『時を告げる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
→『彼らの時間』1 〜時よ、止まれ。〜
「時を告げるって、なんか大層な言葉だよね」
小学3年生の国語の時間、隣の席の但馬ヒロトくんがそう言った。
大層という単語を初めて聞いた。僕はその意味をわかっていないくせに、彼の整った横顔に見惚れて「うん」と頷いた。ずっと見ていたいと思った。時間が止まればいいのになと思ったら、チャイムが鳴った。
「あっ、時、告げられたね」と彼は笑った。
あれから十年が過ぎた。時は止まらず、その波にのまれて、僕は大人になった。
朝、スマホのアラームが鳴る。慌ててそれを止めて横を見る。キレイな横顔が健やかな寝息を立てている。良かった、起きなかった。
「ヒロトくん、朝だよ」
僕はたっぷりと彼の横顔を堪能して声をかける。小学生の時も格好良かったけど、今は大人の色気でさらに尊い。
「おはよう」
ヒロトくんは大きく伸びをして、僕にキスをした。
「うん、おはよう」
二人だけの世界。なんて素晴らしい朝だろう。
あぁ、ヒロトくんに朝を告げる、その時間が少しでも長く続いてほしい。
この関係に多くを望んではいけないのは解ってる。優しい彼が僕に付き合ってくれてるだけだから。
それでも、僕はことあるごとに「時よ、止まれ」と願ってしまう。
終わりが告げられる、その時に怯えながら。
テーマ; 時を告げる
鳩時計なんていいなと思うけど出てきた鳩をひきちぎりそう
︰時を告げる
意味とか理由とか探して、それ、見つかったら幸せになれる? 人生の意味とか、自分の価値とか、そういうのあったら生きやすくなれる? やる気出てくる? 本当にそれさえ見つかれば生きていけるの? 無い物ねだりばっかりよね。中途半端考えられる人の脳を持ってるから、中途半端辛いのね。そんなの見つけたところで臭いものに蓋してるだけなの。ずぅっと苦しいまま。
どうして生きているのかなんて二の次なのよ。そんなことを考えているのは生きていて苦しいから。ならその根源を探して潰せばいい。生きる意味があったって辛いものは辛いのだから、重要なのは生きる意味じゃなくて、ストレスを取り除くことやストレスに対処するってことなの。
ああ、そう、正しい対処法なんて、そんなの誰も教えてくれないわ。
ムカムカするの。人を見るとどうにもこうにもソワソワして、イライラしだして、とりあえず何か引っ掻いてないと落ち着かない。ギャハハって下品な笑い声も、パチンパチンシンバル持ったお猿さんのぬいぐるみみたいに手を叩いてるのも、恨み辛み愚痴ってるのも、理解できないからって攻撃してるのも、全部うるさいの。
人間邪魔だし、そこの一部である自分も嫌。イライラムカムカガリガリ。そんなことしてたら皮膚がボロボロになっちゃって痛いから、脳内で人を刺すイメージをするの。思う存分刺して刺して刺して刺してあー! スッキリ!
何度も刺したらね、そしたら人間だった何かになるの。脂肪も筋肉も内臓も混ざりあった細切れの肉と骨だけになる。人間もね、ただの肉の塊なのよ。ただの肉の塊と骨を高温で焼き尽くしてしまえば何も残らない。中身なんて無くなる。
「あ、人間もただのお肉なんだ」。なぜだかとっても心が洗われたような気がしたの。ただのお肉なら、そんなに気にしなくていいやって思ったの。
ただのお肉なんだ、ただの肉、ただの人の肉! どうでもいいや!
