『また会いましょう』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
また会いましょう
そんな言葉が本当に実現できるのかそう私は彼と別れた後考えていた。
マッチングサイトで出会った歳が近くて細身ででも筋肉質な彼私のタイプだなぁなんて思いながらカフェで最近あったことを話した。彼は気遣いができて人思いな人だと話してすぐに分かったそして話していくうちに好きになっただから私はメッセージを送る「あなたが好きです」と既読が着いたかと思うと〇〇さんにブロックされましたと通知が来た。すごく悲しい気持ちになった。数時間前に言っていたまた会いましょうは実現されなかった。
また会いましょう
そう言う機会すらも無かった。
ただそう思うだけで、
偶然歯車がかみ合うのを待つしか出来ない。
叶うことはないと分かっているけれど、大丈夫。
これは後に取っておく願い。
ずっと未来へ持ち続ける
消化されることのない希望
やっぱり、蒼さんだ……。🥺
蒼さんと会えない間に、私は、ノートに認めた物語。
昨晩の深夜蒼さんの配信に頑張って会いに行ったの🎵
『蒼さん、こんばんは🌛あんずです。お久しぶりです☺️🎵今は、川柳ちょっとだけお休みしています。でも、元気です。
色々ありました(^_^;)今日、私のお誕生日です。🍰✨️』と、コメントに書いたの。
『あんずさん、お久しぶり。こんばんは。そっか、川柳お休みしているんだネ。』と、沈黙が広がる。(。>﹏<。)せっかく、応援してもらっていたのになぁ〰️。
ちゃんと、憶えていて下さったんですね、やっぱり、蒼さんだぁ〰️。と、胸の中に沈黙が広がった…🥺
『そっか、お誕生日おめでとう㊗️素敵な一年にしてね🎵と、言って下さいました☺️そして、私のために、バースデーソングを歌って下さいました🌟』
ジーン(´;ω;`)
リスナーさんからもたくさん、おめでとうのメッセージをもらった✨️🎵💐
推しのライブで、バンプのレイ歌われて『ーー寂しいのは、ちゃんとお別れしてないからだ……🥺』と、いう言葉が胸に響いた。
ダメージとヘトヘトで、申し訳ありませんでした(^_^;)
私の何回もちゃんとお別れ何回もしたのに。寂しいのは、ちゃんとお別れしてないんだ〰️、私。妙に響いた。
蒼さんに、迷惑かけたらダメだから、ムリヤリに封印していたの、私。寂しいかった、ホントは。
リスナーさんが、此処は、居場所だネ☺️と、言われていた。うん、私もそう想います。でも、甘えたらダメだと、想うの。
蒼さんは、結婚式をしたらしいです💐おめでとうございます㊗️言えなかった(^_^;)
リスナーさんに、また教えてもらいました☺️感謝しています😊✨️
蒼さん、忙しくて身体が不調らしいです。リスナーさんと、雨ざらしさんのライブに行ったとか。うわぁ~✨️素敵✨️🎵
蒼さんは、雨ざらしさんが大好きで、トンコツラーメン🍜が大好き〰️、貫いて下さい😊🎵
私が川柳をお休みしていること寂しそうにして下さりすごく嬉しかったし、胸が痛くなりました(´;ω;`)ごめんなさい(_ _;)
何か、壁にぶつかっても、ソレも詠に出来るようになるね、何時か……(^_^;)
私には、出来ないことが多いから、詠になったんだね、陽葵ちゃん。ありがとう💐🤗❤
鬼滅の刃の伊之助よように、ピンチもニヤリと面白いなんて言えたら、素敵かも✨️(^_^;)
配信の最後に『またね☺️🎵』と、サムネで言われていた…。○o。.優しくて、暖かい、蒼さんのまたネ
私らしくムリなく応援出来たら、素敵です(#^.^#)🎵
ーー晩秋の君からもらうおめでとう。
