『力を込めて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
力を込めて
これで最後
これが最後
何度も何度も書き直しては
やり直して ようやく
君への想いを綴ったラインを
送信ボタンを押す指
力なんていらないのはわかっているが
なぜか、力を込めて押していた
「ごめんね、 連絡してしまって
もう一度 君に逢いたい」
返事は来るだろうか?
想いを込めた 僕のライン
いつになったら 既読になるかな?
力を込めて
勇者が魔族を倒しに行くらしい。
そんな噂が街中の至る所で流れている。
カレンは一人暖炉のそばで巾着を縫っていた。
ついにこの日が来てしまったのだな、と思いを馳せるのは勇者についてだ。
魔族に怯えて暮らさなくて良くなるのはありがたいことだが、カレンとしては勇者の身の安全の方が心配でたまらなかった。
カレンは勇者を好いていた。親同士が旧友であるカレンと勇者は、幼い頃は毎日のように森で一緒に遊び、大きくなっても、勇者は剣の腕前を披露したり、カレンは作ったミートパイを差し入れたり、様々な形で交流が続いている。
家族同然の生活をしてきた二人の間に愛が芽生えるのも時間の問題だった。
勇者もまたカレンを好いていた。しかし彼はカレンに「いつか魔族を倒してみせるから、その時は一緒になってくれ」という約束を取りつけた。
己のプライドか、はたまた見栄か。どちらにせよカレンにとってはくだらない一方的な宣言でしかなく、今すぐにでも自分のものにしてくれない勇者に怒りすら覚えたものだ。
だが一度決めたことはやりきる彼のことだから、カレンがいくら何を言ったところで、何も変わらないことも分かっていた。だからカレンは、魔族に勝つために訓練に励む勇者を応援するしかなかった。
ついに勇者は街一番の剣士になり、魔族の元へ戦いに行く日が決まった。ここまでやり遂げるのも彼らしいと、思わず笑みがこぼれる。
しかし心配なことに変わりは無い。いくら成長したとはいえ、相手は魔族。この街では今まで誰も完璧な勝利を納めた者はいない。勝ったとしても少なからず負傷はするはずだ。
せめて自分にできることを、と手作りの巾着をプレゼントすることにしたカレンは、寝る間も惜しんで製作に取り掛かっている。いろいろ思う所はあるものの、やはり願うのは勇者の無事だ。そこに愛という無敵の力を込めてひと針、またひと針と、丁寧に手を動かした。
私は書くことが好きだ。
絵を描く、文を書く、話を書く、何でも好きだ。
そんな私は描き続けてここまでやってきた。
きっと日本という括りでも私という人物を知っている人は本当に数少ないだろう。
だがそれでもいい、ただ私が書いたものを見て、読んで、素敵だと思ってくれる人がいるなら。
一瞬目に止まるだけでもいい、思い出されなくてもいいからその人の人生にチラッと写りたい。
そんなことを思って力を込めてここに書く。
小さい頃、私は服に降ってきた雪の結晶を眺めるのが好きだった。結晶は徐々に形が崩れていって水滴を結び、やがてじんわりと服に吸い込まれて消えてしまう。あの全く力の込められていないような一連の変化に妙な爽快感を感じて、心を惹きつけられた。
『力を込めて』
力を込めて殴ってやったんだ!
元の形が分からなくなるまで殴ってやったんだ!
