『夜明け前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜明け前の4時、眠れずに眼が覚め窓の外を見ると彼方の空が薄いオレンジ色になっていた。ああ、もう夜明けなんだと1日が始まる期待と切なさが胸の中で交錯した。
夜が怖い。
20を過ぎた大学生が未だにこんな事を思うのは恥ずかしいだろうか。
昔から怖がりで心配性だった。
自分より大きい物も些細な物音も、小さな虫を殺すのだっていつか復讐されるものだと思い込んで怯えていた。
怖かった原因を理屈で知る事が出来るようになっても尚、私の心臓は小さくなっていく心地がした。
遊園地の大きなサメも決められた動きを繰り返す恐竜も、いつか意思を持って私を襲う様な絵が鮮明になっていく。
夜は怖い。
視界を奪われること、自分の意識が保てなくなっていくこと。
意識を手放した先の秒針で知らない事が起こっていること。
何が起きてもおかしく無いのだ。
お化けも、虫も、事件も私を脅かす全ての事象は必ず夜。
眠る前の自分と次起きる時の自分は、全くの別人になっている可能性だってある。
落ちる瞼に逆らいたい。眠った後の私は、起きる私を明るい世界へ連れていって欲しい。
まだ外は暗い。起き抜けの私が絶望している。
『夜更け前』
#74「夜明け前」
僕の鬱病が悪化したのか眠れない夜が増えた
苦しいと感じているせいか目から涙は止まらない
誰かの言葉がほしい…
誰か僕を愛して欲しい…
「ねぇ、君は僕を認めてくれるの?」
「あぁ、俺は君を認めるよ」
「なら君は、僕の手を話さない?」
「勿論さ。離すわけないだろう
だって…ずっと君と僕は一緒だ」
嬉しかった
例え嘘であろうとも僕を愛してくれているだろう
そう思える環境で苦しくても幸せだった
ずっと明けなかった人生に
やっと夜明け前の光が差し込んだ
表参道、午前5時
まだ夜は明けていなかったけど
どこか明るい蒼い夜空が
とても美しかった
車通りのない交差点は
昼の面影はなく
大の字で寝てみたい衝動に
かられたけれど
「いえーい、美紀っち。
恋してるぅ」
フードコートでうどんを食べていると、後ろから抱き着かれた。
誰が抱き着いてきたか、確認するまでもない。
こんなことをするのは、友人の慶子くらいしかいない。
慶子は彼氏が出来ると異常にテンションがあがり、ウザい絡みをしてくるようになる。
基本的に気のいい奴なのだが非常にウザいので、彼氏がいる間は距離を置く友人も多い。
それほどまでにウザい。
「今食事中だから後でね」
「やだー、今話したいの!」
「分かったわよ。
話していいから、隣に座りなさい。
私は食べるのに忙しいから返事しないけど、それでいいなら」
「美紀っち、話が分かるぅ」
慶子は、隣の席に座ると同時に、惚気話をし始める。
恋人がいない人間にとって、惚気話は猛毒だ。
だから皆距離を取るのだけど、私はこの時間が嫌いではない。
誤解の無いように言うが、別に慶子の惚気話が聞きたいわけじゃない。
今だって、慶子の話を右から左に流している。
私が興味があるのは、慶子のファッションだ。
慶子は、付きあっている相手に合わせてファッションを変える。
いわゆる『相手の色に染まる』タイプだ。
しかも、どんなに相手がニッチな好みでも完全に対応する。
見ている分には非常に面白い。
慶子のファッションを見て、彼氏の人物像を推理する。
趣味が良いとは言えないけれど、聞きたくもない惚気話を聞くのだ。
これくらい許されるだろう。
さて、今回のファッションはなんであろうか?
前回はロリータファッションという、なかなか痛い服装であった。
慶子にあまりにも似合わなさ過ぎて、笑い転げてしまった。
さすがに本人も似合わないと思っていたらしいが、いわく『本気の恋ですので』とのこと。
本気の恋なら、羞恥心すら克服できるらしい。
私はそのことに関して、慶子の事を物凄く尊敬している。
そこからロリータファッションに合うメイクやキャラクターに調節してきたのだから、大したものである。
一週間後に会ったときには、違和感なくロリータファッションを着こなしていた。
どこに出しても恥ずかしくない、なり切りっぷりである。
あれには、慶子をウザがっている友人たちも感心したほどだ。
まあ、フラれたけど。
現実は無常である
さて前座はここまででいいだろう。
私はうどんの残り汁を一気飲みする。
これで私が笑い転げても周囲を汚すことは無い。
私は一息ついて、慶子の方を見る。
しかし、私は笑い転げるどころか、言葉を失ってしまった。
慶子のファッションが、あまりにも奇抜だったからだ。
「どう?
