『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
向かい合わせで座るキミ。
最初は緊張してたけど
だんだん向かい合わせで座るのが当たり前になったね。
好きなメニューも、話す話題も少しづつわかってきて
まるで一緒にいるのが当たり前みたいになって、このファミレスにいるのも慣れてきたかな。
たとえば ひとりで満喫したい時間があったとして
たとえば ちょうどその席しか空いてなくて
たとえば ぐうぜんまったくの他人が目の前に来たとして
そんな「たとえば」でむかいあったひとはもしかしたら
少し意地が悪いかもしれない
少し人相が怖いかもしれない
そんな向かいあわせの席に想像をふくらませながら
パンケーキを1口
#向かい合わせ
【向かい合わせ】
夕焼けで思わず視界が歪みそうなあの日
白く柔いカーテンが生きて揺れている静かな教室
廊下ですれ違えば、少し話すだけの仲の君と
はじめてちゃんと話した日だった
同じ歌手が好きだということが分かり
その日の放課後、心は何かで満たされたいと
はじけていて、とてもわくわく焦っていた
机と椅子を引きずり、君と僕は
自分の話したいことを精一杯話し、また
相手の話したことを優しく受け止める
そんなあっという間な時間だった
君の黒髪に優しくオレンジの日が当たれば
僕を虜にするように、上目遣いで僕を見つめた
言葉にはできなかったけどとても、
好きというものに近い感情だったのかもしれない
しかし、それはろうそくの煙のように
ゆらゆらと消えてしまう夢であった
素晴らしいあの頃の夢、でしかない
スマホのタイマーの無機質な音に苛つく朝がきた
心までは温もりは届かないのに毛布を被る
楽しくもない毎日が今日も始まる
曇ったガラス窓に夕焼けなど差してはくれない
失った時間も、人も、なにもかも
僕には大きすぎたのかもしれない
ため息は僕を落ち着かせ、現実に引き戻す
目から流れる涙の意味は、まだ知らない
とある喫茶店。
僕の目の前にいるのは、かつて友人だった女性。
物憂げな瞳で、
長いスプーンをくるくると回し、
アールグレイティーを一口。
ほぅ、と細い息を吐いてから、僕を見つめる。
口角をほんの少し上げ、
目を細める。
その微笑みは偽物。
心からなんて笑っていない。
……結婚したいなんて、言うんじゃなかった。
我儘言うんじゃなかった。
「友達のままでいよう」って、彼女は言っていたのに。
〜向かい合わせ〜
机を挟んできみと向かい合わせで座る。それだけのことなのに、どうしてこんなに緊張するんだろう。目も顔も見れなくて、ずっと下を向いてしまいそう。これじゃ、変に思われるよな。
#向かい合わせ
君と机を挟んで向かい合わせに座る。
久方ぶりの君との食事。
楽しみで楽しみで、出汁から取って君の好きなものを沢山作ったんだよ。
それなのに、君は一言、「いらない。」だって。
「俺はお前以外に好きな人が出来た。別れてくれ。」
なんて残酷なんだろう。
君と付き合って早5年。君が待っててと言ったから、結婚の話も出さなかったのに。
ねぇ、知ってる?私もう三十路なんだよ?
君のわがままに付き合ってここまで待ったのに、好きな人が出来た?
はは、許さない。許せるわけ、ないよね。
殺してやる、殺してやる、殺してやる!!
交際相手を殺した女性の日記。これ以上は黒く塗りつぶされて読めなくなっていた。
[向かい合わせ]
隣同士で座ってると顔を見なくてもよかった
ファミレスで向かい合わせで座って
久々に君と食事する
笑顔でこっちを見てる君
私どんな顔してるかな?
ちゃんと笑えてる?
やっぱり復縁したいといい
再アプローチしてくる君を
どんな顔で見たらいいんだっけ?
