プレゼント』の作文集

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プレゼント』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

12/23/2024, 2:43:41 PM

22



「今年はプレゼント貰えっかなあー?」


同居人・東城翔(とうじょう かける)はそう言って寝転がりながらこちらを振り返る。
やや高揚したその声と、ニヤついているのを隠しきれていない顔に無性に苛ついた俺は、持っていた本を隣に置き、近くにあったクッションを投げ付けた。

「いてっ!…ったく、ひでぇなあ。こんなに男前で愛しの恋人に対して容赦がねぇよ、全く」

「…うるさい。お前が調子に乗っているからだ」


俺はそう投げ捨てるように言うと、再び本を読み始める。


「ちぇっ、何だよ。俺に優しくしておかねえと明日サンタが来なくても知らねえぞー!!」

サンタはどこからでも見てるんだからな、と翔はこちらを前のめりになりじっと見つめながら言った。

俺は返事を返さぬまま、本で己の顔を隠す。


(…ったく……)

俺は心で溜息をついた。

いつもの2割増くらい調子に乗っている翔も憎たらしい。が、それ以上に今の反応に可愛らしさを抱いていたり、また明日枕元に置かれたプレゼントを嬉しそうに抱きしめ、開けている姿を想像するだけで心がほんわりと温かく、顔が綻んでしまうほど、己が奴に溺愛している事が心底腹立たしいのである。

そんな事悔しくて絶対に奴に知られたくない俺は、本を顔の前で掲げたまま、奴に背を向けソファに寝転ぶのであった。


聖夜の夜まで、あと少し。

12/23/2024, 2:41:52 PM

作品No.267【2024/12/23 テーマ:プレゼント】


 先々月、既に過ぎ去ってしまった、姉の誕生日。
 未だにプレゼントを渡していない、どころか、準備すらしていないまま、ここまで来てしまった。
 何をあげれば、喜んでくれるのか——わからないまま、時間が過ぎてしまった。
 もうすぐクリスマス。さて、どうすればよいのでしょう?

12/23/2024, 2:41:50 PM

ゆずの香り プレゼント


ささやかな癒しを
きちんと自分自身へ

寒かったね
今日も

ゆっくりまったりしよう
ゆずの香りの入浴剤を入れ
湯船にしっかり浸かろう

寛ぎをプレゼント
明日もまた頑張ろうね

12/23/2024, 2:41:27 PM

プレゼント

親愛なる全世界の保護者様へ

クリスマスプレゼント配布につきましては、
今年度で終了となることが決定しました。
理由の一つはサンタ全体の高齢化、
また一つはトナカイたちの餌代の高騰等となります。
数十年以上、ギリギリでも続けてきました。
でももう、もう無理なのです。
これから夢を見せるのは、私たちではありません。
自分勝手ではございますが、どうか聖夜を楽しんで。

