『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題『春爛漫』
僕の地元には桜並木がある。春になるといっせいに満開になって、道を通れば花のいい香りがして、舗装された道路が散った桜でしきつめられて薄桃の絨毯になる。
そんな季節が僕は好きだ。だが、毎年地元では桜にかこつけて、祭りをやる。そんな時、いろいろなところから人が来る。
いつも満開の時期と祭の時期は大体ずれている。だが、今年に限って祭が開催される日にちょうど桜が満開になった。
僕はいつものように桜並木の下を歩く。違うのは人がごみごみしているか否かだ。人が多いというのに桜の天井は壮観だし、とてもいい匂いがする。
そんな時、僕はふとある露店に目を留めた。
そこは最近地元に出来た花屋で、なんとも大きめな桜の苗木が売っているではないか。たまたま売れていないらしい。サイズが多少大きすぎるからだろう。大人の男性一人分くらいはある。
だが、僕はなにを思ったのかそこのお店に行って
「桜の苗木を一つください」
と言った。決して安くないお金を支払って、僕は大きな桜を抱えながら帰路を行く。お祭りで気分が高揚して、思わず買ってしまった。重すぎて正直腕がちぎれそうだ。だが、日頃から筋トレを怠っていなくてよかったと思う。
僕は親が遺した広すぎる一軒家で一人で暮らしている。老後までずっと時間はあるが、僕は他人に恋愛感情を抱けないから一生一人で暮らすつもりだ。高校の時からずっと悩んで、今まで一度もなく来てしまった。
孤独な人生が確定している中に一本の桜の木が僕の住処にあったらすこしは心が慰められるかな。そう思うんだ。
作品No.11【2024/04/11 テーマ:春爛漫】
その言葉のもつ
意味も景色もよくわからないけれど
明るくて心踊るような
そんな言葉に感じる
この島にはあまりない
春の色に
満たされる空気はどんなものだろう
春爛漫
「う〜ん......よく寝た。」
とベットの上で体を伸ばして、ベランダに向かう。
カーテンを開け、窓を開けると満開の桜が目に付いた。
「うわぁ!凄い咲いてる!」と子供に戻ったかのように、はしゃいでしまった。
早速ベランダに出ると、桜の香りが風に乗ってやって来た。「今日が休日でよかったなぁ〜」と言いながら桜に手を伸ばした。桜の木はベランダの先にまで良く成長しており、花びらの先まで良く見えた。
しばらく桜を堪能した後に、朝食の準備をするために中に戻った。
「今日は何を作ろうかなぁ〜。あっそうだ。トーストにしよう!昨日美味しそうなジャム買ったし。」と独り言を言いながら、トーストの準備をし始める。「あとは......アレクサ!私の好きな音楽かけて。」と言うとアレクサは私の大好きな曲をかけ始めた。朝食の準備が終わると、ベランダに小さめの机を持って行き、その上に朝食を置いた。
「いやぁ。桜をまじかに見ながら食べる朝食は良いなぁ。」と言いながら、朝食をたべ始めた。
貴女の笑顔が咲く、そんな春が好きだった。
「凛〜」
緩やかに伸びた声が青空の中に響き渡る。
背中に小さな衝撃、そして彼女の体温。
寝坊した彼女が走って私に追いつくのもいつもの事。
幼稚園の頃からこうして二人で共に歩み、いつも二人で一緒に居た。
今日から高校生になる私達、未だ新しい制服、新しい鞄。穏やかな日差しはまるでこの日を祝福している様で。何より太陽の光を受けた彼女の笑顔がキラキラと輝いて見える。彼女は笑顔が良く似合う子で、私は彼女の笑っている姿が好きだった。
箸が落ちても笑う年頃とは良く言うけれど、笑っている彼女が好きなのだからいつまでも笑っていて欲しいと思う。
春風が髪を靡かせ、運ばれた春の香りと心地好さに思わず微笑みを浮かべた。
「凛、どうしたの?」
「なんでもない」
「あ〜わかった、好きな人でも出来たでしょ!凜にも春が!」
冗談めかして彼女が笑う。また笑顔が咲いた。
