『日の出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
別れがある時、私はこう思う
私とその人が分岐しただけなんだろうと。
別々の道を歩むように、世界線が違った。
ルートが変わって、私の世界で形を変えた人の世界じゃ、私もまた別の形をしているのだろう。
もしかしたら、あなたの世界線ではより良いあなたと私でいるのかもしれない。
そういう形もあるのかもしれない。
私はそう信じている。
或いは、私が至らなくて、あなたのより良い世界に私は混ざれなかったのかもしれない。
その程度な私だから、この世界に絶望して苦しいのかもしれない。
それでも、世界は白か黒かじゃないから
グラデーションの端と端になってしまっても
私はあなたの幸福を信じている。
運命は変えられないみたいだ、
私はここまでだからさ
あとは任せたよ
意識を手放したかった
何勝手に諦めてんのさ!
そっちに行ったら
もう、帰って来れないって言っただろ!
彼女は私の手を引いて
美しい毒路を踏み締め歩いた
その背中はとても美しく
大きかった。
【夢の話】
初日の出が見たいと彼女に連れられ、近所の公園に来ていた。
この公園は海が近く、水平線から出てくる初日の出がキレイに見れるという、この街の初日の出スポットだ。
だが今年は暖冬とは言え、日の出てない時間は気温が低い。
厚着をしてきたが、寒いので早く帰りたい。
そう思いながら東の空を見ると、何やら一際強く輝く星が見えた。
「明けの明星だよ」
僕の心を読んだのか、彼女が答える。
明けの明星、金星の別名。
日が昇れば、太陽の光でたちまち見えなくなってしまう、そんな星。
「あれ、満ち欠けするんだよ」
「よく知ってるな」
「見かけの大きさも変わる」
「マジか」
彼女の金星の知識に感心する。
言われてみれば確かにその通りだ。
月と違って、金星と地球の距離は変わる。
当たり前だが、考えたこともなかった。
その後も彼女は金星について、色んな話をしてくれた。
神話に絡めた話や、現代の創作物での扱い、宇宙移民計画の立案から廃案までのエピソードなど、様々なことを語っていく。
初日の出の見に来たのに、まるで新年初の金星を見に来たかのようだ。
彼女の話は面白く、あっという間に時間が過ぎていく。
ふと気がつけば、既に金星に輝きが弱くなっていた。
もうすぐ日の出だ。
彼女は十分話したのか、満足したようだった。
今まで知らなかったが、金星が好きなのだろうか。
「金星好きなのか?」
「うん、君よりも」
「えっ」
「キシシ」
驚いて彼女に振り向くと同時に、日が出て周囲を照らし始める。
だがイタズラっぽく笑う彼女の顔は、太陽でも隠せないほど輝いていた。
日の出。
それは朝を告げる合図。
薄暗い空から少しずつ太陽が現れる。
私はまだ日の出の瞬間を見たことがない。
いつか見てみたい。
お題『日の出』
黎明の冷えきった空気の中、露出している肌が切り傷のような痛みを感じていたが、曙光によって光に包まれる。
少し眩しくて、目を閉じてしまうが温かな光に包まれる。
それはまるで母親が我が子を抱きしめるような優しさに包まれる温もりだった。
もちろんそれで体が温まるわけでは無いが、日の出によって心も体も優しく包まれる気がした。
お日さま
日の出を描くとき、って
まず、地平線を一本書いて
その上に ポッコリ
お日さま 描いたよね
ときどき 線で光らせて
「そうだ。正月だから、『初日の出』とか『日の出』とかは来るわな」
すっかり忘れてた。某所在住物書きは投稿の刻限をチラリチラリ確認しながら、しかし己の納得できる物語がサッパリ浮かばないので、頭をガリガリ葛藤に掻いていた。
物書きが主に連載風投稿の舞台としているのは東京だ。勿論山の上やビルの高層階、海見える公園等々、日の出の見える場所は無くもないが、
ぶっちゃけ、東京で、日の出そのものを見ることなど日常的にあるだろうか。
「……あと、ぶっちゃけ、クリスマス前に捻った足腰のせいで、今年日の出見に行ってねぇし」
