『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
目の前に悪魔がいた。教師という名称を盾に偉い態度で椅子に座っている悪魔が何か喋っている。唯一聴き取れたのは、なぜクラスに来てくれないのかと言うことだけだった。なぜ、そんなのは明確だろうに。クラスに行かないのは、そのクラスに問題があるから行けないのだ。更にその問題を起こしたのは、目の前のかつて人間だった教師だ。
かつての自分の姿を忘れてしまった哀れな悪魔は、まるで神かのように救いの手を差し伸べようとしている。けれど、実際はその手にあるのは救済ではなく地獄への道連れコースでしかない。だからこそ、私はこの悪魔を哀れまずにいられないのだろうか。もしかしたら、神も悪魔も元は同じなのかもしれないと考えてしまうのは、私がこの悪魔の対面に立っているからだろうか。
神と悪魔はいつでも向かい合わせの場所にいる。
お終い
向かい合わせ
向かい合わせに座るキミは、いつも窓の外を見ている。
窓がない席では、壁とかを見つめている。
絶対にこっちを見ない。いつも私が一人でべらべら喋るだけ。
どんな話をしても、うんともすんとも言わない。ただ、軽く頷くだけ。
黙っていても、支障はないがつまらない。何か話して欲しい。
手を伸ばして、触れようとすると上手く避けられる。
向かい合わせなのに、遠く離れている感じがした。
歩いている時もそう、先々歩いていく。その後ろを必死についていく。
ある程度距離が空くと、振り返って待っててくれるが、範囲内に入るとまた歩き始める。
嫌われているのか、そうでないのかよくわからない。何を考えているか、たまにわからない。
とうとう怒りが爆発して、言いたいことを山ほど言った。
すると、きょとんとした顔をした後、困った表情をするキミ。
「なんか怒らせちゃってごめん。でも、いつも緊張して、どうしたらいいかわからなかったから、つい、甘えていたかもしれない」
初めて目と目が合った。綺麗な黒い瞳に長いまつ毛。整った顔立ち。
色白の肌はどう手入れをしたら、そんな肌を保てるのか、疑問に思う。
とてもじゃない、キラキラ輝いて眩しいので、目を閉じてしまった。
「え、なんで目を閉じるの?どこか痛い?」
ここぞとばかりに声かけなくていい。――待って、声、そんな良い声してた?
というか、話すのも久しぶりなような気がする、いつぶりだと思うくらい。
「大丈夫?」
恐る恐る目を開くと、まだ眩しかった。
この人を好きになってしまった自分が悪い。ただ単に不器用なだけだったんだ。
普段から不器用なのはわかっていたが、もっと理解するべきだった。
「大丈夫、大丈夫。ごめんね、なんか」
「……ううん、僕もごめんね」
頭を優しく撫でられた。じんわりと涙が出る。
「隣でも緊張するのに、向かい合わせになると余計に。顔を見ると、何話せばいいかって……」
早口で喋るキミ。頑張って、頭働かせて言葉を選びつつ話してくれている。
段々声が小さくなり、目線も逸らす。まるで、叱られた大型犬がしょんぼりと反省しているように見えた。
「わかった、もういいよ、ありがとう」
私の言葉を聞くと安心したような表情をする。
「これから、少しずつ慣れていこう」
向かい合わせ、いつ慣れるかわからないけど、気長に待とう。
自分が選んだ人だ。不器用だけど、優しくて、心配も一応してくれる。
キミなりに気を遣ってくれているのが、よく見ればわかることだ。
焦る必要なんてないし、みんながみんな一緒じゃない。
完璧なんてつまらない、不器用くらいがちょうど良いと思った。
今日も向かい合わせに座るキミ。いつもみたいに窓の外を見るのではなく、今日はこっちを見てくれた。
でも、すぐに窓の外を見てしまう。その様子を見て、クスリと私は笑ってしまったのだった――
目覚ましの音がなる
ガサガサゴソゴソ
止めなきゃ〜
ピ、これでよし(๑•̀ㅂ•́)و✧
カチャっとシャッターの音がなった。
眼鏡をかけてよく見たら
カメラに切り替わり取られた一枚
「わぁ酷い顔だな、、、」
寝起きで自分と向かい合わせになっちゃた。
『向かい合わせ』
俺は、高校の美術の教師で、今は生徒と個人面談をしている。
『どう思います、こういう絵…』
彼は、俺が特に一目置いている生徒だ。
その本質は、『変人』と思って差し支えない。
そんな彼の描いた絵…今見せられている物だ。
線はぐちゃぐちゃ。色も線からはみ出ていたり、塗れていない所がある。
構図は、人と人が向かい合っているという、とてつもなくシンプルな物だ。
背景は、うねうねした線が原色で描かれている。
「…色塗りが下手クソだ。」
『僕は、上手いとか下手とかどうでもいいんです。』
「何故だ?絵が上手ければ、何でも良いじゃないか。」
彼にとっては、息が詰まるような空間だろう。
『……』
「…………言いたい事はそれだけか?」
『…では、お聞きしますけど。』
「はぁ。」
『先生にとって、『絵を描く』ということは、なんだと思いますか?』
「……質問の意図が読めない。何故聞く。」
『………質問を変えましょう。先生、絵で一番大事なことは、なんだと思いますか?』
「勿論、線の綺麗さや細部まできちんと描く事___」
『違う。』
彼は言葉を遮る。このような事態は、想定外だ。
『……違うんです。』
「待て、どういう事だ。俺は__」
『逆に聞きます。『感情のこもっていない絵』は、綺麗に見えますか?』
「…おい_」
『『描きたくて描いた訳で無い絵』は?』
言葉に詰まりながらも、何とか返答しようとすると、
『……貴方が学校に来て、早々に感じたんです。
貴方は、本当は『絵を描きたい』なんて思っていない。
裏に込められたメッセージでさえ、どうでもいい…そんな感じ。』
「教員には敬語で__」
反論も許されず、
『貴方にとって、絵というのは一体何なんですか?