そんな彼女につられて私も笑みを零し、ニヤニヤと私の反応を楽しんでいる彼女の額にデコピンを入れた。
「好きな人なんて居ないわよ。」
好きな人なんて居なくても幸せなのだから。
好きな人より貴女の笑顔の方がきっと好きに決まってる。
好きな人の隣より貴女の隣の方が心地好い。
「痛いよ凛!何するの!!」
額を押さえてじとりと睨む彼女、今度は私がニヤリと笑う番。そしたら矢張りつられて彼女も笑みを浮かべてくれた。
貴女の笑顔、どうか今年も爛漫に咲きます様に。
お題:春爛漫
父に花見に行こうと誘ったら
駐車場そばのサクラを指差し
毎日見てると言われてしまった。
そういうんじゃないんだよな。
うちの団地の南にある芝生スペースにある八重桜。
毎年、他のサクラが散り始めてから遅れて咲き始める。
今年もこの間の嵐が通り過ぎたら途端にポコポコ咲き始めた。
満開になったらベランダに花びらがちらほら舞い込んできて
なんとも風流だ。
そうだ、今年はベランダで花見をしよう。
ビニールシートひろげて、コンビニ弁当とビール用意して。
そうしよう。のんびり八重桜でのんびり一人花見。
うん、楽しみになってきた。
(春爛漫)
満開の桜よりも春の陽よりも
肩越しのあなたの笑顔こそが春に見えた。
第一高等学校の入寮式を終えて、この手紙を書いている。返事を読んだ。忙しいのなら、と貴女は言うが、吾妹が恋しくて不可無いのだ。寮歌の「春爛漫の花の色」という詩に貴女と見た桜花を思い出す。卯月の爛漫な君に、また会える日を楽しみにしている。
【春爛漫】2024/04/11
インフルで頭が回りません。今回のようなヤマオチなしの雑駁な文章が少し続きます。
桜は既に散りはじめている。美しさの中に少しのもの寂しさが同居するえも言われぬ風景だ。しかしこの時期だからこそ見られるものがある。
散った桜ではなく上を見上げてみよう。そこに見えるのは桜の花に混じった青々とした若葉。それは新たな世代を感じさせる生命力に溢れている。あつらえたかのように天気は快晴。散った桜が道を作り、陽射しが道を明るく照らす。光と緑と桃が作る、今だけの「春爛漫」
今年もこの季節がやってきた。
【題:春爛漫】
今年は桜の開花が遅れて、自分が住んでいるところでは4月上旬に満開になった。遅れて、という表現は少し違うのかもしれない。近年は温暖化の影響で開花が早まっていて、かつてはこの時期が普通だった。
桜は先だっての風雨でだいぶ散ってしまった。
年度の終わりと初めはなんだかドタバタして、ドタバタが過ぎたら気が抜けてしまった。
ここに書くのも間があいた。
春眠暁を覚えずを地で行く日々を過ごしている。
最近は5月頃には暑くなってしまう。これまた温暖化のせいらしいが、夏が年々長くなっている。
今年は久しぶりに入学式の頃に桜が咲く春らしい春だったが、これが当たり前の景色でなくなったのはやはり寂しいことだ。
去りゆく短い春を惜しみつつ、今しばらくだらだらしていたい心持ちでいる。
『春爛漫』
春。新たな生活。新たな出会い。
光溢れる道に期待と不安が咲き乱れていく。
妙に浮き足立ったまわりに影響された訳じゃない。
光輝いて見えた。そんな人は初めてだった。
強烈ではない。でも生きる力に溢れた光。
色鮮やかに咲く花達はこの人の光を浴びて生きているのだとさえ思えた。
長めの前髪に落とされた影が彼の瞳を一層輝かせていた。その瞳はいつも何を見ているのだろう。
大きい体。大きい手。何を食べたらそんなに大きくなれるのだろう。
お洒落なのか。面倒なだけなのか。それとも最近忙しかったのか。髭を伸ばしているのは何故なのだろう。
ねえ知りたい。知らないことだらけのあなたを。
「好きです。私のアポロン。」
「…………………………は?」
こんな気持ちはきっと
この世に生まれた時以来だ。
春爛漫
:春爛漫
春は嫌いだ。「嫌い」なんて簡単な言葉でまとめてしまって。ごめんなさい、辞書を引く気力もないの。
春は感触が不安定で。あら、僕の場合年中そうかな。