わ!!中八で、怒られるパターンだ😱コレが今の精一杯です(^_^;)アッ、(^_^;)セーフでした~(^_^;)すみません💦
推しがよく最近、歌枠で『Blessing』と、いう歌を歌われます🎤病気をされて色々とお考えになることが多くなったのかとですね……。
私もよく聴いています🎵鬼滅の刃バージョンは泣けます。💧とくに、禰豆子ちゃんの『ありがとう』のたった一言が……💧
毎日が誕生日で、毎日で命日であること……。痛感します。煉獄さんの『ーー胸を張って生きろ!!』(;_;)。有無言わせない強さがカッコイイ〰️🌟!!(≧▽≦)✨️
百物語🕯️の続き書きま〰️す_φ(・_・すみません(^_^;)待っていて下さい😊資料や勉強を進めますネ☺️🙏
昨日、カンさんの一周忌だったようです。私が『まゆみ』を聴きたくなったのも、偶然じゃないかも……。
今朝、めざましテレビで、カンさんの一周忌をのコンサートをされてはりました。
お母さんは、マッキーがいないわ~と、残念がっていました。
終わり
どうもこんばんは、新米の鳥です。
君からのご用命があるのではないかと、
ずっと待機していたのですが…。
どうやら君は
自ら探し、見つけ、選択をしたようですね。
嬉しいです。
君の幸せが一番ですから。
ところで、ずっと疑問だったのですが…。
何故、あんなにも美しい宝石の海が出来ているのでしょう?
本当に何も知らされていないので、
未だに理解出来ていないのですが…。
君のもとへ行きますので、
どうか、これまでの事、これからの事。
色々教えてくださいね。
約束ですよ。
では、また。
今度は、現実で──
鳥の姿ではなく、人の姿でお会いしましょう。
────────────────────────
また会いましょう
また会いましょうなんて言葉、私にとっては叶わないも当然の言葉だ。
そう言ってさよならした友達みんな、ここ数年会ってないんだから。
だから私はもう言わないことにした。
別れの言葉はそれではさようなら。それだけで充分。
当然のように告げた、「またね。」
微笑むだけで君からの返事はなくて。
ねえ。いつから決めてたの?
ずるいよ。自分だけ。
「また」が訪れないこと、もうわかってたんだね。
話したいことたくさんあるよ。
うらみごとだってあるけど。
もし会えたら
どうせ、馬鹿な話しかしないんだろうね。
また会いましょう。
いつか、どこかで、
良いタイミングで、
会うならば、会えるはず。
会えた時は、昔の事は
話のネタに、笑い合って
今までのあなたの人生を
聞かせてほしいな。
一粒、一粒と ぼくたちは何かを失っていくけれど
それでも空を見上げて 遠い未来で またいつか。
図書館が好きで
いつも通っている
一度に10冊借りられる
帰って来た本コーナーがあり
誰かがいいなと思って
借りた本の本棚
ここにはアタリが多い
2週間で返さなければならないが
家にはすでに積読本もある
ベッドの横に本の沼が
2週間が経ち
追加の2週間が経つ
読めなかった本が1冊2冊
申しわけない思いで
窓口に返却する
またいつか会いましょう
と思いながら
【また会いましょう】
駅前のファストフード店で、トワはウツツと早めの夕食を摂っていた。なんだかんだと顔を合わせるようになって、流れで連絡先も交換して、時間が合えば塾が始まる前に待ち合わせて一緒に食事をする程度には打ち解けていた。
違う学校の、違う学年の、異性。それだけでつい口が軽くなってしまって、割と突っ込んだ話もお互いにするようになった。
「トワって安土中じゃん。この辺ほとんど小槌中のやつばっかなのに、なんでわざわざこっち来てんの?」
