『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ゆーらゆーら。
そんな音が本当に聞こえそうなくらい、隣のあの子の乗るブランコは現実の音を一切出さずに揺れている。
私の乗るブランコはギィ、カチャ、と金具が擦れる音が断続的に鳴っている。
この違いはなんだろう。
あの子がこっちを見た。にこっと笑うと、ブランコから飛び降りる。
両足をそろえて音もなく着地したその子は、もう一度こちらを振り向いて笑ってみせると、公園の出口へと走り去っていった。
私も真似してブランコから飛び降りる。
ギッ、と金具の擦れる音、次いでドシュッ、と私の着地する音。
どうしてこうも違うのだろう。
体重の違いかな。もしかして私、重いのかな。
そう思いながら、公園の出口に向かう。
そして気づく。
昨日は雨が降ったせいで地面はぬかるんでいて、後ろを見れば私の足跡が点々とついてきていた。少し左には公園に来たときにつけた靴の形が。
それ以外の足跡は、どこにもない。
だけれど確かに、背後のブランコは2つともゆーらゆーらと揺れていた。
小さい頃、ブランコが大好きだった。
立ち漕ぎしたり、靴を飛ばしたり、鎖をぐるぐる捻ってスリルを味わってみたり。
夕焼け空とブランコって、何だか絵になるよね。
朧気な思い出と共に、そんな情景が浮かんでくる。
むかーしむかーしある所に僕の家の近くの友達の家の近くの公園のブランコに乗ってました。そのブランコは近所の人から人気のブランコで怪我した人は居ませんでした。すごくないですか?
こどもの頃は
思いっきりブランコを漕げた
あの青空のもっと上まで翔んでいけるように
雲の上にはラピュタや
ドラえもんの雲の王国があると思っていて
危ないくらいの立ち漕ぎで
挑んでいた
大人になったら
ブランコは漕げなくなってしまった
三半規管がパニックになるから
あの空は夜空が常になり
月が浮かんでいる
生きてるうちに月に住めるようになるかな
ホットココアを飲みながらのブランコは
寄り道の定位置になった
今日も届かない月を恨めしそうに眺めている
ブランコ
ちいさいあの人と並んでブランコに乗る
上手く漕ぐことが出来なくて横を見る
視線の先でブランコを漕いでいるあの人は楽しそうで
その横顔をメモリに保存する。
ブランコ
子どもたちのいない
公園で
久しぶりの
乗り心地
昔はいろいろな
乗り方があった
いろいろな形の
ブランコ
なな🐶
2024年2月1日387
ブランコ
小さな頃
小さな公園で
幼い弟と、ブランコに
2人乗りした
大きく漕いで
空に放り投げた
靴二足
惜しむことなく
心から笑った
またブランコで遊ぼうよ
たった2人の姉弟なのだから
空できっとパパも見てるよ
ブランコ
僕の住んでいる地区には公園がある。
遊具は少ないけど、かなり広い公園だ。
春には桜が咲いてとても綺麗。
その中にもブランコはある。
2人分のブランコ。
小さかった頃は取り合いしてたな。
どこまで高くこげるか。
よく勝負したな。
懐かしい。
けど、成長していくにつれて公園すら行かなくなった。
友達と遊んでいる時に気が向いたらホントに時々散歩ついでに行く程度だ。
その時には鉄棒したりブランコしたり、砂場でも遊んだな。
城なんか作ってた。
砂場に絵を描いたりしてた。
ああ、懐かしいな。
今では友達と集まることすらほぼない。
寂しいのかわからないけど、無性に会いたくなる時がある。
その時はまた、砂に絵を描いて、鉄棒で酔うまで回って。
ブランコで誰が1番高くこげるか勝負したいな。
星屑のブランコ。
漕ぐ度、キラキラと音が鳴る。
女の子、両方の赤い靴をそろえて、茶色い紙を真空に揺らしながら、天の川を越えていく。
ゆらぐ鼓動と、月まで登れそうな加速度と、プラネタリウムみたいな空の公転。
美しくそよぐ、母さんの横顔をした、月の砂漠。
カノープスのサソリの心臓。
ヘラクレスの腰帯。
カストルとポルックスの双子の兄弟。
おおぐま座の尻尾。
南から北まで見渡すと、北斗七星の柄杓が、ちょうど、ブランコの形をしていることに気づいたよ。
ハレルヤと母さんが歌う。
星たちよ、今日はもうお眠りよ。
女の子もはにかんで、一緒に節をつけて歌ったよ。
父さんはギターを鳴らし、弦の音が夜空に澄み渡った。
おやすみ、ハレルヤ。目覚めない時も、また幾月も、神様が降りてくるまで。
ブランコって
ゆらゆら
前後に揺れるだけなのに
なんであの頃は
あんなに
楽しかったんだろ
ブランコに乗った記憶。
母に背中を押された記憶。
勢いよくジャンプして水たまりに降りてびしょびしょになった記憶。
そんな懐かしい記憶たち。
あの頃は良かったと思うのは今に満足していないから。
この先の未来は素晴らしいと思えるように。
好きなことに夢中に無邪気に生きていく。
ブランコの記憶のように。
君と橙色に染まった空の下で
遠くの空まで飛んでいくくらい漕いだブランコ
二人で風を感じながら会話をした
「目瞑りながら漕ぐと空飛んでるみたいだよ!」
と言っていた君
真似して僕もやる
君と空を飛んでいた
鳥の鳴き声がしたり
君の笑い声が聞こえたり
まだ帰りたくなかった
ずっとこのまま一緒がよかった
でももう門限が近くなっている
手を繋いで帰った
帰りたくないと泣いた僕
その時君は
「また明日ね、大好きだよ」
そう静かに笑って
消えた
〈ブランコ〉
漕ぐ訳でもないのにブランコに乗って
ドラマでよくあるシーンを再現
シーンを再現してみただけだよ?