全世界サンタクロース管理委員会より

12/23/2024, 2:34:50 PM

3歳の時に絵本を買ってもらった
確か、おやゆび姫だった…

まだ、字は読めなかったけれど
本の内容と絵は鮮明に覚えている

今日、本屋さんに行った
この月末にポイントが消えると
お知らせが入ったからだ…

特にお目当ての本は無かったが
ポイントも勿体ないので店内を
ウロウロと散策してみた

「何かないかなぁ〜?」
その時、最近ちょこちょこ見ている
動画で、絵本作家さんを思い出した

「いい年して絵本もないかな…」
正直、ふと思ったが何だか気になる

もうすぐクリスマスだし、大人になって
から絵本なんて読んだ事がないのだから
この際、自分に絵本をプレゼントしよう

欲しい本は決まった…しかし…
自分で決めたのか?見えない力に誘導
されたのか否かww

まずは聞いてみよう…

「のぶみさんの、ノー厶……」
「あっ💦題名が長くて覚えきれない」

店員さんと2人で店内を探し無事に
発見し、購入した

ホントに大人になってから絵本なんて
買うとは自分でもびっくりww

何だかちょっと気恥ずかしくて、黙って
部屋まで持ち帰りさっき1人でしみじみ
読んでみた…

色々経験して、大人になってから今の
感性で読む絵本は子供の頃とは別物だと
素直に感じられた…

結果…
私から私への絵本のプレゼントは
とても素敵な時間を作ってくれた

12/23/2024, 2:30:39 PM

そういえば、気づけば2日後はもうクリスマス。
クリスマスといえば、恋人、家族、友達と楽しく過ごす日と言われているが、やはり一番はクリスマスプレゼントなのではないだろうか。
僕のクリスマスプレゼントの思い出は5歳で止まっている。
5歳までは、枕元の上にプレゼントが置かれていたのだが、それ以降は手渡しになった。
その時、僕は複雑だった。
サンタを別に信じてたわけじゃないけど、裏切られた気持ちになった。
けど、欲しかったものはもらえたわけで、別にもらう手段なんて関係ないのかもしれない。
けど、僕にとってそれは、驚きと嬉しさをくれた一種のサプライズだったんだ。
それが、淡々とした行為になって、やがてクリスマスプレゼントなのに、クリスマス以前に渡されて、なくなって。
僕の日常から少しずつ確実に、サプライズがなくなっていって、驚きという感情が欠如して。
日常が、ある程度決まった行為を繰り返すだけになってしまった。
どこから変わったのだろうか、何がキッカケだったのだろうか、もう僕には、分からない。
そして、それを考える必要性もない。
幼いときの記憶を思い出しては、もう会えない兄や母親と、昔の父親の優しさで胸が締め付けられる。
わかっていたいつかこうなることを。
わかっていたんだ。
わかっていても、やり直したいと願う気持ちは僕の心を蝕む。
あぁ、こんなことになるのならば、この記憶ごと消したい。
いや、感情がなくなればこんな思いをしないで済むのに。
なんて考えながら、決められた行為を毎日し続け、心は蝕まれていく。

        ―――end―――

         【幼き記憶】(プレゼント)

12/23/2024, 2:29:46 PM

プレゼント
もうすぐ、クリスマス…街は、イルミネーションとクリスマスツリーで、夏の夜より綺羅びやかで…
そして、溢れる人の群れ…恋人達と覚しき二人連れが何処其処で立ち止まり乍ら、写真を撮ったり、肩を寄せ合いながら、微笑みあったり…
そんな幸せが溢れる、白い息が流れる寒い夜に、プレゼントを届けてくれる、サンタクロースに、叶わないお願いを、毎年している…素敵なパートナーを届けて下さい…

12/23/2024, 2:27:02 PM

【rip 包装紙】

包装紙があるからプレゼントなのに、
テープが1つで済むようにと、
なるべくたくさん折られて、
すぐに破かれ捨てられる。
それが仕事で宿命で一生だから、
きっと包装紙は文句の一つも言うことはない。
これは美徳ではない。
おれは世界を包んで溶かして消化して、
ゲップしたい。

12/23/2024, 2:24:11 PM

クリスマス!!今年もわくわくどきどき…
私は中2です。もらえるかもらえないかの狭間くらい。
サンタさんがきますように…!!

12/23/2024, 2:23:24 PM

【プレゼント】
 
 昔から人にあげる時は、その人が喜ぶものを贈ることが出来た
 
 しかし、私に贈られるものは
 
 中華街の変なお面
 昭和の少女雑誌の付録
 使用済みのウサギのぬいぐるみ
 虫眼鏡
 
 喜べないのだ
 しかし相手は私が喜ぶと思って贈ってくれているのだ
 
 相手に私はどう写っているのだろ?
 ちょっと悲しい気持ちになる

12/23/2024, 2:15:39 PM

名前は親からの最初のプレゼント。
何かで聞いたか、読んだか。

私の名前は祖父から一字を貰ったらしい。
私が生まれるだいぶ前に亡くなったという祖父。
顔も知らない、どんな人だったか分からない祖父。
そんな祖父の字を貰ったんだよ、と言われて、私はどんな顔をすれば良かったんだろう?
何度か祖父がどんな人だったか聞いてみたが、いまいちイメージが湧かなかった。
私はどんな顔をすれば良かったんだろう?