「弟と物理的に距離置きたくって」
「弟いんの」
「一個下。たぶん、すごいシスコン」
「すごいシスコン」
「だからとにかく距離を置きたくて……」
「そんななる?きょうだいで?」
「なる。あれは弟の距離感じゃない」
「怖」
「ウツツくんはきょうだいいるの?」
「ひとりっ子」
「あー、わかる」
「わかるってなんだよ!」
「そのまんまの意味だよ」
ウツツはあまり物事を深く考えない性質で、考えていることも全て表情と発言に出てしまう。良くも悪くも正直な彼の性格はなんだか気持ちが良くて、少し羨ましくて、憧れに似た感覚を抱いている。
明るくて元気で、運動神経も良い。背も高いし、清潔感もある。それなりにモテそうではあったが、不思議とそんなことはないらしい。やはり、やや自己中心的で共感性に欠ける部分が足を引っ張っているのだろうか。
そんなある日。向かいに座ったウツツは珍しく表情を曇らせていた。今までも試合に負けただとか記録が出なかっただとかそんなような話はあったものの、彼は前向きに次に向けての努力ができる人だ。こんな顔は見たことがなくて、トワも心配になる。
「どしたん」
「……いやさ、告白された」
「マジか。……で????」
トワが身を乗り出すと、ウツツに頭を掴まれた。そのまま席に押し戻される。
「考えたことなかったから、フツーにそのまま言った。……けど、なんか後味悪くて」
「ほーん。いいねいいね、これはお姉さんの出番じゃん」
「ヒトゴトだと思って……!」
「他人事やで」
「腹立つ」
「えっそれ同中の子?タメ?」
「クラスは違うけど、そう。一年の時からそこそこ仲良くて、まあ、友達だと思ってた」
「したら相手は違ったのかー、確かにウツツくんには難しいわ」
「どういう意味だよ!」
「そのまんまの意味だよ」
ぐぬぬ、なんて唸りながらウツツはバーガーにかぶりつく。そこまで心配はいらなさそうだと、トワは苦笑しながらストローを口に咥えた。……何やらさっきから視線を感じる。
「ねえ、ウツツくん。その子ってさ」
「あ?」
「メガネかけてる?」
「おう」
「ボブ?」
「ボブじゃねーよユメだよ」
「名前じゃなくて髪型。……肩までくらいの髪の長さってこと」
「おお、確かそんなだったわ。すげーな、エスパーかよ」
「まあそんなところかな」
いつもなら食事を終えたら塾の入っているビルまで一緒に移動するのだが、今日はシャー芯が切れたからと先に行ってもらった。
そうしてトワの前に立ち塞がる、やや小柄で細身の女の子。名前はボブではなくユメというらしい。ぱっと見は大人しそうな……どちらかといえばオタクっぽい雰囲気だ。ただ、メガネから覗く瞳はかなり強気な様子だ。
「単刀直入に訊きます。ウツツとはどんな関係で?」
「塾の友達……?」
「本当に?」
「まあ、ウツツくんがどう思ってるかはわからないけど……」
「それって、やっぱりアナタのこと好きなんじゃないですか!?」
詰め寄ってくるユメに壁際まで追い詰められてしまう。同世代の女子にこんなに真剣な壁ドンをされるなんて、人生は何が起こるかわからないものだ。
「だって、おかしいですもん!少し前からなんか、前の彼なら気にもしなかったことを気にしだすし!謎に受験に意欲的になるし!髪型気にするような感性なんて持ち合わせてなかったし!」
オタク気質というのはトワの見立てどおりだったようで、ユメはここ最近のウツツの様子について捲し立ててくる。半分くらい批判のようなものが混じっている気がするが、そこも含めてということだろう。
好きなもののことには饒舌になるよね、なんて心の中で相槌を打ちつつ、内心は少し焦ってきた。純粋に遅刻しそうだ。