ため息ひとつ。そもそも今年、元旦早朝の天気はどうであったか。
――――――
とうとう仕事が始まった。
ぶっちゃけ今年の三ヶ日、体は休んだ筈なのに、心が全然休めてない。唯一の癒やしは昨晩、職場の先輩が「ブリとサーモンが破格の値段だったから」って、おいしい鍋をシェアしてくれたことくらい。
あとアレだ。非公式だけど、私のアパートの近くのカフェの、お正月限定プチケーキセットだ。
個人経営で、具体的に「どの作品の誰と誰」って明記してない、でも実は◯◯を意識してますっていう、概念アクリルチャームがランダムで貰えるやつだ。
一回注文すれば後はアクリルチャーム代だけ払って、お一人様最大5回まで追加で引けるって、フードロスも減るし、この業界じゃ革命だと思うの。
「それで?」
「目当ての概念チャームが最後5回目で出たのが嬉しくて、神社行って初日の出風の画像撮ってきた」
「初日の出『風』?」
「実は夕暮れ。そもそも太陽が見えないから色と影だけ。ほら、先輩のアパートの近くの、あの稲荷神社」
「日の出が撮りたいなら、あそこに行けば良いだろう。海の見える例の」
「冬は朝が苦手でござる」
「はぁ」
昼休憩の休憩室、いつものテーブル。
お弁当広げてコーヒー持ってきて、誰が電源入れたか知らないテレビから流れてくるニュースをBGMに、私と先輩はランチを食べてた。
先輩は昨日の鍋の残りを、私はお弁当の準備が間に合わなかったから近所のコンビニのサンドイッチを。
それぞれ食べながら、別に何でもない話をしてる。
「先輩の故郷って、日の出見える?」
「は?」
「東京、昼でもないと、太陽見えないじゃん。先輩の帰省にくっついてったら、概念チャームと一緒に日の出フォト、撮れるかなって」
「朝は苦手、ではなかったのか」
「起こしてくれれば大丈夫」
画像の話、日の出とチャームの話、地震の募金箱の話、今日職場に来たお客さんとクレーマーの話。
色々話をして、ランチ片付けて、午後の仕事へ。
先輩が昨日アパートの近くのスーパーで、募金箱の中に諭吉さんが2枚入ってたって言ってたから、
仕事の終わりにちょっと寄って、見てきて、私もちょっとだけ入れてこようと思った。
あー それすごいわかります
自分も同じで寒い日の出勤が遅くなります
ふとんが恋しくてぐずぐすしちゃいますよね
え、先輩いつも裸でふとんかけずに寝てるんですか?
寒くありません?え、体温高めだから大丈夫?
へー 平熱で6000℃あるんですか だいぶ高いですね
けど冬はちゃんと服着てふとんで寝たほうがいいですよ
46億個上の先輩のプライベートは意外とだらしなかった
『日の出』
半年くらい前からあなたと一緒に初日の出を見る約束をしていたのに、私の誕生日だった12月26日にフラれた。立ち直る気力なんて今はあるはずないし、この傷が完全に癒えることはこの先もきっと無いんじゃないかと思ってる。そんな年明け。
______やまとゆう
日の出
夜が明ける。
こんな夜にも朝が来る。
日の出が待ち遠しいような、
どうなったか知るのが恐いような朝。
どうか平穏でありますようにと、
何かに祈った夜から朝へ。
#136
新年から大変なことになってしまいましたね。
幸い私の周りは被害はありませんが……
どうか皆さまご無事でありますように。
1日の始まりを告げる朝日が昇ってきた。けれど私の時間は数年前から止まっている。彼女が死んだあの日も、こんな綺麗な朝焼けだったな。一緒にこの砂浜に座って、コートのおしりの所が二人共ザラザラになって、笑いあったよね。
風がきつい、波が荒ぶって高く高く波打っている。今年こそ死ねるかな、なんて考えながら初日の出に向かって歩み始めた。一歩一歩重くなっていく。足場がなくなっても進み進み、
「おい!!お前何してんだよ!」
嗚呼、また君か。私の意志を無視し私を陸に引き戻す。
「お前毎年毎年飽きねえな」
そう言った君の顔は何だか、落ち着きのない少年を笑顔で咎める父親のようだった。
日の出にパワーを感じるのは、万国共通かもしれない。
ましてそれが初日の出だったなら、お願い事の一つもしたくなる。
あなたは何か願いましたか?