名前は親からの最初のプレゼント。
素直に喜べなかった私は、嫌な子供でした。


END



「プレゼント」

12/23/2024, 2:13:45 PM

プレゼント


サンタさんから届かないかな?
アイチュンカード。
5000円でいいから。
ほら、
飾ってある大きい靴下に入れやすいし。
クリスマスプレゼントにピッタリだと思うなぁ。

12/23/2024, 2:13:05 PM

クリスマスを目前に、サンゴは頭を抱えていた。
大きなため息をつき、カレンダーを見る。
12月25日はサンゴにとって大切な人である、レオの誕生日である。


レオは、若き天才科学者である。
彼が何を研究しているのかすら、サンゴは教えてもらっても理解できなかった。
合理的かつ論理的に思考することを好むレオは、もはや食に対してすら興味がない。
いつも紫のキラキラした美しいレース仕立ての服を着ているあたり、紫色は好きなのかもしれない。

それに加えて、レオは男性でも女性でもない。
レオは無性別なのだ。


サンゴはさらにうなだれた。
性別で相手の好みそうなものを判断することは、世間一般的に見ても少なくないだろう。
性別から予測することで全てが正しい解に繋がるわけではないが、ヒントにはなる。
無性別ということに加えて、レオのサバサバした性格が尚更サンゴを悩ませた。


少し前、レオ本人に今欲しいものはあるのかと聞いたことがある。
レオは楽しそうに「あるにはあるんだけど、まぁ君には絶対に分からないだろうね!」と笑いながらバッサリ切り捨てられた。
絶対に、というところを強調されたあたり、彼の研究に関する物資のようなものが欲しいのだろうか。

サンゴはもはや、これ以上考え込むことが無駄に感じられてきたため、街でウィンドウショッピングでもしてみることにした。


市街地に出て、様々な店を見る。
クリスマスが近いということもあり、どこもキラキラした雰囲気が漂っている。
街路樹にきらめく青紫のイルミネーションがまるでレオみたいだなと考えながらぼんやり歩いていると、サンゴの携帯に通知が入った。




「…それで、レオに何を贈るか決まったのか?」

「いや…それが…まだでして…
私の女性目線に加えて、ゾーイ、あなたの男性からの意見をもらえたら助かるんだけど…」

携帯の通知は、レオとも共通の友人であるゾーイからであった。
ゾーイはレオと同じ研究施設で働いている。

ちょうど近くのカフェにいるとの連絡だったため、レオのプレゼントについて相談に乗ってもらうことにしたのだ。
しかし、男の意見つってもあいつ男じゃねえしな、とゾーイまで頭を抱え始めてしまった。


「あいつ、欲しいものは【サンゴには絶対に分からないもの】としか言わなかったんだろ?そんなん俺でも分かんねえよ。さすがにサンゴが可哀想になってくるわ…」

「デスヨネ…」

なんか考えつくものはあるのか、とゾーイが続ける。
うぅん、と本日何度目か分からない唸り声を上げて、サンゴは口を開いた。

「…レオはいつも紫のキラキラがついた服、着てるじゃない?だから…紫色で綺麗なものをあげようかな…とか考えたりはしてるの…」

「ま、悪くないんじゃね?もう考えても分かんねぇし、あいつサンゴからのプレゼントなら何でも喜ぶって。」

「適当だなあ…」

「ちなみに、俺は絶対レオにはプレゼントしねぇから。あいつにいっつも研究資材持っていかれるんだよ。
誕生日プレゼントを通年小分けで貰ってると思えよ、
って伝えたわ。」