「ユメちゃんごめんね、これ以上はやばい、遅れる」
「……ッ、す、すみません。私としたことが、つい熱くなって……」
諸々の所作を見る限り、育ちの良さを感じる。髪をかけた耳の先まで真っ赤だ。
「その、でも、諦めるわけでも、負ける気もありませんから。……お話はまたの機会に」
「う、うん?どうしてそうなる?」
「アイツに自覚はなくても、ずっと見てきた私にはわかります」
「……いいねえ、アオハルだねえ」
「茶化さないでくださいぶん殴りますよ」
「えっ思ってたより怖い子だ」
ユメは大きくため息を吐くと、ぺこりと頭を下げて駅へ走っていった。トワも慌てて反対方向へ走る。なんとかギリギリ間に合って、家への連絡は免れた。
トワは頬杖をつきながら、講師の板書を目で追う。正直あまり集中できなかった。別にウツツに告白された訳ではないけれど、友達だと思っている相手に別ベクトルの感情を向けられると確かに戸惑ってしまう。いや弟からの謎の執着も、ハルトの湿度高めの視線も似たようなものだけれど。
「まあ、なるようにしかならんか」
口の中で呟く。
ノートの端に花とハートを描いて、適当に塗りつぶした。
※※※
登場人物
トワ:受験生。弟から距離を置きたい。
ウツツ:健康優良児。トワと同じ高校に行けたら良いなと思い始めた。
ユメ:ウツツのオタク。最近ウツツの様子がおかしいので他人にとられる前に告白したが玉砕。
一個下の弟:名前はナガヒサ。トワと結婚したい。きょうだいは結婚できないことに憤慨してる。
ハルト:ナガヒサの友達。トワと結婚したい。きょうだいなんてそもそも結婚してるようなものなので羨ましく思っている。
『また会いましょう』
優しく頭を撫でてくれた貴女が酷く美しくて
まるで時が止まったように感じた
貴女の為だけに耐えていた雨も
ジットリとした夏の気温も湿度も
汚らしい路地裏も
赤い花を手折ろうとした肉塊も
服の乱れた自分でさえも
艶やかな黒髪を
長く弧を描く睫毛を
雪のような白肌を
吸い込むようなワイン色を
甘く卑猥な椿の香りを
自分に感じさせてくれるような演出に思えた
女性が女性に惚れるなんておかしな事だろう
生物学上不必要だと言われるだろう
でも彼女の存在は理性に否定を与えない
強く記憶にこびり付くのは
ほのかに上がる口角と
それに従う溶けるような赤い紅
また会いましょう
貴女の居ない
貴女の居た場所で
貴女のように美しく
貴女に会える事を願って
-------------------
〜あとがき〜
次を思わせるなんて残酷だろうけど
次を期待してしまうのは愚かなんだろうけど
憧れに囚われた少女の話を書きたかった
お題「また会いましょう」(雑記・途中投稿)
……これ絶対に会わないやつだ。
「ちゃんと君の隣に立てるひとになって、
絶対に戻ってくるから」
「だから君もちゃんと元気に生きていてね」
「……ね、泣かないでよ」
「今生の別れになんて絶対させないから!」
‹また会いましょう›
「さて、世の中には危険を冒すことで得る
快感があるという」
「何、一概に否定する訳じゃあ無いさ」
「ただね、万引きや借りパクと言う奴。
あれはいただけない」
「一つの盗みが何重も重なって店を潰し」
「あるいは持ち主の宝物かもしれないものを奪う」
「するとどうなる」
「店主や従業員は路頭に迷い」
「本来の持ち主は心を折ってしまう」
「するとどうなる」
「その出来心のせいで、誰かが命を摘んでしまう。
往々にして、それがありうるのさ」
「嘘つきは泥棒の始まりとは言うがね」
「窃盗は人殺しの始まりさ」
‹スリル›
・また会いましょう
また会いましょう!
……あの世でね?