彼氏のために、気合入れてコーデしてきたの」
一瞬遅れて感想を聞かれているのだと気づく。
私は頭をフル回転させ、なんとか感想を絞り出す。
「……慶子は本気で恋してるんだね」
それしか言えなかった。
それ以外に言いようが無かった。
だが正解だったらしい。
「分かるぅ」と慶子は上機嫌だ。
慶子のファッション。
それはニンジャコーデである。
慶子は全身真っ黒で、顔も頭巾で隠していて、肌の見える部分が極端に少なかった。
相手の色に染まるタイプといっても、ここまでやるか。
というか、彼氏の好みがニンジャってどんなだ?
理解できない。
まだ見ぬ彼氏にドン引きしつつも、私は慶子の事が少し羨ましくもあった。
私は生まれてこの方恋をしたことが無い。
せいぜいが少女漫画に出てくる王子様くらいだ。
だから慶子がそこまでする気持ちが全く分からない。
けれ慶子は楽しそうな様子を見て、いいなあと思う自分もいる。
私も恋をしたら、慶子みたいに尽くすのだろうか?
ちょっと怖いけど、慶子を見ているとそれも悪くない。
一度だけ、本気の恋してみたいな。
一週間語
「男って、男って……」
「ほら、元気出して」
慶子はフラれた。
元カレ曰く、『普通の女がいい』とのこと。
なんて奴だ。
慶子をニンジャ色に染めた奴のセリフじゃねえ!
まったく世の男どもは見る目が無さすぎる。
こんなに尽くしてくれて、そしてこんなに面白い女のどこが不満だって言うのか?
やっぱり男は駄目だ
恋はいいや。
「あんたの良さが分からない男なんて、。
きっと慶子の良さを分かってくれる人が現れるさ」
「グス、美紀っち、優しい。
男みたいにバカにしない。
――決めた。
私、美紀っちと付き合う」
「はあ?」
慰めていたら、告白された。
なんぞこれ?
「ノーサンキュー。
私、男が好きなの」
「美紀っちの好みは……」
「聞いてる?」
「美紀っち――いや、美紀」
急に慶子が私の顔を見つめる。
その目はどこまでもまっすぐで澄んでいた。
声もいつもの高めではなく、低く抑えた、いわゆるイケメンボイスだ。
まるで――
「美紀、今までありがとう。
いろんな男と出逢ったけど、美紀が一番だ」
慶子が急に顔を近づけて、イケボで私に耳元に囁いてくる。
なんとか反論しようとするも、なにも言い返せない。
その様子はまるで、少女漫画に出てくる王子様のよう……
それほどまでに、慶子は『なり切って』いた。
「美紀、『俺』と付き合ってくれ!」
ひいい。
私は身の危険を感じ、その場を離脱しようとする。
しかし回り込まれた。
私を逃がすまいと、慶子は私を押し倒す。
「逃がさないよ、美紀。
本気の恋、しようよ」
「いやだあああああ」
こうして、私と慶子は(強制的に)付き合うことになった。
だが、この恋を実らせはしない。
絶対に別れていい男見つけてやる。
私の恋の行方はどっちだ!