2人ともコーヒーを飲み終えたところで「じゃ俺は帰るからあとは頑張れよ」と爽やかな笑顔のゾーイに置き去りにされた。
…泣きついてみたが、爽やかに一蹴されてしまった。

もう考えても埒があかない、とサンゴはカフェを出て再び通りを見て回ることにした。



ふと、通りかかった店のウインドウに紫色の小さなものが見えたので、サンゴは足を止めた。
近づいてよく見ると、キラキラした小さな石のイヤリングだった。
紫色の中に青や黄色の輝きがあり、とても美しい。
これだ!と目を輝かせてサンゴは店に入った。

イヤリングならば、ピアス穴の開いていないレオも身につけることができる。

店員にラッピングをしてもらい、サンゴは上機嫌で家路についた。

心を込めて選んだプレゼントなら、きっと。




《After 2 days 20xx 12/25》

「レオ、お誕生日おめでとう!
これ、プレゼント。もし要らなければ私が使うから…」



「あぁ、そういえば今日は僕の誕生日だったね。

…へぇ。センスのいいものを選んでくれたね。
…さっそくだけど、僕に着けてくれない?」



「この前、欲しいものを聞いた時に
私には絶対分からないものだって言ってたでしょ?
ごめんね。やっぱり分からなかったから、
私がレオに似合うと思ったものにしちゃった。」







「はぁ…
しょうがないからヒントを教えてあげるよ。

僕は、君と一緒に居られたら何も要らないさ。」






12/23 プレゼント

12/23/2024, 2:10:56 PM

母「クリスマスプレゼント何が欲しい?」
私「んー…わかんない」
母「そう。また決まったら教えてね」
私「うん」
なんていう会話をしてから3週間
抗うつ剤を飲んで脈が速くなる副作用がでたから病院に行きやめる事になって薬をやめた。

なんか変わったことあったら教えてねって言われたけど
なんていうか気持ちが落ち込むことが多くなった。多くなったっていうかまた薬飲む前みたいに戻ってしまった。

こんな事すら言えない。

正直家族からの愛がもっと欲しい。そう言いたいです

昔からずっと怒られることがよくあって、褒められた記憶より怒られてる記憶のほうがたくさんあって、怒られるときに叩かれて怒られたから余計にね。

でも悪い事してた自分が悪いから仕方ない。

親に信用されてないって言われて、親は気づいてないけど弟のほうが可愛がられ、甘やかされて、いつも羨ましく思う。弟なんか叩かれて怒られたことないし。

最近なんかは、頑張って伸ばそうとはしてるけど爪噛んじゃったり、皮膚掻きむしったり、気持ち悪くなりかけてるぐらいお腹いっぱいなのに食べ物食べてしまったりしちゃう。

なんかこの症状は自傷行為になるかもしれないレベルでリスカだけではなくこういうのも自傷行為なんだって。
こんな気持ちが落ち込んでても「リスカは怖くて出来ない。」「でもどうしても気持ちを落ち着かせたい。」って思う。

どうしたらいいんだろうって考えた結果ピアスを開けることだった。中学生だからダメなのも分かってる。お母さんにだってダメって言われてるし、これから高校受験やら就職やらで不利になるのもなんとなくだが分かってる。

でも怒られるのが怖い(不安障害だから余計。)だから開けるかまだ迷ってる。開けるやつ買うだけ買ってあとはその時に任せようと思ってる。

ほんとバカな事考えて、きっと他にも何かあるはずだけどこれしか思いつかなかった。

ごめんなさい。こんなバカな私にプレゼントなんかいりません。ごめんなさい

12/23/2024, 2:07:30 PM

お題『プレゼント』

これを選ぶ時が一番、相手を思い出す。

相手の好きな色はなんだっけ。相手のよく使っているものは…、相手が以前なにか欲しい、と話してなかったか。相手の部屋に置いてあったのは。相手の苦手なものはなんだったかな。

一挙手一投足を、記憶の底から引き出してくる。
それらを思い出すことも楽しい。
そして、それらを渡した時の反応を考えることも、楽しい。

12/23/2024, 2:07:20 PM

本専門のサンタさん
    vs
年内に読んでしまう本の虫

2024/12/23「プレゼント」
短歌001

ほぼ実録。

12/23/2024, 2:07:15 PM

もらいたくない



これ、あげる


君に、「職場」あげる


もらってもいいけど

これから、二度と会えなくなります。


それでもいいですか?