窓を開ければ春の穏やかで優しい香りがするのを知っている。外は彩りが増えて簡単に明るい世界へ飛び込めると知っている。知っている、もちろん。
こうやって閉め切られ臭いのこもった部屋でうずくまるのが性に合っているわ。
ごめんなさい、そういうことにしておいてちょうだい。
みんなはこれからお花見?とっても素敵ね。花に見とれて足を踏み外したり、腹の底を冷やさないようにね。
春爛漫(時間の都合で中途半端で切りあげてます。)
───君の隣でずっと見ていたかった。
その笑顔とここでしか見られない桜を、──
俺はショウタ。
美容とサウナそして焼き鳥が大好き。
今日は待ちに待ったある人とのお花見がある。
お昼にとある桜の木の下で待ち合わせ中である。
(数分後…)
? ¿)ショウタく~ん、お待たせ~(手振)
あ、来た来た。俺の大好きな人。
俺は名前を呼ばれ振り向く。
ショウタ)レーンっ、 (手振返)
今日も相変わらずイケメンだなぁ、笑
レンが近づいてくるまでそう独り言をこぼす。
レン)んふふっ、待った?(ニコ 首傾
ショウタ)んーん、全然大丈夫(ニコ
レン)よかった~、お弁当作ってたら遅れちゃった(テヘ
ショウタ)お弁当作れるとかまじ尊敬、
レン)んふふっ、色々詰めてたの(ニコ)
4/10「春爛漫」
咲き乱れる桜。穏やかな気温と風。
春だ。ようやく春だ。というか、今年は冬から夏に飛ばずにちゃんと春がある。
「去年は四季が二季になったかと思ったよね…」
「ほんそれ。日本の良さ行方不明だった。…ふぁ〜あ」
「はわぁ〜…伝染った。春眠暁を覚えず?」
「あ〜。そだねぇ」
二人して目尻の涙を拭いながら、校門の桜を見下ろす。窓からの風が気持ちいい。
春を、楽しもう。
(所要時間:11分)
4/9「誰よりも、ずっと」
「ねえ、聞いて聞いて。カレったら、『君を愛してるよ。誰よりも、ずっと』って言ってくれたの」
嬉しそうに報告してくる。あたしはため息をついた。
「誰よりもって、それ他にも女いるって事じゃないの?」
「えっ」
思いもよらなかったという顔。やれやれ、これだから。
いつだって心配してるんだ。誰よりも、ずっと。
(所要時間:4分)
4/8「これからも、ずっと」
「ねえ。手を、繋いでいてよ」
か細い声が言う。動かないその手を、そっと握る。薄い唇に、満足げな笑みが浮かぶ。
「ずっと、一緒だよ」
「うん」
「これからも、ずっと」
「うん」
その答えに安心したのか、まぶたを閉じた。
この人が死んだら―――自分はどうしようか。
後を追うのか。生きるのか。いずれにせよ、「ずっと一緒」に変わりはない。この人の心は自分のもので、自分の心はこの人のものだ。
それがどこか悔しくもあり、心地よくもある。
(所要時間:7分)
『春爛漫』
昨日まで何もなかった砂利道に草の芽がぽつぽつと現れた。双葉は背を伸ばし本葉を増やし、灰色の道は緑色をまぶされていく。茶色い木の芽も次第に膨らみ緑色を帯びて、今か今かと咲く瞬間を待っている。
細くあたたかに降る養花雨は小さな緑の勢いを後押しする。青い小花、小さな豆の小さなピンクの花、黄色い菜の花、三つ葉や四葉の白い花。雨は名前の通りに緑を育み、丁寧に折りたたまれた花の蕾は雨上がりの陽の光を浴びてついにこの世に現れる。
夥しく咲いた花たちはその身を誇り、その身をもって春を春たらしめていく。
#春爛漫
「おーい久しぶり、先に始めてたぜ」
半年ぶりに会うが悪友は相変わらずの様子だ
中学からのよしみで年に一度桜を見ながら公園で飲み食いをする
休日の公園は人が賑わっていて見渡す限り春爛漫といった具合だ。
春爛漫
季節は春ですな。今日は天気もいい。
ベッドで目を閉じているなら、瞼の裏
そこに桜が咲き誇っていますように。
春爛漫
まるで 物語の 出来事 みたいね
昨日までの 風景が
風に 舞い散る 桜の 花が
この世界 春色に 変えてく 秘密の 季節
どうしてだろう?