彼誰時。
私は彼と手を重ねた後、唇を重ねた。
二人が見つめ合ってる間に、街が点灯していき
街が明るい服を着たように温かい光が差していた。
夜明け前
*ヴァンパイア×BLです
明治二年。
世間が文明開花とうたう頃、僕は肺を患ってもう命が長くないことを悟っていた。
日々街が変化していく様子も、肌で何も感じることが出来ず、一日中布団に横たわり、少しマシな日は座って本を読むことが出来た。
夜な夜な、まだ若い妻が声を殺して泣いているのが聞こえて来る。残していくことが心配で、調子のいい日には、僕がいなくなったら、いつかいい人を見つけて幸せに暮らしてほしいと冗談めかして言って聞かせた。そう言うたびに妻は顔を青ざめさせて、そんなことを言うなんて酷いと僕を責めたけれど、それは本心で、死ぬ間際の切なる願いでもあった。
その日は、本当に体調が良かった。手の施しようがなく、治療法もない。そう医者に告げられたし、常に息が苦しく、咳き込むと血を吐く。そんな毎日だったのに、不意に夜中に目が覚めると、いつもよりも体が軽く感じた。少しまともに息が吸えて、立ち上がってもふらつかない。
これが最後かもしれない。そうはっきりと頭に浮かんだ。
寝巻きの上に妻が用意してくれた暖かい半纏を羽織り、襟巻きをしっかりと首に巻いて、外に出た。きっと一緒に来ると言うだろうから、隣に眠る妻を起こさないように、そっと抜け出して、少ししたら戻るつもりだった。
しんと冷えていて、吐く息が白い。これで体調をさらに悪くしたら妻に申し訳ないから、家の周りを少し歩いて明るい満月をしばらく眺めたら、すぐに家に入るつもりだった。
一瞬のことだった。迫り来る黒い影に何の抵抗もできず、ただ恐怖で固まって突っ立っていた。
最後に覚えているのは、目の前に迫って来た男の瞳孔の開いた瞳と鋭い牙。そして、首に感じた痛みだった。
次に目が覚めた時には、真っ暗闇だった。暗闇に座って、眠っていたらしい。酷く喉が渇いて空腹で。病気をしてからどんどん食が細くなっていたのに、食への渇望で気が狂いそうな程だった。それに、息もまともに吸えるし、何よりも、体のどこにも辛いところや痛いところがなかった。
奇跡が起きた。そう思った、あの時調子がいいと感じたのは、本当に快方に向かっていたからだったのかと、頭の隅に浮かんだ。
けれど、そんな考えもすぐにかき消されてしまうほどの、空腹だった。
自分がどこにいるのか分からず、ただ小さい場所に閉じ込められていることに気がついた。恐怖の中でただ、生きようともがき、暴れ、自分の中にまだそんな力があったのかと、興奮した。どのくらいの時間そうしていたのか、在らん限りの力を使って、ようやく外に出ることが出来た。
土の中から這い出て最初に見た光景は、今もまだ覚えている。それは、月明かりに照らされた墓地だった。
僕は、埋葬されていた。
わけがわからず、何が起きたのか教えてくれる人もおらず。ただ、空腹で混乱していた。
飢えと渇きを抑えたくて、本能のままに、体が勝手に動く。そんなことはしては駄目だと知っているはずなのに、理性は全く働かなかった。
先生に捉えられるまで、僕は動物のように闇雲に人を襲い飢えを凌いでいた。
後になって聞いた。僕をヴァンパイアに変えた男は気が狂っていて、ルールを破り無作為に僕をヴァンパイアに変えてしまったのだと。
ヴァンパイアの社会にも掟があって、簡単に人を殺したりはしないし、ましてや、人をヴァンパイアに変えるのには多くの約束や条件があって、それを理解して契約を結ぶのだと言う。変える方は親が子に教えるように、責任を持って生き方を教えるらしい。
だけど僕は間違いから生まれた存在だった。先生は僕を拾って、何もかもを教えてくれた。
僕は本能のまま、動物のように幾人もの人を襲っていた。目撃もされていて、騒ぎになって気が散ったおかげか、命を奪うまで血を吸うことはしていなかった。それは、不幸中の幸いでもあった。
街に現れた化け物に、本当は胸に杭を打つはずだった。そう言われて、その後、なぜそうしてくれなかったのかと何度も先生に泣きついた。
そんな君だから殺せなかった。そう言って先生は僕を導いてくれた。
血への渇望をコントロール出来るようになってからも、妻の元に戻れるとは到底思えなかった。
