『七夕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【七夕】
私達人間も
1年後の存在を約束できる強さが欲しい
1年に1度しか会えないなんて、
切なくて悲しい。
だけどその1度が
1年で1番の宝物になるんだよね。
次会えるのはいつかな。
ちょっとなら気持ち分かるよ織姫さま。
―――七夕
七夕
とんだ織姫と彦星を私のもとに連れてきた、あなたへ
七夕
願い事を込めて「三人で仲良く暮らせますように」と書いたのは一週間程前のこと。
偶然買い物に来ていたデパートのロビーに、赤や黄色、水色や緑の短冊が飾られているのが目に飛び込んできて、迷いもせず一直線にそこへ向かうと、手には黒のマッキーペンと水色の短冊を手にしていた。
臨月のお腹をしている私は、お腹を擦りながら、もうすぐ産まれてくる赤ちゃんと家族三人で暮らしていく未来を想像しながら短冊に書き込む。
その後、暫く記した短冊を見つめた後、手を伸ばし紐を結ぼうとしたものの、お腹が苦しくなり笹に上手く結べずにいたせいで、そのままアタフタと時間だけが過ぎていった。
⋯⋯仕方ない、諦めよう!
妊婦の私は、今無理してはいけないと思い、結ぶのを諦めバックにしまおうことにしたのである。
ところが、近くに居た歳の召したオシャレな服装のお爺さんが私に声を掛けてくれたのです。
「大丈夫かい、結んであげますよ」そう言う、私の手にあった短冊をひょいっと手に取り結んでくれました。
「あの、ありがとうございました」
「いえいえ、せっかく書いたんだから、飾らないとね」
そう言って微笑むと、後から来た孫と手を繋ぎ、お爺さんは買い物に行ってしまいました。
それから一週間後のこと、丁度七夕の夜に寝ていたら破水した私は、そのまま病院へ行くことに。
ところが、へその緒が絡まってるとのことで普通分娩は望めず、無事産まれるかも危ぶまれたりもしましたが、帝王切開になってしまったけれど、その日のうちに元気な男の子を無事出産することが出来ました。
それから二週間後、退院が遅くなってしまったのですが、母子共に健康体で退院、そして、出産から五年過ぎた今、短冊の願い通り家族三人仲良く暮らしています。
あの時、諦めようとしていた短冊を結んでくれたおい爺さんには、とても感謝しています。
焼き尽くさんばかりの日差し、茹だる暑さが窓越しに伝わってくる。思わず窓から距離をとって歩く。室内は凍えるほど冷房が効いているけど、じんわりと汗が出るくらいにはやはり暑い。顔から吹き出る汗をハンカチで拭いながら、もう片方の手でハンディファンを構えた。近年で定着した夏の装備である。
まだ七月になって七日しか経過してないのに、最高気温は三十五度以上を毎日記録し続けている。七月でこの暑さなら八月は一体どれくらい暑くなるのだろう。残暑は九月、いや十月以降まで長引きそうだ。
「ラウンジの笹見た?」
「ああ、見た見た! 悪ふざけが過ぎるよね」
すれ違った学生がケラケラと笑っている。私は茹で上がった脳みそで聞こえたセリフをぼんやり繰り返した。
笹? そんなものあったか?
幸い、次の講義は入っていないため確認しにキャンパスの一階まで降りた。都会的な高層ビルのキャンパスは、学生が出入りできる場所は一ヶ所で、その目の前がラウンジと称した学生向けの掲示板やくつろげるスペースが設けられていた。登校すれば必ず通る場所だ。そこにいつもはない奇抜な存在があれば気がつきそうなんだけど。
はたして、一階の広々したスペースの中央、ど真ん中にそれは存在していた。本物の笹でなく、拡大コピーされたイラストの笹が。
パーテーションに貼られた紙の笹は、もうすでにたくさんの短冊で埋め尽くされていた。色とりどりの短冊が所狭しと並んでいると、迫力が違う。本物の笹にくくりつける七夕飾りとは風流加減が。
私も書きたかったけど、どうやら締め切ってしまったようだ。諦めて貼られている短冊に目を通した。
健康でいられますように。
単位落としませんように。
夢が叶いますように。
彼氏ができますように。
大学でたくさんの楽しい思い出が作れますように。
内定もらえますように。
お金持ちになれますように。
涼しくなりますように。
至って普通の短冊に、大喜利と勘違いしている文言も目に入った。
二次元へ行けますように。
祝! ○○生誕祭!!
推しの同担がこの世からいなくなりますように。
同担拒否するファンがチケット外れますように。
ライブチケット当たれぇーーー!!!
欲望に忠実すぎないか?