また 君が 少しだけ 優しさを ましてく 予感
新しい 制服に 着替えたら
桜の 雨に 打たれた 校舎に 光る
フォトグラフの なかに 君が
しなやかな 髪を かき揚げ
光の なかに ループが できてる
水しぶきを 上げた 自転車に
桜の 花びらが 名残を残し
春爛漫の 香りを させてる
どれくらい あと 歩けるのかな?
君が いた 春先の ひだまりが
君が いた 太陽が 軽やかな 風を運んで
風の 便りに 聞くかな?
いつか 話した 夢の
いつか 君と いた 季節を 走る 少年の
心の 中に 生きてる
私の ことを 忘れないでいてね
これからも よろしくね
そっと リボンを ほどいて ウィンクするね
懐かしい 楽園に もう一度 桜が 咲けば
君は もう一度 ここへ来て
いつかの 夢の ノートを そっと 開いて
また 風が 心の中に
桜の 匂いを 運ぶから
君に 謡う 花は
桜の 季節を 舞う 花嵐
あれほどに 好きだった
木陰に 君はなし
遠い 空を 見ていて
夢を えがいた 雲に
何度 君を 話したろう?
それでも 返事は もう 帰らない
春爛漫 桜の 雨
別れに 詠む 歌は 何処か きれいで
哀しみを 何故か 忘れる
君は 水溜りに 映る 影
息を 吸い込んで 空が とても 明るい
日差しが 次の 場所へと 誘うから
花が 散りぬ 道を
桜が ポロリと 落とす 涙さえ
あれほど 生き急ぎ
途方を 暮れていた
淡い 夢は 儚し
雲が 割れては 告げる
太陽 いつか 鮮やかに
晴れてく 雲を 割って 差し込んで
春爛漫 桜の 雨
路上に 舞う 心 誰か 告げてく
哀しみを 何故か 飲み込み
君は 木陰に 映る 陰
桜 並木道 あの 夢 思い出
春 運ぶ風 あの 空 きれいに 澄み切って
空 鳥泳ぐから
うらぶれた風と花弁が吹き溜まる春爛漫の生の残り火
題目「春爛漫」
屋台のイカ焼きをそんなに綺麗に食べれる人、初めて見た。思ったままの感想を伝えると、残った串とトレイをビニール袋に仕舞いながら「そう?」と小首を傾げた。桜の開花を言い訳にして現れた屋台。釣られた彼はわかりやすく花より団子。それでもこちらから手を差し出せば、空いた方の手で繋いでくれるのだからちょっとたまらない。彼も少しは満開の桜に浮かれているのだろうか。攫われないようにちゃんと掴まっていて、なんて戯れを言いながら並木道をゆっくり下っていく。
(題:春爛漫)
日の本の
桜並木を
駆け抜けて
一つ目屠って
いざ甘味処へ!