ただの肉ならどうでもよくなれたの。他人も、自分も。
だからね、人肉さん、好きなようにすればいいと思うの。
お前はどうせ排便するのに美味しい食べ物がいいって料理して食べてるものね。栄養にはなるよ。でも料理そのものはなくなっちゃう。それとおんなじだと思う。どうせなくなっちゃうの。
偉業でも成し遂げない限り後世の人に認識されることはないし、一人でぽっくり死んでしまったら誰からも忘れられる。どうせ何も残らないの。
だからね、人肉さん、好きに笑って、好きに怒って、好きにほざいて生きていればいいと思うの。み〜んな肉の塊よ。ただの肉塊。精肉店で販売すらしてもらえない肉の塊。人間って食べたらどんな味がすると思う? 食べる部分があんまり多くないから、齧り付くのが難しかったり。人間も鶏肉と同じように骨とくっついてる部分が一番美味し? あんまり美味しくない。でもとびきり美味しいから精肉店に並ばせてもらえないってことにしちゃおう。SSRのお肉! 共食いしたら病気になるから食べちゃ駄目ってだけだと思うけど。
「ただの人肉がなんかほざいてる」
人がただの肉塊に思えたとき、とても息がしやすくなった。どうでもいい存在、喚いてようと笑ってようと、お肉がなんか喋ってるって思ったらちょっとファンシーだった。スーパーに並ぶ肉が何か言ったとしても気にも留めないだろうし。だってただの肉だもの。
スーパーに並ぶ肉を見てひとつひとつその動物たちに思いを馳せたりする? ひとつ、ひとつ、その動物はどんな生き方をして、どんなふうに感じて、どんなふうな思いを抱いてここに並んでるんだろう、って。やる人に「人を肉だと思え」なんて強いるのは無茶な話かな。
肉に対して食べ物としか認識していないの。特に何も感じず肉のパックを手にとって「どれが安いか」「どれが美味しそうか」を気にするだけ。だからかな、人のことをあっさり「ただの肉だ」と思えたの。同じだと思った。人間もただの肉とおんなじよ。ならここにパックされてるお肉たち同様、いちいち気にしなくていいやって思った。ただの肉が動いて喋って生きてるだけならあんまり怖くなかった。
いっそ可愛いと思えた。一生懸命お肉が何か叫んでるんだって、お肉、一生懸命生きてるんだって。有難いことね、ちゃんと「いただきます」って言うように、ちゃんと挨拶しないとね。
倫理観なんて人によって変わるものなのに、それをベースに話そうとするなんて「変なの」って思わない? 曖昧に存在してる「倫理観」「倫理的に」ってやつで話が進んでく。きっちり倫理観の磨り合わせってやつをしたらね、揉め事が起きちゃうんだって。本当かな。
人もお肉。だから怖くない。己も肉の塊。だからなんだっていいんだ。
どうせ肉の塊なんだ。憎たらしいあの人も、消えてほしいあの人も、みんなただの肉。大事に思っているあの人も、仲良くしてるあの人も、みんなただの肉。己もただの肉。人って呼ばれてるだけの肉の塊。
ねえ人肉さん、少し息がしやすくなったって思わない? 人間でいると疲れちゃうものね。たまにはただの肉の塊になればいいのよ。ただの人肉。燃やしたらなんにも残らない。
人肉さん、人間みんな肉の塊なんだから、どんなこと思おうと、どんなこと言われようと、どんな行いをしようと、なんでもいいのよ。肉の塊が服着て歩いてるだけなんだから。人肉がなんかほざいてるだけなんだから。途端に全部、どうでもよくなれる。焼いてこんがり美味しい肉にはならないけど、今日もお肉、げんきそうだなあ。
ただの肉の塊がたまたま電気信号で動いてるだけで、全部己の脳が下した判断に従っているだけ。
ねえ人肉さん、貴方も燃やせばなくなるんだから、気楽に生きていいのよ。ただの肉が、何か口にしたところで、どうでもいいもの。人肉さん、なんでもいいの。なんでもいいなら、気楽でしょ。気楽に生きてね、人肉さん。
大通りの時計塔
いつもは気にしていなかったけど
今日は早くその音が聞きたかった
待ち合わせの時間が来るのが
楽しみだったから
時間毎に違うメロディ
11時はなんだっけ?