オタクばかりの女子大だと、このくらいになるのかもしれない。勢い余って書いてしまったところを想像すると面白くて思わず笑ってしまった。これがさっきすれ違った学生が言っていた悪ふざけか。
他にないか探していると、視界に入ったシンプルな短冊に目を惹かれた。
幸せが届きますように。
そうそう、そうだよ。短冊はこれくらいシンプルでいいんだよ。
私は人目も気にせず頷いていると、その短冊の違和感に気がついた。薄ら文字が透けている。まさかと思って裏を捲ると、文字が書いてあった。
幸せが届きますように。
速達で。
ああ、うん。これも大喜利だったか。
私はそっと短冊を表に戻した。短冊に記された文字を何度も頭の中で巡らせる。
私も速達でほしい。
『七夕』
七夕
今日は彼に会える日だ。
何時もよりも可愛くいたい。だって...毎日会える訳ではない。毎日連絡を取れる事もない。こっそり会える日なんだよね。
え?何でそうなってるかって?
訳アリなんだよね...。
ん?お前は織姫なんかって?
そんなもんだよ。
まぁ...織姫様みたいな役職ではないよ。
ただの一般人。
だったら毎日会えるわ、連絡取れるわ...
って思うでしょ?
そうとは限りないよ。
私は“一般人”
彼は“貴族”みたいな役職の人なんだよね。
だから監視も厳しいんだって...。
だけどね、監視ばかりは可哀想だからって、七夕の日だけ自由の身になれるんだって!だからこっそり会いに来てくれるんだ!
え?お前からは行かないのか?って?
行きたいのはあるよ。
だけど私は“足”が生まれた時から悪いんだ。
だから車椅子生活。最初は仲良くできてたんだけど、彼の親とかが「そんな気持ち悪人とは一緒にいちゃダメ」って言って引き剥がされちゃったんだよね...。
あ!そろそろ来たみたい!
じゃぁね!彼と一緒にいれる時間を大切にしたいから、また来年私に会いに来てね。
遅刻した〜!七夕に投稿したかった💦
「七夕」(一行詩)
性欲に溺れた星月夜の二人
◆
天上のイチャつく二人を他所に焼き鳥を食らう星祭り
◆
夜這い星に願いをかけて
お題《七夕》
コンペイトウが散らばる紺碧の空に向かって伸びる竹は、願い事を織姫と彦星に届けようとしているのだろうか。
麦茶を飲みながら縁側で空想にふける。足元で戯れる猫をいなしながら、風に泳ぐ短冊を魚みたいだなと思わず笑ってしまう。
「兄ちゃん願い事なに書いたの? ぼくが彼女できるように書いてあげようか」
「兄ちゃんはモテるんです」
「ほんとに〜?」
台所からこっそりスイカをくすねてきた弟が差し出す、ルビー色に輝く果実を受け取る。
俺が願ったのは――もう、叶えられているけど。
でもいいんだ、それで。
七夕
昨日そういえば今日は七夕だなと気付いたけど特になにもしなかった。この手の季節イベントを楽しめるのは裕福な人間だけだろうよ。
というか考えてみれば七夕というイベント自体参加した記憶がない。あったとしてもよっぽど子どもの頃だろうな。
笹に願い事を書いたしおりを吊るすんだっけか。まぁ一人じゃやらないし家族でもやらないって人のほうが多そう。
ああいうのは学校とか店のイベントでやるイメージ。地域でやらなきゃ自分たちでやることはまぁないわな。
しかしどんどん暑くなって夏を感じてきた。そろそろバイトの帰りに日除けの帽子が必要そうだ。
昨日は、七夕の日。
人間が願い事をする日。
私だったら、もっと、人間の心を知りたいと願う。
雲があって天の川見えなかったなあ
短冊には 「平和でありますように」ってお願いした。
小さい頃は、欲しいもの書いたり、将来の夢書いたりしてたね。懐かしい
財布を持って来るべきだったと少女は後悔した。母親と喧嘩して思わず家を飛び出した。幸いスマホだけは手に持ったままだったので、何も考えず電車に乗った。
適当なところで降りよう。帰ろうなどとは微塵も思っていなかった。まだ未熟な少女が冷静になるには時間が必要だった。
終電間際だというのに車内にはそれなりに人が居る。恐らく仕事帰りのサラリーマンに、人目も憚らずいちゃつくカップル。場所を弁えろと、思わず舌打ちしそうになるのを堪える。それでも昼間に比べたらいくらか快適だと感じた。
降りるタイミングを失い、つい終点まで来てしまった。電車に揺られる内に少し頭が冷えたのか、なんでこんな所まで来てしまったんだとまたもや少女は後悔した。
仕方なく電車を降り、酔い潰れて寝ている大人を横目に、改札を抜けて夜の街を歩く。
どうやら今日は七夕らしい。至るところに短冊が飾ってある。小さい頃はこの時期になると、織姫と彦星が無事会えるのか心配でてるてる坊主を窓に吊るしていたな、と懐かしい気持ちになった。
何処を見ても明るい。人混みの中をただ歩いた。この時間でも何だか熱気を感じて、まるで皆睡眠なんて知らないかのように見える。
織姫と彦星の事なんて誰も考えていなくて、ただ我欲を満たしたいが為に生きている。
立ち止まってSNSで"七夕"と検索すると、色々な人の願い事がずらっと並んだ。他力本願なもの、些細な幸せ、世界平和。
本来七夕の願いというのは、自身の努力で実現可能な事を願うのが良いとされるらしい。せっかくだから自分も何か願っておくか、と少女は心の中で呟いた。
空を見上げても天の川は見えない。喧騒の間を生暖かい風がすり抜ける。
知らない男に声をかけられたが、無視して駅へと引き返した。
たなばたばなた
たなばた
ばなた
七夕
1年にいちどの逢瀬
長く愛を育む最良の策
だったりして
例年七夕はなぜか雨が降る気がする
今年晴れてたのは、自分の環境が変わったから?