もう長い付き合いだというのに、思い返せばふたりは互いの目をまともに見た記憶がない。人と話すときに、相手の顔を見れないタイプゆえにだろうか。それとも、そもそも他人に興味がないのだろうか。スマホをいじっていた手が止まる。「あのさ」、同じ第一声にかち合う視線。隣り合うだけでは分からなかった、向かい合っているからこそ知る、相手の表情。
ほんのりと色付いた顔を伏せて、どちらともなく笑みがこぼれ出る。再び目を合わせれば、これからはきっと、瞳に映るその光景が一等愛おしいものになる筈だ。
――――――――――――――――
向かい合わせ
俺の彼女は、どうやら他の男がいたらしい。
彼女は、俺に対して向かい合わせで座っており、隣の男に縋り付いている。
何かおかしいとは思っていたのだ。
数年前から付き合っていた彼女は、ここ最近俺の家に泊まりにくることが少なくなっていた。
仕事に追われ、趣味を楽しみながら、彼女に喜んで欲しくて、彼女の好きなものを作ったり買ったり。
なかなかに楽しんでいたと思う。
あの日、彼女から「別れよう」と言ってきた時から、全て変わってしまったんだろう。
その後、彼女の夫を名乗る男が弁護士と共にやってきた。
彼女はそもそも既婚者で、今回のような件はこれまで両手に余るほどあったのだとか。
「そろそろ本気でウチを追い出さなければ。」
「そうですね、お子様への接近禁止命令すら守っていないご様子なので、裁判を起こすまでもなく落とせます。ですが、今回の件で被害にあった(俺の名前)さんなどには賠償金を払ってもらうということになっています。つきましては、裁判での証言にご協力いただきたく〜」
金なんかで解決できると思っているのか。
そう思ったが、この人たちに言っても反論されて彼女に対するこの怒りをぶつけられないように思ったので、やめにした。
そして今、俺は証言台に立っている。
この数日後、裁判が行われた。証拠集めは殆ど終わっていたようで、粛々と進んでいく。
彼女が何かぶつぶつと言っているが、よく聞こえない。
ふとこちらを見たかと思えば、救世主見つけたりと目を輝かせ、こちらに向かって叫んできた。
ああ、ここで終わりなんだ。
そう思った。
「そっちもおきた?おはよ!」
同時に座る
同時に手を振る
「っふふ」
同時に笑う
「わたしたち いつも いきぴったり」
鏡と向かい合わせになった少女
無垢な瞳を輝かせ鏡に手を伸ばす
「きょうは どんな ごはんかな 」
狭い部屋にただ1つ置かれた鏡
中の自分と話す少女
□□□
「今日もなんて可愛いんだろう」
薄暗い部屋に並ぶモニター
「今日は 娘に何をつくろうかしら 」
「この子の好きなもの 聞いとけば良かったわ」
モニターと向かい合わせの女は笑う
「いえ…」
「私の好きなものを好きにさせたらいいのよね」
先月撮った前撮り写真がアルバムとなって完成した。キミは純白のAラインドレスを身に纏い、負けないくらいの白い肩を剥き出しにして微笑んでいた。
僕はと言うと、衣装を着ているというよりまるで服に着られているというような風体で。写真用の小道具のバルーンを握って、ぎこちない笑顔を浮かべていた。どのページを見てもキミは美しい。そして全て笑顔だった。反対に僕は相変わらずの硬い笑い方で佇んでいた。まぁもともと主役は女性の方なんだから別に良いのだけれど。綺麗なキミの隣に立つ男として、もう少しマシに映れなかったのかとは思う。慣れないことをするといつもこうだ。写真の中ではいっぱいいっぱいで満面の笑みになれなかったけれど、この時の僕は間違いなく幸せだったよ。それだけは信じてほしい。
何ページか捲っていると、教会の中のショットが出てきた。あの日は天気が最高に良くて、透けるステンドガラスも差し込む太陽の光も綺麗に映っていた。このショットはキミが特に気に入っていた。僕も好きだ。神聖な感じがして、特別感がさらに増すから。僕がひざまずいてキミに手を差し伸べるショットも、やっぱりがちがちな表情だった。ふんわり笑えるキミが羨ましいよ。結局、最後の最後まで僕はこんな感じか。だが最後のページを捲った時思わず手が止まった。最後の写真は、互いの額を合わせて見つめ合っていた。2人で向かい合わせになって笑っている。こんなのいつ撮ったか記憶にない。でもその写真の僕は、今までのものより比べ物にならないほど優しい表情で笑っていた。キミを近くに感じて安心しきっている顔。本当はこんなふうに笑えるんだと知る。こんなに幸せそうに笑う自分を見てると嬉しさと恥ずかしさが込み上げてきた。そして、この表情はキミの存在のお陰だと再確認する。だから僕も、これから先キミに沢山笑ってもらえるように頑張るからね。
どんな時でも、キミは僕が守るから。
向かい合わせにした鏡のあいだでキスをする。
どこまでも続く銀色の廊下の中で、何人もの私たちがキスをしている。