だって君が悪かったから。
僕を怒らせた君が悪かったから
だから殺意を持って君を殴った。
悪かったとは思ってるよ。
そんなに殴るつもりはなかったんだ。本当さ
でも一度込めたら中々消えなくて
殺意はきっと愛を含んでいて
それが心地良かったんだ。
それでもね、
僕は別に君を傷つけたかったわけではないし
君に嫌われたかったわけでもない。
信じられないかもしれないけれど、
君のことを愛しているんだ。本当に
込めた力は愛なんだ。
受け取ってくれてありがとう
大好きだよ。
どんなに辛いことがあっても、何度消えたいって思っても、この心臓は動いてる。
今日もまた朝が来る。
大丈夫。夜は必ず明けるんだよ。
進む足に力を込め今日も自分になりに生きるのみ。
『力を込めて』
差し出された優しい手。
触れてもないけど、多分、温かい手。
戸惑いと恐怖と恥ずかしさとで、
力強く指で塞いで断った。
ただ構ってくれる事に、甘えていたいだけ。
消費期限があるとも知らずに。
力を込めて
「俺の力込めといた。」
ぶっきらぼうに言い放ち、俺は少しぬるくなったスポーツドリンクを差し出した。
その子は同じ学校で同学年だが、クラスは一度も一緒になった事がなかった。部活の時間に顔を合わせるくらい。更に思春期真っ盛りの俺たちは、女子と必要最低限しか会話をしなかったので、正直彼女とはあまり話した事もなかった。
ただ、知っているのは、走る事が好きなんだろうなって事だけ。
ひたすら前を見据えて走る姿は、俺の目にはいつも輝いて見えていた。
中学最後の大会。
この3年間の集大成を表す最後の100メートル。
決勝まで進んだ彼女の背中には、予選で敗退した俺なんかには分からないほどの重圧が乗っているんだろう。
ひたすらにトラックを見つめている彼女を何となく眺めていたら、その身体が震えているのに気がついた。
いつもならそこで終わっていたが、その日は何となく声をかけてみようと思った。
「緊張してんの?」
彼女は突然の問いかけにびくりと肩を震わして、こちらを向いた。こんなにしっかりと目が合うのは、初めてかもしれない。
「山田君か…びっくりした。」
「驚かせてごめん。なんか緊張してんのかと思って。」
「そりゃ緊張しまくりだよ〜!最後なんだから。」
彼女はいまだに震える手を俺に見せると、ほら、と笑って見せた。
「カッコ悪いよね。今までこんなのなった事なかったのに…」
少し泣きそうな声で呟く彼女を励ましたくて、咄嗟に持っていたスポーツドリンクを差し出した。
「俺の力込めといた。」
「へ?」
「お、俺の力込めといたから、これで緊張なんて吹っ飛ぶはず!」
今思えば我ながら恥ずかしい。
けれど、この時は目の前の彼女をどうにか勇気付けようと必死だった。
「だって俺この3年間緊張したことねぇし!」
決め台詞を言った所で、限界に達したのは彼女だった。
「ぷっ、あははは!」
「な、なんだよ!」
「うんん、ごめん、面白くてっ」
中3男子の健気な心遣いを笑うなんてとも思ったが、そんな事より、彼女の笑顔に釘付けになった。
走っている姿と同じ、いや、それ以上に輝いて見えたからだ。
「…、そんだけ笑えりゃ大丈夫だろ。」
「うん、ありがとね!」
ちょうどそのタイミングで、女子100メートル決勝の選手を招集する放送が流れた。
彼女は受け取ったドリンクを大事そうに抱えると、軽やかな足取りで俺の横を通り過ぎた。
「あ、ねぇ、山田君!」
少し離れた場所で振り返って俺の名前を呼ぶと、彼女は先程のドリンクを掲げて、悪戯っぽく笑う。
「飲みかけ、いいの?」
思春期真っ盛りの男子に対して酷いからかいだ。
俺は急激に顔が赤くなるのを感じた。
「う、うるせぇバカ!!早く行けよ!!」
小学生並みの語彙力で対抗する俺を、彼女はもう一度おかしそうに笑うと、そのまま今度は振り返らずにトラックへとかけていった。
ーーーーー
ーーー
ーー
「そんな事もあったよね。」
「俺は知らんそんなの。捏造すんな。」
「え、ひどーい。私たちの大切な出会いなのに…」
真っ白のドレスに身を包んだ彼女が、頬を膨らませて睨んできた。
「準備できたか?俺は先に行くぞ。」
「もう!どーぞお先にっ!」
「あ、」
「?」
「忘れてた。これ、俺の力込めといたから。やるよ。」
あの頃と同じドリンクをポンと投げ渡した。
「!!」
見事キャッチした彼女は、みるみるうちに目を潤ませる。
「なに?」
「……っ、飲みかけ、いいの?」
あの時と同じ問いかけ。少し胸の奥が熱くなるのを感じた。
「うるせぇバカ。…早く来い」
今回もうまく返せなかった。
けど、それでも君は、あのキラキラとした笑顔で、俺の手を力強く握った。
END.
❒wing「力を込めて」
良いことをすると自分に返ってくると
子供の頃両親によく聞かされた
子供の頃は両親の言う事を真に受けて
どんな時でも人に優しく接していた
だけど中学に進学した頃にはいつの間にか
「優しく」と言う言葉に疑問を持ち始めた
人に優しくするとはなんだろう?
