。真剣な眼差しにどきどきした。目が合うと嬉しくて思わず笑顔がこぼれた。会いたいです。そんな願いは降ってきた雨に欠き消された。
【柔らかい雨】
柔らかい…おだやかである。柔和である。
おだやかな雨とはなんだろう
霧雨(きりさめ)だろうか
慈雨(じう)だろうか
甘雨(かんう)だろうか
しかし、雨に対して柔らかいとは
どういうことなのだろう
雨はその人、その時の心情によっても
変わってしまうだろう
雨を見て
ただ雨が降っていると思う人もいるだろう
その雨に己の心情を表す人もいるだろう
その雨がその人にとってどう映るかなんて
その人にも分からない
ただ、その空がこぼしたその水に
君は何を思う
柔らかい雨がすぐ乾き、叩きつけるような雨はなかなか乾かず身体を冷やす。
優しい言葉より厳しい言葉が、人を刺し記憶に残るように。
【柔らかい雨】
「柔らかい雨」
どっちを選べば、明るい未来が待ってる?
そんなことを迷っている暇なんて無い。
全て諦めて自分の首をはねろ。
どっちにも明るい未来なんてないさ。
地獄も良いところだといいね。
【#110】
「柔らかい雨」
みぞおちに落ちた塊の
行方も知らないうろこ雲
葉越しの空に探しては
代わる代わるの雨雫
柔らかい雨
あの日
暗くて何も見えなかった
夕方、迎えを待ち、
君の部活帰りを期待していた
願いがかなったのか
柔らかい雨に濡れながら
君が歩いてきた
雨に濡れている君の前髪が
輝いていた
車に乗る前に
半分こっちを振り返ってるのが
ドキッときた
雨がさらにやわらかく、
甘く感じた
振られることが初めてだったあの夜
天気は雨だった
すべてがどん底だったから
心底どうでもよくて
公園の真ん中で
傘もささずに雨を浴びた
記憶さえ流してしまえばいいのに
優しい雨に祈りながら
風邪を引きたかったんだよ
肌に何かが当たる
最初は雨なのだと思った
天気雨だろうかと
だけど空を見上げても雨雲も降り注ぐものもない
顔を上げた
大切な君が泣いていた
瞳と声を濡らして
私の頬まで濡らしていた
何でかはわからないけれど
余りにも優しいその雫を
私は柔らかい雨みたいだと思ったのだ
柔らかい雨
雨が降ってきた。
傘は持っていない。
霧雨のような雨だ。
全身濡れるが、どことなく心地良い。
傷心中の私には、雨が慰めてくれているように感じた。
ぽいと丸めた原稿用紙を放る
「あと少しで完成なんだがなぁ……」
決め手となるセリフがなかなか浮かんでこない
畳のうえ大の字になってみる
近所のベランダの屋根を
しとしと打つ、やさしい音
そっと瞼を閉じ、泳いでみる
「しばし、このまま」
間抜けに響いたように感じ
フッと吐息が洩れた
柔らかい雨は
今日の天気は雨だが、かなめは何処か楽し気な足取りで道を歩いていた。
今日の雨は何処か柔らかくて……心地よいと思ったから。
強い雨は嫌いだが、この柔らかい雨がかなめは好きだ。
それは天の神が舞っているような気がしているから。
天の神が雲の上で舞い、植物や花々などに元気を与えているように感じるからだ。
その舞いの力で蕾が綺麗な花を咲かせ、植物が元気に育つ……だからかなめは柔らかい雨が好きだ。
#柔らかい雨
傘の花の中
たたずむ私
身動きさえできず
ただ空を見上げて
聞こえるはずのない声を探す
哀しみなんて流れてしまえ
寂しさなんて溶けてしまえ
少しだけ微笑んで
目を閉じれば…
雨も優しい
やがて柔らかに私を包み
垂れこめた雲の隙間から
光を連れてくる
雨もいい
今のうちに泣いてしまおう
柔らかい雨が降ってきた
隣にいる夫がスッと上着を脱いで
私の頭の上にかぶせてきた
え?夫よ!
風邪引くよ?
そう言うと
お前が風邪引いたら大変だから着てろ
そう言って私の手首を掴み歩きだしてくれた
まったく
してくれることがイチイチカッコいいんだよ
私は嬉しくて照れ笑いながらうつむいて
コクりと頷くことしかできなかった
夫、かっこ良すぎ!!!
あゝ朝露が我を濡らしている
素晴らしき祝福が収斂し結晶化した愛は
天へと舞い上がり朝露と成った
何時迄もこの愉楽を存分に味わせ賜う
魂が消え、肉体が消えようとも
海原を創った朝露は欣快(きんかい)を広げる
どれだけ醜怪な世界だろうと
無言で可憐に包むに違いない
おゝ朝露が霧散し消えて逝く……。
『朝露』
柔らかい雨
音もなく
僅かに触れる
これから雨が降りそうな雨粒
優しくはない
冷たさもない
雨が強くならずに去っていく
降らなかったなって
ちゃんと降っていた雨
嫌なことが続いたあと、
外に出たら雨が降っていた
今日は傘を持ってきていない
こんなところでまで嫌なことが起こるのか
スマホで天気予報を見るに、
どうやらこの雨はまだまだ止まないようだ
しかたがないので濡れて帰ることにした
思いの外優しく柔らかい雨だった
打たれて冷たいはずなのだが、
どこか温かみを感じるような雨だった
そのうち雨に慰められているような、
そんな感覚になり、
まあこんな嫌な日くらいたまにはあるさと
心を切り替えて、
私は帰路につくのだった
柔らかい雨
孤独でいる時には心と頬に冷たく激しい雨がざあざあ降る。
でも、貴方といる時は、心と頬に柔らかい雨がしとしと降る。
『弱い』でも『小雨』でもいいのに、『柔らかい』と表現するのは、雨が日本人に愛されてきた証拠だよなあ…と、分かったような、分かってないような(多分こっちの要素が8割)ことを考えた。
じゃあ、『硬い』雨とは何か?
ーそりゃ霰(あられ)か、雹(ひょう)だろ。
そう真っ先に思いついた自分は、やっぱり分かってない方の人間でした。