テーマ「プレゼント」より

12/23/2024, 1:55:22 PM

作品43 プレゼント


 ラッピングを頼まれた商品を受け取り、好きな色の紙を切る。丁寧に包装し、紙にあう色のリボンを、ふわふわになるように可愛く結ぶ。そして、返す。
 この季節になると、この作業が一気に増える。サンタさんがたくさん来て、子供の好きそうな商品を頑張って探すのを見られるこの仕事が、大好きだ。そこからしか感じられない親子の愛がある。
 きっとクリスマスの朝には、キラキラした子どもたちの顔を見れるんだろうな。親はそれを、愛おしいと感じるのだろう。
 そして、子供はその視線を浴びながら、私達が丁寧に包んだラッピングをグチャグチャにして、中身にだけ気を取られて、この包装たちはクズ箱に捨てられて。考えただけでも腹立たしい。
 この仕事が好きな分、どんどん子供が嫌いになっていく。いつからこんな捻くれたんだろう。
 ああそうだ。親にサンタさんの正体を言われた頃からだ。あのころからなのか。そしてそこから数年経って……。
 人ってこんなんになっちゃうんだな。

12/23/2024, 1:52:53 PM

とても 充実感のある今日
プレゼントと聞いて思うこと
今日の出逢いに
今日までのすべてのことを
プレゼントに感じられるような
日になれたこと、
こんな日を迎えられたことが
とっても嬉しく有り難い!

12/23/2024, 1:52:10 PM

「片波見《カタバミ》君。
 これ、ウチで作った柚子。
 余ったからあげるね」
「ありがとう」

 帰りのホームルームが終わった放課後、一人の女の子が僕に柚子を渡してくる。
 僕がお礼を言うと、嬉しそうな笑みを返してくれる彼女。
 けどそれも一瞬の事。 
 彼女は「またね」と言って僕から離れ、他の人に柚子を渡しに行く。

 一見奇妙なやり取りだが、これはこの時期の恒例行事、誰も不審に思う事は無い
 というのも、彼女は毎年柚子の季節になると、ああやって柚子を配り始めるのだ。
 彼女の実家は柚子を中心に育てている農家
 柚子配りは、自社製品のアピールの一環で行っているのだ
 同い年なのに商魂たくましいことである。

 そんな彼女の名前は、柚子ヶ原 恵子。
 柚子農家で、すれ違うとほのかに柚子の香りがする女の子だ。
 誰にでも優しく、皆に好かれる人気者。
 女子からの人気も高い。

 冬になると柚子を配り歩くことから、ついたあだ名が『柚子の妖精』。
 なんだか小馬鹿にしたようなあだ名だが、本人はとても気に入っており、自ら進んで名乗っている。

 『妖精』の名前にたがわず、彼女はとても美人だ。
 何人もの男子が、お近づきになろうと告白するが、ことごとく玉砕。
 つい先日、入学から累計100回目を突破した。
 ちなみに女子からの告白も含まれる。

 なんでそんなことを知っているかと言うと、僕が『柚子ヶ原親衛隊』の隊長だからだ。
 隊員10名ほどの、僕が作った組織。
 『柚子ヶ原の平和な学園生活をサポートする』ことを目的としている。