嫌なことをされてもその人を許す事なのだろうか?
それだったら僕は優しくしたくない
だって誰しも喧嘩や嫌なこと嫌いな人苦手な人が居る
それが普通だから…
優しくは別に嫌いな言葉ではないけれど
それじゃ僕はずっと人に優しく接しないと親には
優しくない人として見られるのではないのかと
不安になる…とそう思っていた
だって…
僕はヒーローみたいに全員を救える力はないし
沢山の人に注目される人でもない
もっと力があれば…とかたまに思ったりするけど
だけど結局今のままで良いことを思い知らされる
だって物語ヒーローは必ずしも
「幸せ」じゃない
物語ヒーロー「主役」はからなず力の代わりに悲劇が
起こる自分では耐えられないくらいの「悲劇」
そんなの僕には無理だ
だけどそんなヒーローをみて自分も少しでいいから
人に優しく接して
今あるこの時間を大切にしなきゃな~
と何時も思ってしまう
人一人一人に何かしらはあるけど
確かに嫌ってしまったり
苦手になってしまうけど
それでも僕はその人に優しく接してあげようと思う
だってきっと
「それが僕の中にある優しさだと思うから」
そうやって今日も胸に手を当て力を込めて意気込む
︰力を込めて
ロマンチックにはなれない。
ロマンチックなこととは程遠い日常である。眼鏡コンタクトがなければ大きな文字も読めないし、鬱とは関係なく常に服用していないと身体のコントロールすらできない。どんどん視力は落ち、痛みも年々増し、アイデアは浮かんでこない。キーボードを打とうとすると指が震え、ペンを握っても震え、使い勝手の悪い手になった。長い間無口で表情筋を動かしていなかったからか頬はたるみ愛想笑いをしただけでつって、腹から笑うこともぶきっちょになった。
「ちゃんと笑っていますよ」アピールに必死でなんとも演技かかっているし胡散臭い。ならばいっそ飾らない自分でいれば良いのに「そんなんじゃ相手が困ってしまうだろうからダメだよ」なんて律儀に勝手な想像をして引っ込めている。早くリアクションしなければならないと焦り大袈裟に笑ったり悲しんでみたり、頭の回転が追いついていないというのに喋り始めて、大抵空回っている気しかしない。
頭の回転が遅い。前は気力でなんとかしていたのだと思う。常に焦燥感に駆り立てられてアレもコレも必死になってやって。常に高い心拍数に一瞬でも意識を向けると途端に息苦しくなる。前はそれでも上手くかわせていたらしい。どうやって?分からない。
一度なってから癖づいているんだろう。こちらとしてはよくあることで、大きく息を吸って吐いてを繰り返し落ち着くのを待つだけだが、端から見れば過呼吸になっている人に見えるみたいだ。「誰かに連絡?救急車?迎えに来てもらう!?」そんな大事にしなくともほっときゃおさまりますよ、なんて減らず口を叩けるのは頭の中のみで、実際には申し訳なく情けなく涙がじんわり滲み出てくるのですら情けなくて、最終的に行き着くところ「なんて面倒臭いんだろう」。土壇場でめんどくさくなることは良くある。
実に面倒臭い。まともに息すらできないことも、人といるときにそんなことになるのも。対策として誰とも一緒に出掛けない、誰かと出掛けるときには事前説明する、なんてのもあると思うが、ああもうどれも面倒臭い。誘われたのを断るのも面倒臭ければ行くのも面倒臭いし説明するのも面倒臭い。じゃあ一生部屋から出なければいいじゃないかって、現実的に考えて無理なことも流石に分かる。
面倒臭いというより虚しい。元気よくうん!と返事して、何事もなく外出を楽しんで、普通に家に帰ってくるたったこれだけのことが出来ない。虚しいなんて実感したくもないから「面倒臭いなぁ」とぼんやり包み込んでしまう。
惨めという言葉が似合いだ。ああ嫌だな、惨めだなんて信じたくもない。時間だけが過ぎていく。
無表情無口でいたい。話すペースも何秒かの間がほしい。頭の中でじっくり考えてから返事をしたい。でもそれじゃまるで無視をしているみたいになってしまうし、反応が薄いと人は不安になってしまうし、だから早く……って、それがもうできそうにないのだ。