僕は一度目の命を終えた。
そして、別のものとして生を受けた。
妻は僕とはもう関わらずに暮らした方が幸せになれるに違いないと思った。
ときどき、遠くから妻を見に行った。元より格段に鋭くなった聴覚と視覚で、妻が少しずつ元気になっていく様子も見ることが出来た。
そうやって、長年かけて妻が新しい家族と幸せになっていく様を見守った。
不思議と、悔しさや虚しさは感じなかった。ただ、彼女に幸せでいて欲しいと心から願ったし、彼女はそうやって人生を歩んで行ってくれた。
長い時間に、出会いと別れを何度も経験した。いくら経験しても、別れは辛い。惚れた腫れたの別れではない、本当の意味でのお別れ。
僕は、永遠とも言える生を受けた。
どんなに大切な人とも、いつかは別れることになる。
もう、これ以上その別れには耐えられない。だから、もう人とは深く関わらないはずだった。
適切な距離を保って、穏やかな関係で人々と関わって。老けないことが不自然になる前に住居を移す。
そうやって、気楽に過ごして行くと、決めたはずだった。そうやってこの数十年は、うまく行っていた。
ステンドグラスの窓から、ほんの少しだけ光が射し始めた。
夜が明ける。
二度目の生を受けた当初は、夜明けが恐ろしくてたまらなかった。ほんの少しの太陽でも火傷をして、何度か命を落としそうになったこともある。
体は歳とともに強靭になり、皮膚は強く滑らかに、簡単には傷つかないようになった。
スースーと静かな呼吸で眠る乙都(おと)くんの息遣いが、耳に心地いい。
大雨でカフェにひとりもお客の来なかった夜。思いがけずふたりで過ごすことになった。従業員の寮として二階に暮らしている乙都くんが、下で過ごしたいと降りて来てくれた。
誰も来ないと仕事という仕事もない。彼が来なければ閉店していたかもしれない。乙都くんの好きなお酒やドリンクを振る舞って、話をした。
最近読書にハマっている乙都くんは、ソファに座ったまま寝落ちしてしまった。
ヴァンパイアになってから、あらゆる感覚が鋭くなったし、腕力も格段に上がった。眠った乙都くんを抱き上げて部屋に運ぶことは容易だけれど、さすがにそれはやり過ぎだろうと、毛布を掛けるに留めた。
ステンドグラスから透けた光が、乙都くんの頬を彩る。なんて美しい。
ただそばで見ていたい。その気持ちが、日に日に強くなる。けれど自分を律していないと危険だとわかっている。
幸せな時間を過ごすと、それと同じだけ不安になる。
踏み出したら、今度こそ耐えられないかもしれない。いつか来る別れを今から想像してしまう。そんなのには、到底耐えられそうにない。僕もそのうちに、あの狂った男のようになってしまうんじゃないかと、いつも心のどこかに引っ掛かっている。
乙都くんの絹のように滑らかな黒い髪に手櫛を通す。とくん、とくん、と静かに打つ乙都くんの鼓動を掻き消す、自分の心臓の音。ドコドコと荒々しく、落ち着きのない鼓動。
血への渇望ではない。
ただ。君のそばに。
ベランダに出ると夜明け前の静けさが僕を包んだ。
まだ街が眠っている、そんな時間帯が僕は好きだ。
ベランダの手すりに体を預け、ただ空を眺める。
さっきまでは自らが主役とでもいうように輝いていた星たちはやがて太陽のオレンジにのまれていく、
……どんなに頑張って輝いていたって星は太陽の光にかき消される。
夜明けの空って人間の世界みたいだな。
だから夜明け前が好き。
太陽のいないみんなが主役であれる夜明け前が。
夜明けの空に背を向けて、室内に戻る。
あぁ、今日も一日が始まる。
『夜明け前』
以前、目覚まし時計が鳴る前にバチっと目が覚めたことがあった。まだ一時間位寝られるけど余りにもバチっと目が覚めたので、無理矢理二度寝したら次起きれなくなるかもしれないからと、いっそ起きることにした。
睡眠時間一時間損した気分だけど、とりあえずお茶でも飲むか〜と起き上がり、カーテンを開けると...空が深い青だった。
群青色、瑠璃色、紺青色、藍色、浅葱色...。
昼間の青よりも深い青。
夜明け前の空は、こんなにも深い青なのかと、しばらく見惚れていた。
そういえば昔の人は言っていた、
「早起きは三文の徳」であると。