只、上手いか下手かだけで評価できる世界では無いんです。』
「…………何を言いたい。」
『……貴方は、僕がこの絵に込めた思いも、何も考えていない。
独善的に、絵を判断している。』
『……この絵から、何を感じ取れますか?』
「…何処と無く緊迫した表情だな。背景から考えると、『混乱』か?」
『…こうして見ると、僕たちにそっくりじゃないですか?』
「……ああ。目も微妙に上に寄っていて、三白眼気味になっているな。」
『そういう所までは意識してませんけど。』
「逆に、お前にとって絵を描くというのは、何だ。」
『…『楽しくやる』。それだけです。』
今日は誰とも話さなかった
向かい合ったのはスマートフォン
SNSの向こう側
外はたぶん
偶然の向い合せが交差する人々の舞台だ
小さな瞬間に大きな可能性が込められてるんだろう
私は何かを見失なっているのだろうか
まぁいいや
そんな勇気も度胸もないし
そうして 大きな宇宙の
ちっぽけな人生をたった一度だけ歩む
今日も日々の業務にてパソコンと向かい合わせで座っていた。まだ全然使いこなせてないけど、もっと使いこなせるように向き合っていたい。
向かい合わせで座っていても
目が合わせられなくて
さっきまで普通に話していたのに
僕が気持ちを伝えてしまったから
次に視線が交わったとき
感じるものは暖かさだろうか、冷たさだろうか
(向かい合わせ)
向かい合わせで話すのが苦手。
だけど、今は勇気出さなきゃ…!
「ずっと前から好きでした…!!」
#向かい合わせ
#7
向かい合わせ
なんて嬉しいんだろう。
あの人と向かい合わせで座れるなんて。
恥ずかしくて目を合わせられない。
隣を座れる日は来るのかな。
寡黙な父だった。
食事中はテレビを見ること、携帯を触ることが禁止だった。
母は共働きで、料理が嫌いだった。
兄とは歳が近いこともあり、つまらない事でよく喧嘩をした。
みんなそれぞれ、違う日常。違う景色の中で、一日を迎え、そして終える。
そんな僕ら家族は、毎週末だけ、4人が同じテーブルで夕食を食べた。
しん、としたリビングに置かれたダイニングテーブルに、毎回不思議なくらい味の定まらない野菜炒めと、玉ねぎの味噌汁。
冷蔵庫だけが冷たい音を響かせながら、食卓を彩っていた。
ちらり、と横目に父を見る。
黙々と食事をし、深い皺を眉間に刻んだまま話さない。
顔を上げてみたが兄も、母も最後の晩餐のように。
表情も変えず箸を運んでいた。
せっかく、家族で食べているのに。
僕は笑って口を開いた。まるで道化師のように、時に大袈裟に、時におどけて1週間を家族に話す。
父が、ふっ、と笑って。兄と母が笑った。
それだけでいいと思う。僕はみんなの笑顔がすきだ。
家族が、どうしても、すきだから。
「向かい合わせ」
【向かい合わせ】
向かい合わせになると緊張します。
目を合わせればいいのか合わせなくてもいいのか分からなくて
目を合わせることも苦手で
どうしていいか分からなくなって
結局下を向いてしまう自分が嫌で弱いと実感させられます。
だけど君は向かい合うんじゃなくて隣で一緒に話しながら歩いてくれます。
決して前に行きすぎないで振り向かなきゃいけなぐらい後ろにもいなくて
今日も隣で歩いていくれます
そんなあなたが大好きです。
いつか向かい合わせで話したいものです。
向かい合わせの真ん中で
表もなく裏もない
ただくるくるする思考回路が
私の世界だけを変えていく
向かい合わせ
あなたと向かい合わせに
座ったら…
ドキドキ…
挙動不審
落ち着かない
目も合わせられなくて
水を何杯も飲んで…
飲んで…
何話せばいいの?