元気がないのがデフォルトですから元気がなさそうだと心配しないでほしい。メッセージで絵文字を使ったり元気な口調なのは頑張ってやっているだけで基本的に文章だって淡白な方だ。笑ったりすることも少ない。色んなことに反応が薄くて話をされてもその場では「へぇ」しか浮かんでこない。持ち帰って吟味しなければ自分が何を感じたのかも分からない。「今って楽しいの?悲しいの?しんどいの?楽しいの?怒ってるの?」と聞かれても、分からないとしか答えられないほど頭の回転が錆びまくっている。
「相手に合わせるのをやめたら?それで勝手に自滅してるだけでしょ?」ごもっともだ。じゃあ、もう何もかもしなくてもいいか?笑わず、反応も薄く、メッセージの文章は硬く、何考えてるか分からない――
――いや、それでいいんじゃないか。なまじ人に気を遣う人間だったからそうしていただけで、もう今はいいんじゃないか。やめよう、こんなアホくさいこと。自滅しているだけじゃないか、アホくさい。人間常に一定ではないし、昔と今じゃ変わることだってある。それが嫌だと言われるならそれで別にいい。
前からずっとそうだった。ずっと偏屈な奴だった。人と馴染んで生きていくにはハードルがいくつもあった。蹴飛ばす勇気もなかった。指をさされたくはなかったから、批判されるのが嫌だったから。逆にいるのか?指さされて喜んで批判されて幸せになる人。いるならいっそ羨ましい、その精神伝授してほしい。
大事なことには変わりないんだろうが、中途半端人との調和が大事なんだと思ってしまった。向いてないのに。向いてないなら別の方法を探す他ないし、自分に合ったやり方、気持ちの落とし所を見つけるしかない。
何かに頼らないと生きていけないのだ。眼鏡もコンタクトも薬もなければ普通に生きてなんていけない。靴がなければ出歩けないし、時計がなければ時間が分からない。仕方がないこと、当たり前のようなこと。身長は変えようがないし、アレルギーは治らないし、いらない臓器や体のパーツも病気にならない限り取り除けない。割り切って生きていくしかないことはきっとたくさんある。嫌なら死ぬしかない。死ねないなら生きるしかない。かと言って生きれもしないなら対策するしかない。方法を見つけるしかない。心の根っこにあるものもきっとそうそう変わられない。変えられたとしてもそう簡単なことではないだろう。受け入れる他ない。
甘い菓子が食べたい。苺がたくさん乗ったケーキが食べたい。美味しい紅茶を淹れたい。それから流星を見て眠りにつきたい。清々しい朝空を見て、部屋の窓を開けて新鮮な空気を入れこんで、こんがり焼いた食パンを食べたい。作業して、コーヒーブレイクを挟んで、充実した一日を過ごして、19時には夕飯を食べて、湯船に浸かって眠りたい。
無理だ。ゴミ屋敷が似合いだよ。ままならないというよりロマンチックな日常を思い浮かべるだけで重苦しくなってしまう。時間通りに生活するなんて苦痛以外の何物でもない。ルーティーン通りに事を運べなかったときのストレス度が半端なかった。「こんなこともできないのか!」と「こんなこともできないんだ」の苛つきと悲しみで心がぶっ壊れて泣いた。意味が分からない。
ロマンチックとは程遠い日常を送っている。やめたほうが気楽なことはある。手放すほうが楽になることはある。体が重くて時間通りに動けないならルーティンは作らないほうが身のためだと思うし、薬に頼るなんて嫌だと思ったって頼ったほうが調子がいいなら頼るほうが良いし、紅茶は飲みたいときだけ飲めばいい。数分待つのが面倒臭いならティーバッグをジャボジャボ揺すってしまってもいい。やっぱりそれはやめておいた方がいいかもしれない。2分3分くらい待っておけ。
やめよう。分かりにくい人だと思われるのはきっと自分が変な上辺を作っているからだ。やめよう。とはいえありのままで人と関わることなんてほぼ不可能だし、本音と建前は使い分けた方が人間関係円滑になるのは事実だからそこはやめない。しかしできないことを無理矢理すると余計心が蝕まれ悪化するし、勝手に幻想を抱かれて勝手に幻滅されやすい。やめよう。
儚くもなければお上品でもないしましてや聖人でもなければ天使でも何でもない。打たれ弱いし精神が脆いが故に加害されたくないなら人当たりは良くして温厚に見せかけているが、基本キレ症でキャパは少なくすぐ舌打ちをしたくなる小物人間だ。己の人間性もロマンチックにはなれない。