「………はっ!?」
夢の中の出来事だが
まさかそれが正夢になるとは
誰も思わなかった
──また明日、じゃないけれど。
いつもの図書館、いつもの放課後、いつもと同じ座席。卒業間近と言うことで任意提出の課題をこなしながら、自分たちだけがいつもと違う。
「もうすぐ、また明日って言えなくなるんだねえ」
「そうだな」
目の前の席で黙々と手を動かす友人から返って来るのは愛想のない返事。とはいえ、怒っているわけでも話に興味がないわけでもないのは知っている。
「……ちょっと寂しいかも」
「珍しいな」
ふと友人が手を止めた。水色の眼と視線が交わる。
「そう?」
「ああ。普段のお前は負の感情を口に出そうとしないだろう」
「そりゃ、本当になったら困るから」
「前に言っていた東洋の思想か」
「ん、コトダマ、ってやつ」
母の部屋の本棚にあった、珍しい東洋の思想書。あれを読んでから、どうにもネガティブな言葉を吐くのが怖くなった……というのは建前みたいなものだけれど。単に本音を言うのが苦手なんじゃないか、と他の友人に言われたことがある。
「生涯の別れというわけでもあるまい」
「寂しいものは寂しい。寮生活って特殊だよね」
「大勢の他人が共同生活を送る場だからな」
寮部屋の片付けも少しずつ進んでいて、自室は生活感がなくなってきた。就職先である魔法省の職員寮には、すでにいくつかの荷物が届いているはずだ。
「楽しかったね」
「トラブルの方が多かったように思うが」
「過ぎちゃえば良い思い出だよ」
波乱万丈だった学園生活の記録、つまりアルバムの作成もとうに済んだらしい。あとは本当に卒業式を迎えるだけだ。
「あーさみしー」
「しつこいぞ」
「だって、就職したら簡単には会えなくなるでしょ」
呆れたような視線が投げられて、小さく頬を膨らませる。今度はため息を吐かれた。
「寂しくなる前に連絡を寄越せ。いつでも会ってやる」
「やだかっこいい」
「煩い」
「はあい」
頬を萎ませて、課題に目を落とす姿をじっと見つめる。
「なんだ」
「ううん。卒業後に会うのが楽しみだなあって」
「気の早いことだ」
「あはは、君と友達で良かったよ」
「今更だ」
「たしかに!」
これからもよろしくね、親友。
(また会いましょう)
仲良しな二人です。
また会いましょう
また会いましょう
この場所
この日
この時間
この2人でね
別れるのは寂しいけど
また会えるって考えると
なんだか嬉しいの
そんなことを考えると
涙が出るの
だからね
「また会いましょう」
:また会いましょう
╴
街の喧騒が遠のき、
冬の夜空が澄んだ冷たさをもたらしていた。
駅から少し離れたこの場所に立てば
都会の眩い光がふと消えてしまうかのようで。
目に映るのは青白い街灯の光だけだった。
╴
彼と出会った日も、この季節の寒い夜だった。
美しく飾られたショーウィンドウに見蕩れていたら、
気づけば隣に彼がいて、背を少し丸めて冷えた手をポケットに押し込み、赤いマフラーに顔をうずめていた。
火照った鼻先と、どこか気怠そうなその仕草が妙に印象的で。
大勢の人が行き交う中、彼から目が離せなかった。
ふとした瞬間に私の視線を拾うと、彼は少し微笑んだ。
その笑顔が、まるで季節外れの朝顔のように
冷たく透き通る空気の中で儚く美しく見えた。
╴
それ以来、自然と何度か会うようになった。
約束はなく、決して親密とは言えない、けれど何か確かな繋がりがあるような、そんな微妙な距離感があった。
彼との会話はささやかで、短いものだった
けれど、隣にいるだけで不思議と心が満たされた。
あの夜道を共に歩くときの沈黙と静寂が、
今ではかけがえのないものになっていた。
╴
月日が経つにつれ私の心は彼への想いで満ちていった。
しかし、それを言葉にする勇気は出ないまま、知り得ないであろう彼の心の内を考え始めた。彼もまた私に同じような思いを抱いてくれているのか、それともただの優しさで私に付き合ってくれているだけなのか。その答えは知りたくないような、知るのが怖いような気がした。