昔も今も変わらない、空の色、空の意味。
その青さに救われる事もあったんだろう。
私が青に惹かれるのは、この日の夜明け前の空を知っているからなんだと思う。
嫌でも耳に入る明け方の新聞配達のバイクの音
重い体に反して変にはっきりとしてる頭
何故か飲めない薬と消えない目の下のくま
24個残して棚の奥に消えた30日分の睡眠導入剤
明らかに不足しているセロトニンとお金
憂鬱と共に明日を連れてくる朝日
夜明け前
ー夜明け前ー
眠気
二度寝
トイレ
静けさ
ラジオ
金縛り
ビタースィートサンバ
オールナイトニッポンテーマ曲
夜明け前
陽が顔を覗かせるまでが
一番暗いことなど、とうに知っている
私もあなたも、痛いほど理解している
暗い部屋で目が覚める。
慣れ親しんだ部屋は恐ろしいほど静かで、途端に私は孤独に襲われた。
じわじわと焦りが広がり、非力さを痛感した在りし日のワンシーンが、着実に脳内へ侵入してくる。
意思とは無関係な記憶の再現に、インターホンもノックもありはしない。
動悸だけが私の生きる証拠となって、早くこの波が過ぎ去れと願う。
耳を澄まして安心を探す。
あなたが微かな寝息を立てていることに気づく。
不覚にも安心を得る。この心のヒビに染み入るような感覚は、未だ言葉にならないまま、内心でゆらゆらと揺れている。
名前の付かない関係のまま、私は眠るあなたと手を繋いだ。
2人暮らしでもなく、転がり込んできたのはあなただけれど、こうして柄にもなく縋ってしまうのは、あなたが誠実だとわかっているから。
「なに」
いつの間にか目を覚ましたあなたが伏目がちに言う。握り返された手が暖まっていく。
「なんか怖かった」
「そっか」
嘘をつかなくてよかった。
なんでもないなんて、思ってもいないことを口にしなくてよかった。
誠実で優しいあなたは、そっと私を包んで二度寝に連れて行った。
次に目を覚ますのは、陽の光のもとだという確信が、再び睡魔を呼び戻した。
暖かい安心に乗って、あの恐ろしい情景が消えた。
夜明け前
家族がまだ深い眠りの中にいる夜明け前。少し早く起きた私はトイレに行き、トイレの窓をそっと開けてみた。
深い青。着色料いっぱいのソーダ色。
なんとなく外に出たくなって、家族が起きないように、外に出た。
誰もいない。
遠くで新聞配達の自転車の音。
近くの公園に行き、ブランコに乗ってみる。 青いソーダの中で揺られる。
なんだか眠くなってきた。
お母さんがそろそろ朝ごはんを作る時間かも。
心配かけないうちに帰ろう。
夜明け前のほんの少しの私の冒険。
「……夜、か」
私は決まって夜に突然涙が止まらなくなって、この世から消えたくなる。
早く寝れば良いじゃないか、って思われると思う。けれど寝てしまえば一瞬で朝が来る。
それが嫌で、私はこうして夜更かしをしている。
ゲームをして、お菓子を食べて、スマホを触って。そんな事で気を紛らわそうとするけれど。
「あ……泣きそう」
ただ、泣きたくなって泣くだけ。無表情。苦しい顔もしない。いや……できないんだと、思う。
消えたいなあ、最初からいなかった事にしたい。
こんな世界嫌だ、って。終わりにしたい、って。
そんな事何度も考えるけれど、行動に移せなきゃ意味がなくって。……痛いのは、生まれた時から嫌だから。
夜明け前。今日は少し海にでも行こうと思って、
寝巻きのまま適当に靴を履いて家を出る。
信号も合わせて……5分もすれば着く。
まだ日も出ていないのに輝いている海は、私に
「おはよう」なんて喋りかけているようで何だか
面白くて、笑ってしまう。
「っふふ……うん、おはよう」
そう言うと、海から日が出てきて。まるで人間みたい。おはよう、って言われて、布団から少しだけ
顔を出す。そんな感じ。
「貴方は、今起きたのよね。おはよう」
日に向かって声を掛けると、また顔を出す。
「何だか貴方達を見てると疲れも吹っ飛んじゃう。ありがとう。また明日も来るわ」
──ザァァ。
「返事……してくれたの?」
と、少し笑ってしまう。
嗚呼、今日は何だか頑張れそう。
それから私は、夜明け前に海へ行く事を習慣化させた。海と日の出に、ちょっとした元気を貰いに。
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題名:夜明け前