「もぐもぐ」
「(前にもこのようなことがあったような…)」
春のとある日品川で
花より百鬼より団子な日
(Fateサムライレムナント)
「去年は『春爛漫なスミレの砂糖漬けが実家から大量に送られてきて、職場におすそ分けに持ってきたけど、クソな上司に食わせるのはシャクで仲間にはシェアしても良いと思った』っていうハナシ書いたわ」
春爛漫というか、気温が気温のせいで、既に晩春初夏の様相。某所在住物書きはスマホの週間予報を確認しながら、外の晴れ空を見た。
去年は夏日間近の日など、あっただろうか。
そもそも「春爛漫」の時期の気温とは、どのような暖かさ/暑さ/寒さであったろうか。
「……でも一応、エルニーニョ現象は、そろそろ終わるらしいってニュースでやってたな」
春って、なんだっけ。物書きはため息を吐いた。
――――――
今年も来年も、変わらぬ春爛漫を、と願うものの、
土地開発、メガソーラーに陸上・洋上風力発電機の大量展開、観光客増加にオーバーツーリズム、それから桜の咲く咲かぬ問題等々、
昨今、去年の春と今年の春が別物だったりする気がするこの頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。
未だに花見に行けないままの物書きが、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。
宇曽野という男の一軒家に、その親友の藤森というのが居候しておりまして、
家賃の代わりに、日々の掃除やディナーの準備等々、家事の手伝いをしておりました。
藤森にも自分のアパートがあり、自分の部屋の家賃だって払っているのですが、
まぁまぁ、諸事情ありまして、後述します。
さて。今日も今日とて藤森、仕事の帰りに馴染みの地元スーパーに寄りまして、一日のフィナーレを飾るに値する割引食材を探します。
今年は桜の満開と、悪天候と大雨が重なって、更に夏日にせまる妙な温暖が続きます。
いつもの「春」は、どこへやら。
せめてディナーで季節を、春爛漫を感じてもらおうと、藤森、まず3割引の木の芽を取りました。
「山椒の葉だ。丁度良い」
それは雪国出身の藤森の、花咲く故郷の公園にも、山菜芽吹く小道でも、よく見かけた「春」でした。
「鶏軟骨の唐揚げにも、炙りの桜鯛にも使える」
まだ中学生という宇曽野の一人娘、最近低糖質に凝っているレディーには少し早いかもしれないし、
宇曽野にとっては桜鯛の木の芽焼きより、木の芽味噌と冷奴で酒のつまみの方が良いかな。
穏やかに笑う藤森は、木の芽と一緒に桜の花の塩漬けも、ちょっと奮発して買い物カゴに――
「おつかれ〜」
――入れようとしたら、桜の塩漬けの最後の1パックを、取る手が見知った男の手と重なりました。
「お前のアパート、とうとう加元にバレたよん」
男は名前を付烏月、ツウキといいました。
「お前の部屋の前に立ってて、俺が『何か用ですか』って大声かけたら、バチクソ慌てた様子で『なんでもないです』って逃げてったよ」
これこそ「後述」。藤森が自分の部屋を持ちながら、宇曽野の一軒家に居候している理由でした。
つまり、加元という元恋人に、独占欲強火の執着なそいつに、ヨリを戻そうと追われているのです!
一旦縁を切ったはずの相手が、藤森の職場にまで就職して押し掛けてきたものだから、さぁ面倒。
詳細は過去3月2日投稿分の2作品山椒、もとい参照ですが、スワイプが面倒なので気にしない。
要するに元恋人とかくれんぼしているのです。
付烏月は藤森の代わりに、藤森の部屋に住み、鉢植えひとつの世話をしたり掃除をしたりしているのです。
「付烏月さん、あなた自身に被害や迷惑は?」
桜の塩漬けは、その塩味と桃色で春おにぎりにできる。藤森が最後の1パックを掴みます。
「なーんにも無いよん」
桜の塩漬けは、その春らしさと可愛らしさで春クッキーにできる。付烏月も同じパックを掴みます。
「盗聴器とか、盗撮とかは」
「ぜーんぶ調べてもらった。なんともなかったよ」
ぎりぎりぎり、ぐぎぎぎぎ。
桜漬けのパックが左右双方から引っ張られて、
藤森の方に行って、付烏月に引き戻されて、
行ったり、来たり、行ったり、来たり。
「まぁ、そっちも、気を付けて……よっと!」
最終的に、フェイントを仕掛けて近郊を崩した付烏月が、満面の笑みでエディブルな桜を勝ち取ると、
それを見ていた商品補充の店員さんが、しれっと、きっと「自分のところの子供も似たことやってるなぁ」な感想だったのでしょう、
新しい、入荷したばっかりの、桜の塩漬けのパック詰めをザッカザッカ補充して去りました。
お気遣い、どうも。
藤森は新しい方のエディブル桜のパックを手に取り、カゴに入れて、「爛漫」と形容するには遠く、ぎこちないながらも、ふわり、笑いましたとさ。