 美少女というのは意外に危険が多い。
 お近づきになろうと、強引に迫ってくる人間は序の口。
 フラれた奴が逆切れして、彼女に襲い掛かるのは一度や二度ではない。

 そんな時、彼女が危害が及ばないよう、僕たち親衛隊が偶然を装って助けに入るのだ。
 時に怪我を負うこともあるが、それが何だというのだろう?
 彼女の平和に少しでも貢献できるのであれば、それは名誉の勲章なのだ

 でもそんな活動も、一週間前からぱったりと途絶えている。
 なぜなら柚子ヶ原に彼氏が出来たから。
 彼氏持ちの女子に、チョッカイを出そうというヤツがいないのだ。

 一抹の寂しさはあるが、しかし喜ばしい事でもある。
 彼女を守ってくれる王子様が現れたのだ。
 これからは彼女は幸せな人生を送るのであろう。

 問題があるとすればただ一つ。
 その彼氏というのが僕という事だ。
 つまり、僕と柚子ヶ原は、正式にお付き合いしているのである。

 一週間前、帰り支度をしていると、クラスメイトが見ている前で彼女に突然告白された。
 何の心構えの無かった僕は、彼女に恋心を抱いていたのもあって告白を受け入れ、晴れて彼氏彼女の仲になった。
 親衛隊のメンバーからは、やっかみ交じりの祝福をされ、幸いにもこれといったトラブルはない。

 けれど時間が経つほど、あれは何かの間違いではないかと思ってしまう。
 自分でも言いたくないが、僕は地味で根暗だ。
 僕の名前と同じ、カタバミという目立たない地味な植物があるが、僕も同じようなものだ。

 だというのに、なぜ柚子ヶ原さんは僕に告白してくれたのだろうか……
 もっと相応しい人がいるだろうに、なぜ……?
 僕が疑心暗鬼になっていると、営業が終って彼女が戻ってきた

「おまたせ、片波見君。
 一緒に帰ろう」
 眩しい笑顔で僕を見る彼女。
 この笑顔を見るたびに、僕はいたたまれない気持ちになる。
 僕と彼女は不釣り合いではないか?
 僕はどうしても我慢できず、彼女に疑問をぶつける

「ねえ、柚子ヶ原さん。
 なんで僕に告白したの?」
 キョトンとする柚子ヶ原さん。
 けれど僕の言いたいことを理解してくれたのか、すぐに真面目な顔になる。

「コンパニオンプランツって知ってる?」
 質問をしたら、質問で返された。
 ちょっとモヤモヤするものの、知ったかぶりをしても仕方ないので、正直に「知らない」と返す。

「コンパニオンプランツていうのはね。
 一緒に植えると、病気や害虫を寄せ付けない植物の事だよ」
「へえ、そんなのあるんだ……
 ん、もしかして『カタバミ』って、『柚子』のコンパニオンプランツだったりする?」
 彼女は頷く。
 僕はそれを見て、がっかりしてしまった。

「つまり柚子ヶ原さんは縁起を担いだんだね……
 自分に悪い虫を寄らないように、適当に扱いやすい彼氏を見繕ったと……」
 ボクが自虐的に言うと、柚子ヶ原さんが慌てて訂正する。

「待って待って、違うから!
 ちゃんと理由があるの!」
「理由?」
 僕が首を傾げると、柚子ヶ原さんが悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「私、知っているんだよ
 片波見君が、ずっと私を守ってくれていた事」

 ドキッと心臓が高鳴る。
 親衛隊の事は秘密にしていたのだけど、どうやらバレていたらしい。
 まあ、何度も偶然を装えばバレるか。

「縁起を担いだのも、たしかに理由。
 でも私が困った時、いつも颯爽と現れてくれたよね
 最初は偶然かと思ったけど、何回も同じことがあったら気付くよ。
 そしたらもう、惚れるしかないよね?」

 そして柚子の香りが僕の鼻をかすめる。
 彼女が僕に抱き着いたのだ。
 
「これからも私を悪い虫から守ってね。
 私の王子様」

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