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★夜明け前
みんなが寝静まっている
今は私だけの世界
郵便配達のバイクの音が聞こえる
いつもご苦労さまです
お腹が空いた
朝ごはんが楽しみ
夜明け前は普段ならば夢の中にいる頃合なので、体感する機会はそんなに訪れない。
しかしその稀さが、運良く出くわした時の神秘さに拍車をかけているように思う。
初めは真っ黒だった空が、まだ地平線に隠れているはずの太陽の光を受けて、徐々に白を混じらせていく。
あの独特な色の変化はいつ見ても美しい。
夜明け前
なかなか寝付けない夜。
時計の針が、日付変更線を越え、
その後、短針が何度も回っても、
睡魔はまるで訪れない。
それでも、
規則正しく時を刻む、
時計の針の音が、
寝付けずにいる俺を、
責めているように感じる。
俺は、ベッドから抜け出した。
窓から外を眺めると、
空の端が僅かに紫掛かり、
もうすぐ夜が終わる事を、
そっと告げていた。
夜明け前。
皆は、夢の中の住人で。
今、この世界に、
俺はたった独りでいるような、
不思議な孤独感と、
美しい時間を独り占めしているような、
根拠の無い優越感を感じた。
いつの日にか、
夜明け前の、
この美しい時間を、
何時かお前と過ごしたい。
今はすやすやと眠りに就く、
お前の寝顔を想い、
俺は、夜明け前の空が、
明るくなっていく様を、
独り眺めていた。
朝日がrising
Yesterdayの雨は
evaporationするのだろう
おれもevaporationしたい
Today8/31→9/1
【夜明け前】
⚠この物語はノンフィクションです。
これは私が小学生の時のある夜明け前にみた夢である。
小学四年生__
この頃私は学校行事のためにボールで技を練習していた
私のボールは黄緑色で
新品好きの私にとって少し使い古された感じのあるこのボールはあまり好きではなかった。
そんなある日、私は夢を見た。
それは現実ではあり得ないという所謂ただの"夢"
しかし、普段無重力の夢をみる私にとっては珍しく地に足がついており、起きてすぐも覚えているほど何処か印象的な夢であった。
私は車が殆ど通らないことを利用し、家の前の道路で技の練習をしていた。
するといきなり私の持っていた"黄緑色のボール"が
歩道のコンクリートの隙間に吸い込まれていくように手から離れた。
みるみる内に私のボールは"空気が抜け"、使えなくなってしまった。
場面は変わり、小学校である。
私は使えなくなった私のボールを担任に見せた。
これじゃあ使えないのでということで新しいボールに変わることになった。
新しいボールは"濃い緑色"をしており、新品であった。
新品になったボールを見て、嬉しく思ったと同時に
私は現実に引き戻された。
その日は平日で今日も学校であった。
私は身支度をし、学校へ登校した。
学校につくといきなり担任から声をかけられた。
なんと朝見ると私のボールの空気が抜けてしまっていたのだという。
どこから抜けたかもわからないので、
私には新しいボールが支給された。
そのボールは"濃い緑色"をしていた。
なんと夢で見たものとまったく同じだったのである。
隙間に吸い込まれるように―――なんてことではないだろうが、
"空気が抜けていた"というのが恐ろしいところだ。
これを読んでいる誰かも似たような体験をしたことがあるかもしれない
人間とはまだまだ未知なるものだ
我が家には一番多い時で猫が6匹暮らしていました。
三男はトロくて人も猫も大好きな黒猫でした。
大事に育てたのに14歳で病が発覚し、17歳目前で看取る事となってしまいました。
彼を1人には絶対しない様 家族交代で
色んな話をしながら身体を撫で、笑い、
時々抱っこして頬擦りしたり…
7月半ば、夜明け近くの薄暗さの中、ふわっとレースのカーテンが揺れ、いっとき風を感じる日が続いたのです…
それから数日後、彼は穏やかに逝きました。
夜明け前 静かに吹いた風は、あの子の命の灯火をゆっくり ゆっくり消してくれた風だったのでしょうか…
お別れは充分出来ました…ありがとう。