高校の頃の友人に
退職した元同僚に
それぞれ渡したい物がある
でも職業柄
マスクを外すことに抵抗があって
食事に誘えずにいる
『向かい合わせ』
今日は学校…嫌だなぁ…そんな憂鬱な気分で学校へ行った。憂鬱な気持ちがある反面、会いたいという気持ちがある。私はある男子に片思いをしている。その彼はとてもかっこよくて優しい男子だ。だが、女子からの人気はそれほどにない。人気のない理由は多分、優しすぎるからとかなのだろうか?でも、優しすぎることはいけない事なのだろうか?確かにその優しさが裏目に出ることはあると思う。だが、優しくない方が私は嫌だと思う。そんなことを考えながら学校へ向かった。学校に着いた時、ふと、ため息をついてしまった。学校は刑務所だ。学生の私たちは学校という檻に毎回同じ時間に閉じ込められ、同じ時間に釈放される。嫌だなぁ…そんなことを考えながら教室へ足を運ぶ。足が重い。今日は調子が悪い日なのかもしれない。早く帰りたい。そう思いながら教室まで行った。教室に入ると片思い中の彼がいる。元気がでた。やっぱり恋の力はすごい。学校に来るまでの間にも彼のことを考えてはいたけれど、考えすぎるのは良くないと思ったので最近はあまり考えないようにしている。考える時は疲れた時だけにしている。元気が出るからだ。今日の1時間目は社会だ。社会は1番嫌いだ。何を言っているのかさっぱりわからないからだ。だが、今日の社会はとても嬉しい時間だった。なぜならグループワークだったからだ。それの何が嬉しいのか?それは、好きな人と向かい合わせになったからだ。この日だけは私は先生に感謝した。とても楽しい時間だった。まさか彼と向かい合わせになるとは夢にも思っていなかった。しかもなんということか、今日はほとんどの授業がグループワークだった。これは神様からのお知らせか何かなのかもしれない。神様ありがとう!そして授業が終わってHRも終わって帰ろうとした時、彼から声をかけられた。"まさか"と思ったが流石にないな。考えすぎだ。と思ったがその"まさか"が的中した。なんと彼から告白されたのだ。やはり今日のこの奇跡の多さは神様からの連絡だったのだ。やはり神は偉大だ。ありがとう!神様!これから始まる夏を楽しみます!
「リセマラって、きっとある程度、理想と妥協が向かい合わせになってんだろね」
俺は結局絶対条件のSSR1枚だけと、十分条件にギリギリかすってるSR1枚の大妥協で折れました。
某所在住物書きは敗北のため息を吐き、それでも絶対落としたくない1枚を起点とした最低限の統一パは組めたのだと言い訳を呟いた。
「理想の方ばっかり向いてちゃ、チュートリアルが終わらねぇの。
妥協の方ばっかり向いてちゃ、『あの時せめてアイツとアイツを揃えておけば』って後悔すんの。
理想は恋しくなるし、妥協でリタイアしたくもなる。両端比べての、落とし所が一番難しいわな」
いいもん。単色統一パは組めたもん。物書きは強引に己を納得させようとして、しかし女々しくも未練がましくスマホを見る。
――――――
降水確率40%の都内某所。
防音防振対策のよく施されたアパートに、常時60デシベル以上とも、70超ともされる屋外の賑やかさは届かず、ただ静かに朝が過ぎてゆく。
室内には部屋の主であるところのぼっち、藤森と、職場で長い付き合いの後輩。
昨日の昼休憩でしみじみ、やるせない雑談に別段花は咲かずとも、
落ち込んだ心を物理的・脳科学的にブチ上げるため、後輩が夜の食い歩き飲み歩きを敢行。
終電を逃がし、ベロンベロンのぐでんぐでんにウィーヒックした後輩は、あきれ千万の藤森に、事務的かつ淡々とこの部屋へ運ばれた。
毎度の光景である。珍しいことではない。
一切のラブロマンス無く、夜は過ぎ、日が昇り、
「あたまいたい……」
藤森のベッドで爆睡した後輩が頭を抱えて起きる。
「先輩、せんぱい……3軒目から記憶無い……」
「だろうな」
そんな後輩に対して藤森が用意したのは、しじみの味噌汁と湯豆腐、それからカレーの少し効いた枝豆と鶏肉の雑炊。
「残して構わない。少しでも胃に入れておけ」
飲むならお前の分も淹れると、藤森が口をつけるカップには、ミルクティーが入っていた。
「みるくてぃー、」
「アルコールに対しては、不勉強だから、分からない。でも痛風対策に牛乳やヨーグルトは有用だった筈だ。随分魚卵食ったろう」
「だって美味しいもん」
「だろうよ。美味いものと健康食は、しばしば向かい合わせになりがちだから」
「向かい合わせ?」
「ラーメン。ケーキ。アヒージョ。美味いものの方を向いてちゃ減塩低糖質適量脂質がおろそかになる。
逆に出汁等の例外を除いて、減塩等々の方を向いてちゃ美味いというより味が薄いし、量も少ない」
「先輩のごはんはおいしい」
「そりゃどうも」