「今日はね、背中から翼が生えてきたんだよ」
彼女は何の邪気も含まぬ顔でそう言った。
浜辺の白い光が彼女の体を包み込み、本当に天使になったんじゃないかと錯覚させる。きっと彼女は何も嘘偽りなく僕を愛していたんだろう。
異形症なんてものがこの世になければ僕たちはとっくに幸せに慣れていたはずだった。
心臓が炎で包まれた僕と、体から万物が生えてくる彼女。昨日までは枯れた枝が生えていた。
この街でのみ発現した、謎の病。人工的なものなのか、はたまた本当に突然変異なのか。真相を知ってるはずの父と母はどこかへ消えてしまった。
その中でも病状が深刻だったのが僕と彼女だった。世間が僕らを蔑み、逃げ場を失って辿り着いたこの浜辺で、僕たちは出会った。
もう数え切れないほど君と沢山遊んだ
でもこれからは増えることは無い
最後のお別れ
僕は涙を流しながら君の手を強く握った
「またねっ!」
もう会えないとわかっているのに心の中では
また会えることを願ってる
君との最後僕はどんな顔をしてたかな
考えてみれば難しかった。
缶の開け方も戸の閉め方も。
自分が持ってる最大限の力を込めても。
人との付き合い方もそうだ。
相手が考えてることにも気づけず気づかず自分が言いたいことだけ言って話を聞かない聞けない。
よく間違えるしよくケガするし。
考えてみればヒントはあったのに生きづらいのは病気が原因だったんだって小さい頃から人よりできないことが多くてイライラしてたし不甲斐なかった。でも理由が分かって安心した。
治療薬はないけれど、自分を責める事を辞めれた。何もかも病気のせいだって責任転換できる。それだけでも大丈夫だ。
この先も悩みは絶えないしイライラすることもあるだろう。それでも理由が必ずあってそれが見つかるまで生きておこう。これが私が見つけた治療薬。
私は昔から握力が無い。
例えばペットボトルを開けようとして、
キャップに力を込めて思いっきり捻ったとする。
………びくともしない。
こんな経験を何度もしてきた。
だから当然、体力テストでの握力の値も
クラスの中でもドベかブービーが定位置であった。
と言うか、握力計が想定している手の大きさより
私の手のほうが明らかに小さいので、
握力計がジャストフィットした試しがない。
そのため、握力計に全力を注ぎ込めたことがない。
理不尽である。
それはともかく、冒頭の話を踏まえれば
どちらにしろ握力が無いのは疑いようがない。
今はキャップに輪ゴムを巻きつけて
摩擦力を上げることでなんとか開封にこぎつけている。
しかし、もっと歳をとったらどうなるのだろうか。
そう思うと、今のうちに握力ボールで
トレーニングしておくべきなのかもしれない。
力を込めて背いっぱい叫ぶ。
暗闇に包まれた洞窟を裸足で走りながら精一杯に叫ぶ、暗闇の出口がない。
街もないし、ここがどこなのかさえわからない。
行末知らず走り続ける。
力を込めすぎた拳から赤いものが垂れた。
力を込めて
力を入れてミスをする
力を抜いて遅くなる
果たしてどちらがいいのだろう
深呼吸をして
扉の前へ立つ
大丈夫大丈夫
浮いてはいない
事前に下調べはしたんだし
そう 自分に言い聞かせて
ずっと来てみたかった
この喫茶店
寡黙な店主は 優しいらしく
珈琲とサンドイッチが
美味しいらしい
大丈夫 大丈夫
初見でも
もう一度 息を深く吸って
吐いたと同時に
ドアノブを握り
扉を開いた
【力を込めて】
涙なく泣いているあなたの
その両手を私の両手でそっと
そっと力を込めて包んだ
駅の入口で
街を見回す
多くの人々が
行き来してる
今日は寒くて
雪が舞い始めた
人混みに紛れて
ホームに向かう
もうすぐクリスマス
街も華やかになる
もうすぐ電車が
出発する
私は電車の入口で
ホームを見回した
来るはずのない
貴方を探して
「力を込めて」
私は筆圧が強い
絵を描くこともあり小学生の時には既に利き手の中指に大きなタコができていた
というか今だにある。最近はペンを執る事も減ったのに一向になくなる気配はない