無言…
あー
嫌われたかも
どうしようどうしよう
わたし、俯いちゃった
あなたを見れない
帰りたい
涙が止まらない
あなたは
大丈夫…来てくれて
ボクはうれしいよ
と優しく話して
くれた
涙が止まらない
自分のダメさ加減と
あなたの優しさ
両方の気持ちが混ざり合い
…
でも
あなたに出会えて
本当によかった
あなたの目の前には誰がいますか?
私の目の前には誰もいません。
コロナ禍により真向かいに座ることがほぼなくなった。
些細なすれ違い、言いたいことも言えない一方通行のコミュニケーション。
あなたが向かいで心からほほ笑むことがこの先くるのか疑問に思いながら私はあなたと過ごす。
向かい合わせ
※反省点 小説風の文章書こうかなぁと思ったけど普通に愚痴になりましたスイマセン。
緊張してる?
とか、
煽っておいて
自分がそうなの
隠してるだけだって
気づかれてたら
恥ずかしい。
–向かい合わせ–
お題『海へ』
何処へ行こうか。何処がいいだろう。
第一に、人目につかない場所がいい。誰もいない、誰にも見つからない場所。
それから、静かな場所がいい。あと、綺麗な場所だともっといい。
山はどうだろうか。昼間は駄目だが、夜ならきっと人目はない。静かだろうし、自然豊かで綺麗でもあると思う。
いや、でも虫がたくさん飛んでいるのは嫌かもしれない。
じゃあ、川はどうだろうか。
夜なら、川遊びをする人はいないはずだ。人がいなければ静かだし、自然に囲まれているが山よりは虫も少ない気がする。
……いや、でも、川では浅すぎる。流れが速く、水量の多い川でないと、意味がない。
どこかの屋上はどうだろう。
場所さえ選べば人通りはなく、静かな時間もあるだろう。
綺麗、かどうかは微妙なところだが、天気がいい日を選べば青空でも夜空でも綺麗に見えるだろう。
……何だかピンと来ない。屋上はやめにしようか。
他には、何処があるだろう。
もういっそ、自宅はどうだろうか。いや、やっぱり山で、川で……。
いくつかの候補を挙げ続けて、ようやく決まった。
海へ、行こう。海がいい。うん、海にしよう。
そうと決まれば、思い立ったが吉日。早速、夜の海へと繰り出した。
今日は朝から一日、いい天気だった。今も、空を見上げれば沢山の星が輝いていた。
自分以外誰もいない空間と、耳が痛くなるような静寂と、美しい星空。まさに求めていた状況だ。
ゆっくりと、海への一歩を踏み出した。
さく、さく、と。微かな足音が静寂のなかに浮かんでは消えていく。
――さく、さく。
一人しかいない筈のこの場所に、自分以外の足音を拾う。
――さく、さく。
足を止めても聞こえてくる足音の持ち主は、どこを探しても見当たらない。
――さく、さく。
自分を追い越して、海の中へと進んでいく。ある筈のない足跡までもが、見えた気がした。
この足跡を、知っている。
今までも多くの人が進んでいった、そして今から自分も辿る道だ。
――さく、さく。ぱしゃ、ぱしゃ。
砂浜は終わり、海の中へ。
あぁ、好い風が吹いてきた。
――ざわざわ、ぱしゃぱしゃ、ぽちゃん……
水面が揺れる。波紋が広がる。その正体を、知っている。
それは、この海の果てへ消えていった優しい人たちが隠した、涙の跡だ。
―END―
向かい合わせ
右と左は向かい合わせ
上と下は向かい合わせ
前と後は向かい合わせ
白と黒は向かいあわせ
だけどどれも隣り合わせ
向かいあわせは気まづいです
せめて隣 もしくは斜め向かいでお願いします
私の正面は
私の 心の底から友と呼べる
あいつだけ許します。
_ ₁₁₃
目が見える。
正面、体の線の沿った先に座している。
まだ少年と言うに相応しい顔立ちのそのくぼみに嵌った黒い色。瞬きをする。まぶたが伏せられ、開かれて。まつ毛の影が落ちて、消えて。
目が見ている。じっとこちらを。
私が気まずく思うのに関わらず、彼の頭は動かない。
14「向かい合わせ」
あなたと向かい合わせ。
あなたは私に夢中。
あなたは私から離れられない。
あなたの体、余さず使ってあげる。
あなたと私、ずーっといっしょ。
あなたの温もりを忘れられなくて、腕をレンジで温めた。
あなたの目が虚ろだったから、目玉をほじくり出した。
あなたの足はお気に入りのジーパンを履かせてマネキンにした。
さあ、次は何に使おうかな。
いつまでも、逃がさないよ。