雑炊を突っつき、湯豆腐と味噌汁で胃袋を温めて、ミルクティーを要請する後輩は、頭痛と少々の胸焼けに悩まされながらも幸福そうである。
「あー……。生き返る」
おかわりの味噌汁を堪能し、長く深いため息で感情を示すと、
向かい合ってミルクティーを飲む藤森は、小さく、ただ小さく笑って、穏やかに目を細めた。
今日も無事に目が醒めた。
ちゃんと動いておめでとう
今日もきっと、
目で見て鼻で嗅いで耳で聞いて
口で話して味わって
足で移動して手で触れられる。
すごいな
そろそろこの実体と、
この感覚を
重ねてみよう
面白そうね
こうして
長い間向かい合わせだった心と体は
寸分のズレもなく重なって、
一人の人間に成りました。
誕生日おめでとう、私。
「こっち空いてるよ!」
彼女に言われるまま、俺は東海道線のボックス席に座った。向かい合わせになると、どうしても膝がふれ合ってしまうのが、面はゆい。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、彼女は無邪気に駅弁の包みを広げた。
「え、いま食べるの?」
「だって、着いたらすぐに移動しないと、日没の時間に間に合わないよ?」
彼女は言うやいなや、駅弁の煮しめを美味しそうに頬張った。
「ああ…いやそうじゃなくて。ってか、さっき駅でお蕎麦食べたばっかりじゃなかった?!」
「そうだよ?」
悪びれず、ご飯を口に入れていく。
俺はこのとき、はたと気が付いた。よく考えると、彼女は昨日からずっと、1日5食のペースで食べているではないか。
最初は、てっきり無邪気な女の子を印象付けるためにやっているのかと思っていた。
しかし、そうではない。これは、彼女にとって当たり前のペースなのだ。
つまり、彼女は大食いチャンピオン並みの胃袋を持った女性ということだ。
俺は思わず、財布の残高を確認した。食費は、持つだろうか?!
【向かい合わせ】
向かい合わせ
背中合わせになった心
昔は向かい合わせだったんだよね
ぐるぐる回り続けてた時が終わって、止まると背中合わせになった。
何度もぐるぐる回るから、目が回っちゃって心配されちゃったけど、その時は背中合わせで感謝伝えられなかった。
気分って難しい
向かい合わせの隣り合わせ。
それが幼なじみの僕と君の運命。
いつかずっと君の隣り合わせでいられるように。
そう未来に祈りながら今日を歩む。
■テーマ:向かい合わせ
深夜、珍しく彼が寝ている時
私は目を覚ます。
寝静まって誰にも見られないこの時、
私は決まってすることがある
音を立てずに洗面所に向かう
ここで音を立てると心配されるし、起こしかねない。
洗面所の鏡の前につくと、ガチャリ、とドアの鍵を閉める
そして鏡に映る私と向かい合う
鏡に映る私は10年ほど前の、彼と会って1年も経っていない時の私のようだった
その私に問う
「私はずっとこのままでいいのかなぁ、貴方と同じ気持ちで今までずっと生きてきたけれど、
分からないの。これを彼が望んでいるのか。というか、こんな長い年月私といて、嫌だって思ってるのかもしれない。そう思ってるのなら私は、もう……」
言いかけている時だったー、貴方は、昔の私は、泣きながらこう言った
「ねぇ、本当に彼はそんなに薄情なの?違うでしょ?!彼は私を、愛してくれているのかは知らないけれど、とても大事にしてくれていると思うよ、だって、だってさ!私の事、私達のこと信じてくれてるんだよ?アンタもさ、彼を信じてるんでしょ?だからあの時からアンタは、アンタはさあの時からずっと彼を愛して、ずっと傍にいるって決心したんでしょ?そうじゃないの?」
頬に水が滴る感覚がした。そして私は開かないと思えるほど重くなった口を開いて呟くように言う
「えぇ、私はそう決心しているわ。彼の役に立ちたいって言う気持ちも勿論あるけど、それ以上に
彼には救われたから。精神的にやられてる時だって優しく接してくれたし、絵とか見せると上手いって褒めてくれるし、それで私は
この人が大好きだ、って思ってその時からそう決心していたわ。私が間違っていたわね。ありがとう、貴方は優しいのね、彼が言うのもわかるわ。貴方はそのままでいいのかもしれないわ、健気で可愛いわ。……自分で言うのもなんだけどねぇ…」
頭を撫でてあげたかったけど、鏡越しだからそれが出来なくて笑うことしか出来なかった
でもこの言葉を聞いた貴方は嬉しそうにはにかんだその顔にどこか親近感が湧いた
まぁ昔の私なのだから当たり前だけど。そして貴方は思いついたような顔でこう告げる
「あ、もう寝ないと明日やばい!」と焦りながら鏡から消えていった。
そして残ったのは目を少し腫らした私だった。
私はその顔を見ながら、
「昔の自分に救われるなんて、初めてね」なんて言いながら笑っていた。
そろそろベッドに戻ろうかなって思ってドアの鍵を開けて、洗面所から出る。その時見えた鏡の私は
幸せそうな顔をしていた。