約束よりもかなり早く着いたから
早く時計塔の針が進んで欲しくて
じーっと見てしまっている
自分のスマホの時間と変わらないのに
何度も何度も見比べて
何やってるのかなーなんて思ったりしてると
急ぎ足で彼が現れた
約束の時間の5分前
お約束の「待った?」から始まる彼との時間
ウキウキ気分でその場を離れた
時計塔の11時のメロディ
結局確認できなかったけどいいよね♡
「時を告げる」
希望の鐘が
時を告げる
朝の駅舎
電車が入る
おはようと笑う
女子高生たちに
負けていられない
そんな気持ちで
さあ行こう
僕らの世界へ
新しい素晴らしき
今日という世界へ
塩素の匂いが鼻を突く。
泳ぐには少し、肌寒い。
嫌だ、まだ終わって欲しくない。
そう願っても。
目の前を飛ぶ赤とんぼが、
時を告げる。
時を告げる
時を告げる朝日が来る
夜を乗り越えられた
悪意は吸血鬼のように夜に溶けた
大半を乗り越えることに費やした気持ちでもある 報復性の夜ふかしだ
安寧は程遠くても
少しだけこの実績解除を祝おう
時を告げるチャイムが鳴る
最後の試験のあの瞬きもよく覚えている
苦戦していた汗の滲む瞬間から
思考があ、解放されたともなる瞬間
合格発表までなんとなく程遠いけど
帰り道は何しようと選択肢が生まれた瞬間
何者かになりたくて飛び出した日本
言葉が通じない場所でプレーするのは簡単ではなかった
自分の限界を突きつけられた
場所が違うのかもしれない
「時を告げる」(一行詩)
時計が在らぬ時間を告げる時を超えて
◆
懐中時計の針は何処かにいってしまい時はわからぬまま
◆
時の記念日を迎える度に新しい時計を迎え入れる
◆
時を巻き戻してやり直しが効いたら何度もやり直すか
時間は手を振って 進めと歌う 背中側
その理由を探すため 私は生きていく
側にいないとしても あなたには
あなたのいる世界を見付けてほしい
迷ったら そのままで
正しさより ただ前へ
選んだものに頷ける様に
「時を告げる」
薄暗い部屋の中、古びた時計が静かに時を刻んでいた。その音は、まるで過去の記憶を呼び覚ますかのように響く。主人公のアキラは、祖父から受け継いだその時計を見つめながら、思い出にふけっていた。祖父はいつも言っていた。「この時計は、ただの道具ではない。時を告げる者だ」と。
アキラは、時計の針が動くたびに、祖父の言葉を思い出す。彼は子供の頃、祖父と一緒に時計の修理をしたり、その歴史を語り合ったりした。祖父の温かい手のひらが、アキラの心に深く刻まれている。しかし、時が経つにつれ、祖父は旅立ち、アキラは一人残された。
ある晩、時計の針が12時を指した瞬間、奇妙な光が部屋を包んだ。アキラは驚き、目を凝らした。その光の中から、祖父の姿が現れた。「アキラ、時は流れ、思い出は消えない。君の心の中に、私がいる限り、時間は止まらない」と祖父は微笑んだ。
アキラは涙を流しながら、祖父の言葉を胸に刻んだ。時計はただの道具ではなく、愛する人との絆を結ぶものだと気づいた。彼は時計を大切にし、祖父の教えを次の世代へと伝えていくことを決意した。
時を告げるその時計は、アキラにとって永遠の宝物となった。彼は心の中で、祖父と共に生きることを誓った。
立花馨
ときを告げる
時計!
時間は短い
どんどん過ぎていく
楽しいことしなきゃ!
まだまだじんせいここからだ!
水面に吸い込まれていく赤い水滴。
浴槽に張り巡らされた水にゆっくりと広がっていく赤。怜は朦朧としながらも、恋人のことを想っていた。
玄関から鍵の音がする、ただいまと帰ってきた正人は、ドタバタと足音をさせながら怜を呼んで、寝室にいないことを確認すると、すぐに事を察して風呂場へ向かう。
正人は怜を見つけると意識があることに安堵して、急いで風呂場から連れ出した。濡れて冷えた体をバスタオルで軽く拭き、傷の深さを確認して慣れた手つきで手当てする。震える怜を何も言わずに抱きしめる。
ごめん。もうしないよ。もう終わりにしよう、俺たち。と切り出したのは怜だった。
正人は頷くことしか出来なかった。
真っ暗な場所で目覚めた。
周りには何も無くて、歩いても走っても、何も景色は変わらない。ずっと続いてる。
何もできることなんてないし、寝転んでおくかと思って寝転んだまま。
一体なんなんだろうって。夢なのかなって。
考えていたら、何もかも分からなくなるんだよね。
例えば…この手はどうやって動かしてるんだっけとか、僕って誰?みたいに…何となく全部分からなくなるんだよね。
そしたら…終わりの時を告げるように、目を覚ます。