テーマ【日の出】
…すぴぃ~…すぴぃ~
この時、私は車の中で寝ていた
丁度日の出が出るころに
けれど、父と母は私を起こさず二人で車を出て海辺の日の出を見たそう
8時ぐらいに目覚めたら、その日の出の映像を見せられた
なぜ起こさなかったのだろう
地味に悲しくなった
ひかりの中に
希望を映して
イメージする
今日もこうして
生きていられることに
感謝をして
穏やかな日々を
祈る
「日の出」
始まりを告げるものという印象がある
「日はまた昇る」という言葉は、新しいスタートを意味する
日の出というものが本当に始まりを意味するものであるなら、僕は出遅れ人間だ
日が沈み出してからの方が、もっと言うと深夜の方が何かと活発的に動ける
僕にとって日の出は始まりを意味しない
むしろ学校や労働の始まりという意味で、自由な時間の「終わり」を意味する
勝手に「始まり」を決めてもらわないで欲しい
「始まり」というのは人によって異なるもののはずなのに
K
昔なら寝ずに朝日を見たことは何度かあるけれど、いま徹夜したらその日はへろへろでリカバリーに2日くらいかかると思う。
深夜まで起きていることはしょっちゅうあるが、一応日が昇れば起きなくてはいけない。
徹夜しても好きなだけ寝てていいなら、朝寝て昼過ぎに起きるという、立派な昼夜逆転型人間になれる自信がある。
初日の出も拝むことなく寝正月していたら、もう三が日が明けてしまった。今年の抱負は動くことだったはず。明日から頑張ると言うヤツは結局明日もやらない、なんて囁きが遠くから聞こえてくる。
『日の出』
テーマ〖日の出〗
今は月の無い深夜のような真っ暗な道を歩んでいる。
先は見えない。光は無い。行き先照らす明かりも無い。
道歩く人達が味方か敵かも分からない。何が嘘で誠か。
このままこの道を歩んでいていいのか。
何故、僕はあの人の様に歩むことが出来無いのか。
何故、僕は間違えた道にしか進むことが出来ないのか。
そんな自分が自分で許せない。なのに僕変われない。
いっそこの辛い道なんて捨ててしまいたい。
いっそ消えて何も無かったように。
でも捨てる勇気もない。捨てたところで何が変わるのか。
でも強烈に捨ててしまいたい思いが突如として溢れ出す。
だけど、僕はまた今日もいつかの日の出を夢に見るんだ。
この道の先にいつか訪れる鮮やかな眩い日の出を。
元日の朝七時、君の叫び声に叩き起こされた。
新年早々何事かと大きな欠伸をしながら布団から這い出て、未だ君の叫ぶ声が聞こえるリビングへ向かう。
リビングのソファには、パジャマ姿の君が突っ伏していた。
ソファからはみ出た足先を魚みたいにビチビチさせながら、ブツブツと何か呟いている。
……寝過ごしたか。
ドンマイ、と君の肩をひと叩きしてローテーブルの下のラグの上に転がっていたスマホに手を伸ばした時。
視界の端に光を感じて、そちらに目を向ける。
開け放たれたカーテンの先、雲一つない澄んだ広い空が橙色に輝いていた。
おお、初日の出〜、と両腕を伸ばしながら窓辺に寄っていき、ほんのりと暖かい朝陽を浴びて。
ほら初日の出。
スマホに反射させた朝陽を、ソファに突っ伏したままの君に照射した。
テーマ「日の出」
日の出
毎朝同じ時間に目覚めていると
季節ごとに、またその日のお天気で日の出の変化をつぶさに感じられる
暗くて寒くて、まだ薄暗い空に月が出ていても
雨雲が日の光を阻んでも
必ず日は出る
どの季節より冬の日の出は待ち遠しい
・・・ジリジリリッ
うるさい。
目覚まし時計の音だ。
今は、は?
4時、なぜだ早すぎる
二度寝するか、
今日の予定は7時に起きれば間に合う
昨日は12時ぐらいに寝た。
睡眠時間はざっと4時間だ。
だけど…
眠れないどうしよう、
いっそ起きてみるか。
体を起こして、スマホを探す。
スマホ、スマホ
あった、えっと…
『朝 4時に起きたら』
と調べてみた。
すると、冬は日の出が見れるそうだ。
夏と冬では早さが違うらしい。
試しにベットのすぐ横のカーテンを開けてみる。
オレンジ色の何かが見えた。
それは白い雪も同じ色にするほどのものだ。
日の出か、久しぶりに見たな。
でもやっぱり眩しい。
カーテンを閉めて。
散歩の準備をし始めた。