心の中で抱く彼への想いが風船のように膨らんでいくのと同時に、彼が私にはあまりに遠い存在のように感じられたからだ。
その穏やかな横顔は私を安らぎとともに痛みで満たし、度々胸の奥をきつく締め付ける。
╴
ある日、彼は突然「遠くへ行く」と呟いた。
まるで何でもないように口にしたその言葉はあまりにもあっけなく、冷たい風と共に私の胸を貫いた。
理由は語られず、また私も、問うことが出来なかった。
頭で理解しようとするよりも先に、心が強く揺さぶられ視界が歪んでいるのを感じた。
急に地面が崩れ落ちていくかのような感覚に陥り、言いようのない不安が頭から爪の先まで支配していく。
心のどこかで、
この瞬間が来ることを恐れていたのだと思う。
俯きながら彼の言葉を涙とともに飲み込んだ。
╴
それから数日が経ち、彼が去る前夜。
私は再びあの夜道で彼と並んで歩いた。
いつもと変わらない彼の振る舞いと街を包む静寂が、かえって苦く、苦しかった。
言いたいことは山ほどあったはずなのに、結局、私の口は開かなかった。
当然のことなのかもしれない。
自分の心の奥底にある言葉を、
夜空の星にすら囁くことができなかったのだから 。
駅へ向かう道を二人で歩きながら、
私はその一歩一歩が、二人の間にぽっかりと大きな溝を生み出していくようで、酷い焦燥感に襲われた。
いつもより少し早足の彼の背中を追いかけるように歩いていると、不意に彼が立ち止まりこちらへ振り返る。
軽い足取りで私に駆け寄っては何か言葉を口にするわけでもなく自身の赤いマフラーをそっと首から取り外すと、ふわりと私の首に巻いた。
思わず息を呑んだ。
そのマフラーはほんのりと彼の温もりを帯びていて、彼がそっと整えてくれるたびに、鼓動が聞こえてしまうのではないかとさえ思った。
彼の顔をこんなに間近で、
正面から見つめたのは初めてかもしれない。
ずっと横顔ばかり見ていた気がして、どうして今まで気づかなかったのだろうと、心臓が切なく軋んだ。
見つめ合う間、私は何も言えなかった。
ただただ、彼の顔を永遠に忘れることが出来なくなるまで、脳裏に焼き付けようと、じっと見つめた。
その胸の奥には燻った言葉が渦巻いていたが、どうしても口から出なかった。
どれだけ言葉を尽くしても、この関係を縛りつけたくない。彼が去ることが、私にとっても、彼にとっても、正しいことなのだとどこかで信じようとしていた。
「じゃあ、またね。」
彼は、いつもの柔らかな笑顔を浮かべていた。
その顔はあまりにも穏やかで、まるで何事もなかったかのように。
けれど、その瞳の奥にはほんのわずかに揺れる影が見えた気がした。
それは彼が初めて自分の心を私に見せてくれた瞬間だったのかもしれない。
その表情が、今まで見た彼のどんな笑顔よりも愛おしく、そして痛ましかった。
数秒の沈黙を過ごした後、
彼はゆっくりと背を向け、歩き出した。
小さな足音が徐々に遠ざかるたび、マフラーから伝わる微かな温もりが切なさに変わっていく。彼の背中はやがて街の雑踏の中に溶け込み、冬の街に溶け込んで見えなくなった。
私はひとり、冷たい夜の中で立ち尽くし、赤いマフラーと共に凍りついたような静けさの中に取り残された。
ふと空を見上げると、雪がちらつき始めていた。
静寂の中、
彼の言葉が何度も耳の奥でこだます。
それを、
╴
私は
あの夜、かき消すように心の中で呟いた言葉を
そっと、口に出してみた 。
「また会いましょう」
また会いましょ〜
とか何とかぬかしちゃって
どうせ次なんてないくせに
また会おうね
そんな事を頭の片隅に刻みこみながら
俺は次に期待する
また逢おう。逢わねばならない。なぜだか分からないけど。
額縁の中、冴えた笑みの君
受け入れ難い華やかさ
いつかになぞった輪郭を僕は忘失する