夢だったんだって思った。でも、それからそういう夢は見るようになったな。
それからだった気がする。病気が出たの。
時間というものはあっという間で、そして遅いよね。
自分たちからは遅く感じたり早く感じたりする。不思議だよね
大切な人との時間もあっという間で、すぐに終わる。
なんで時間って存在するんだろう
別に時計というものじゃなくても、別の何かが存在していたかもしれない。
でも僕からしたら結構遅いんだよね、時間って。
どうでもいい話なんだけど、さ。劣等感とか、差別とか、そういうのを受けている時間が凄く遅く感じる。
早く終わって、早く逃げたいって思うのに、時間は早く進んでくれないから。
それでまた死にたくなる。
僕の気持ちの問題もあるかもしれないけど…すごく苦痛な時間。正直しんどいというのが現状。
でも僕じゃこれをどうにかすることも出来ないから
周りの可愛い子達を引き立てて
妹が可愛がられるよう悪役になる
みんなそれを望んでるって知ってるよ
何度も見てきたもん
もっと可愛くなれば
仕事に自信を持って取り組めたら
あと5キロ痩せたら
メイクが上手になったら
笑顔がきれいに作れたら
あなたにほんとうの気持ち
打ち明けられるかな
時を告げる
満月の夜は、
言いようもない不安に襲われ、
眠れなくなります。
満月は私を狂わせます。
不安は焦燥感に変わります。
私は奥歯を噛み締め、
じっと耐えるのです。
私は耳を澄ませます。
夜明けの時を告げる鐘の音を、
只管に待っています。
夜が明ければ、
満月の恐怖から、
開放される。
そう信じて。
貴方の温もりを頼りにして、
貴方の手を握り締め、
貴方の鼓動の音に、
時が過ぎ行くのを重ねます。
……。
私と貴方の、
悪夢の戦いの夜の、
終わりを知らせる、
時を告げる鐘の音が聞こえた時、
私が正気で居られたら、
一杯褒めて下さいね。
私はパズルを組み立てている。
完成図もなければ、絵や柄もないまっさらなパズルだ。ピースの大きさや形も不揃いな上に必要な個数もわからない。
〝私〟という人間の一生をかけたパズルだ。
1日が終わるたびに少しだけ世界が広がり、そのどこかにピースがある。きれいな色だったり濁っていたりその日を表したような色形でみつけるのに苦労する。感情が色であれば出来事は形として表れ、大きさは充実度を示す。
最初ははめ込むのも簡単だったのに広がりすぎたパズルはあるべき場所を探すのも大変になってしまった。不思議なことに過去のピースほど色褪せて、あるのかないのかわからないくらい透明になっている。触ればあるのはわかるから消えてはいない。
ついに終わりがみえてきたとき、大事なことに気がついた。パズルの全体図がなんとなく予想できてしまったときから覚悟はしていた。私にとって1番大切なものだったと今になって気づいたのだ。
赤く、燃えるように鮮烈で、温かくも冷たいそれ。
このパズルは完成しないまま終わるだろう。大切なものを得られないまま死んでいく私のように、白く褪せていつか無色透明になって吹き飛んでいく。
真上からみたパズルは〝私〟だった。
心臓があるはずの位置にはピースがない。欠けてしまったのか元からなかったのか、探すのを諦めてしまったのか。
きっとそこには真っ赤なハート型のピースがあったはずなんだ。命をつなぐ象徴をかたどったものがあったはずなんだ。
パズルが端から燃えていく。ここも時間の問題だ。
私の時は終わったのだとわかるんだ。
悲しくはない、後悔はない。
完成しないことが正解だったのかもしれないな。
【題:時を告げる】
かち、かち、かち、かち、と
時計の長い針は一秒一秒
音を立てて進んでいく
長い針よ、誰よりも働いてくれて
ありがとう、おつかれさま
わたしが眠る間は
すこしやすんでいてもかまわないよ
時計らしさを捨てるなんてできない?
いいんだよ、たまには休んでくれて
時を告げる
貴方と言葉も顔も交わさず
さようならをして7年経った。
近況が知りたくて貴方の名前を調べたけど
何も手がかりは無かった。
ふと時計を見ると
起床する2時間前になってしまった。
もうちょっと探していたかったのだけれど、
もう彼の事は忘れなさいと
時に告げられてしまったのかしらね。
時を告げるもので思い出したNHKの時報。そういえば時報見なくなったなぁと思い調べたら、地上デジタル放送になり無くなったとのこと。データの処理に僅かながら時間がかかるため、テレビで正確な時報を流せなくなったのだそう。あの音と時計でもうお昼か〜なんて思ったりしてたなぁ。時計のデザインも懐かしい。