でもね、何だか気持ちが入っちゃって
子供の頃の懐かしさに浸ってたんだよね。
と、あなたは笑う。
幼い時のこと、何故か鮮明に覚えているとき
無意識のうちに、大切な思い出となっている。
その瞬間は分からないけど
あとから振り返ってみると、意外と沢山。
あぁ、私
とんでもなく幸せ者だ。
#ブランコ #6
ブランコっていいな
一人で楽しめる
誰かがいなきゃ成り立たない
シーソーより
ずっといい
ブランコ
小さい時はよく遊んだね
と言いながらきみはブランコに座る
何が楽しいのか分からなくなった僕はあぁそうだねと応えた
そして僕もブランコに座り、ブランコを漕いだ
体が浮いて懐かしい感じがした
そして
久しぶりにこんなに穏やかになれた
#08
ギィギィ。
恋人が、揺れていた。
第一発見者である俺は、警察に色々訊かれる。
全部、上の空で答えた。
こんなに早く置いてくことないだろ。
揺らしたら、その分反対へ振れる幅は同じなのだと思っていた。
人の気持ちは物理法則の通りに動かないなんて、誰も教えてくれなかった。
何年ぶりかに一人で乗るブランコはやっぱり前後に同じだけ動いてゆっくり止まった。
『ブランコ』
―ブランコ―
とある夜の公園にて
「お待たせ」
『やっと逢えた』
待ち合わせをしていた彼との再会を果たした
『それにしても、よく戻ってこれたね』
「ちょっと余裕ができたからね
様子見に来たんだよ」
灰がかった青い空に月や星など出ていなくて、
公園の地面を照らすのは、
珍しく蛾の寄っていない街灯の光だけだった
「ん〜なんか遊ぼっか!」
『ブランコとか?乗る?』
公園には、中央に大きな常緑樹、
それを囲むように、ジャングルジム、シーソー、
滑り台と砂場、ブランコ、ベンチがあった
「いいね
…あー落ちたらどうしよw」
『流石に落ちはしないでしょw
…運動音痴の君のことだから、
保証はしないけど』
僕らはブランコに乗った
「50m走たった1本で息が切れる人に
言われたくないね」
『お互い様ってことでしょう?』
虫や野良猫の姿さえ見えないここには、
静けさが満ちて、
公園の隅々にまで沁みていた
「てかさ、随分と雰囲気変わったね
想像以上で、ちょっとびっくりした」
『そう…かな…?
いや…うん、そうね、
かなり変わったんじゃないかな、多分』
特にどちらが高く漕げるか試そう!
なんてことはなく、心落ち着くペースで
小さく小さく揺られながら喋っていた
「うん…だいぶ明るくなったと思うよ」
『…そうだろうね
もう、あの頃の僕は今の僕じゃないから』
街灯がチカチカと点滅し、
またぼんやりと光り始めた
「…ほんと、強くなったね」
『おかげさまで』
どこかで、鳴き声が聞こえた気がして、
木々を轟かせる一際強い風に、
隣の友人が微かに反応したのがわかった
「その調子だと、上手くいってるんでしょ?」
『まぁね
友達もできたし、クラスにも馴染めてるし
いじめとかもない
勉強や部活もそこそこ頑張ってるよ』
ほっと息をつき空を見上げた友人に釣られて
僕も天を仰いだ
「…よかった
俺さ、向こうに行ってから、ずっとずっと、
それだけが心配でさ
自分のことなんてどうでもいいくらいで」
『そんなに…
…嬉しい』
そういえば、
昼間は…いや、友人がここに訪れるまでは
雲なんてひとつもなかったような
『でも…僕はもう大丈夫
この先、何があるか分からないけど、
きっと大丈夫
今なら心からそう思えるんだ』
「…その言葉が聞きたかった
その言葉を、君の口から聞けただけで、
ここに来た甲斐があったって思える」
やがて月が顔を出して、友人の顔が
白く照らされているのが見えた
『…』
「よかった…」
僕の方をまっすぐ見て微笑む僕の友人は、
うっすらと全身が透けていて、
友人越しに公園の遊具が見えた
公園の入口で会ったときは、
そんなことなかったのに
彼は、雲の晴れた明るい夜空を見上げ、
目を閉じた
そして、祈るように手を組んで、
呟くように小さく、でも強く、言った
「君の全てが上手くいきますように」
彼は冷たい夜空に消えた
ゆれるブランコ
私は振り子
高さがだんだん落ちていく
心がだんだん凪いでいく
だけど誰かが私の背を押せば
また大きくゆれてしまう
いつこのブランコからおりられるだろう
2023/02/01『ブランコ』
ー世界ー
僕には僕の世界があって
君には君の世界がある
“生きてる世界が違うんだよ“
君はどんな思いを込めてこの言葉を放ったのだろう
そうやって僕を突き放さないでよ
自分で自分のことも突き放そうとしないで
僕が傷ついた以上に、君は深く傷を背負っている
そして、その傷に蓋をしてもっと傷ついている
君の世界はもっと色鮮やかなもので溢れていんだよ
多くのことを望んでいいんだよ
願うことは誰も邪魔することができない自由だ
もし邪魔するやつが現れたら僕が追い出してやる
少しずつでいいから君の世界を見せてくれないか
君の世界を見たいんだ
僕が君の世界を守りたい