短冊に
お願い事を書く。
家族―――
あなたと
あなたの家族と
わたしの家族
みんなの
健康を願った。
あなたの
お願い事を
チラリと
覗き見する。
わたしの幸せを
願っていてくれた。
この人の
奥さんになれて
良かった。
#七夕
七夕の夜、空は満天の星で輝いていた。人々は願い事を込めて笹の葉に短冊を飾り、織姫と彦星が出会うとされるこの日を心待ちにしていた。
小さな村に住む少女・さくらは、七夕の準備をしていた。彼女は幼い頃から星が大好きで、毎晩窓から星を眺めては夢を見ていた。今年の願い事は、星になること。さくらはそっと短冊にその想いを綴り、笹の葉に飾った。
夜が更けると、さくらは庭に出て星空を仰ぎ見る。すると、突然空に光が灯り、そこには美しい女性が現れた。その女性こそ織姫であり、さくらの願いを叶えるためにやってきたのだ。
織姫はさくらに微笑みかけ、「あなたの願いを叶えるために、私と一緒に星に行きましょう。」と言った。さくらは驚きながらも、喜びを隠せなかった。彼女は織姫の手を取り、空へと舞い上がっていった。
星の世界は美しく、さくらはその輝きに圧倒された。織姫はさくらに星の力を授け、彼女は徐々に星に変わり始めた。さくらは自分の手を見ると、そこには星の輝きが宿っていた。
「これであなたも星になったわ。」織姫はそう言って微笑んだ。さくらは感謝の気持ちでいっぱいで、星々の中を舞いながら幸せを感じた。
その夜、村の人々はさくらの姿を見て驚き、感動した。彼女は星になったけれども、その輝きは村にも届いていた。さくらの願いは叶い、彼女は星として永遠に輝き続けることとなった。
七夕の夜、さくらの物語は村人たちに語り継がれ、星空には彼女の輝きがいつまでも残ることだろう。彦星と織姫が再び出会う日まで、さくらの星は人々に希望と幸せを届けてくれるのだろう。
間違えたところを探す、寂しくて、眠るのが悔しい、日々泥のように生きて、たまに夜を愛してみる
『七夕』
七夕
今日は一年に一度、貴方が帰ってくる日。
「よぉ、元気にやってたか?織姫サン」
「……何、織姫って」
「そりゃあ、今日が七夕の日だからじゃん」
……そっか。
そういえば、そうだった。
貴方のことしか考えてなくて、そんなのすっかり忘れてた。
なんて。
そんな僕の考えてることは、お見通しだとでもいうように、貴方がニヤニヤと笑って。
「俺に会えるのが嬉しくて忘れてたのかぁ?」
と、揶揄ってくる。
けど、あながち間違いじゃないから。
「そうだよ。七夕なんかより貴方が帰ってくるのが楽しみで仕方がなかったの」
そう、正直に言ってみせれば。
彼はニヤけた顔を止めて。
俺を真剣な目で見つめると。
頭をポンと触ってきて。
「可愛いなぁ、お前は。きっと本物の織姫サンより可愛いよ」
「もう、テキトーなこと言わないでよね」
と言いつつ、貴方に可愛いと言われるのは嬉しいから、頬が緩む。
あぁ、貴方がずっと、僕の傍にいてくれたら良いのに。
なんて。
そんなことを言っても、彼を困らせるだけだから。
俺がいつか必ず、貴方と一緒に暮らせるように頑張るよ。
だから、どうか。
俺の頑張りが叶いますように。
そう、星空に願う僕だった。
End
⚠️warning
念のため申し上げます。
七夕をロマンチックに思ってる方は今回の私の投稿は読まない方がよろしいかと存じます。
七夕と言えば織り姫牽牛。子供の頃は好きあってる2人が引き裂かれて、可哀相なお話だと思ってた。
大人になって、「色狂いになって仕事の責任を果たさなくなり、天帝に激怒された挙げ句、今度は会えないからモチベ上がんないとか言って、やはり仕事せず、次は泣きおとしにかかり、仕方なしに天帝のお情けで年1回会わせてもらえるようになって、じゃあ仕事します。」というダメな大人の話だと知り、思い出すたび子供心をバカにされた感じがして、こちらが激怒したいわと思う。子供には聞かせられない内容を省略したら、すてきな悲恋のお話が出来上がったという事例でした。
でも七夕祭りの笹飾りや短冊に罪はないので、風情があって良いなと思います。(精一杯のフォローのつもり)
お題「七夕」