『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雛人形を早く片付けないとと行き遅れるという。そんな話は聞いたことない?
雛祭りが終われば、もう出番は終了。また来年ね。と、もう用無し扱いみたいで可哀想だ。
ところで、私の地域は雛祭りが一ヶ月遅れだった。
三月三日が終わっているのに出していていいの?
雛祭りが三月三日だということを、いろんな情報から知っていたものだから、そんなことを小さい頃の私はずっと疑問に思っていた。
まぁそんなわけで立派に行き遅れたわけですよ。あ、は、はははぁー……。
『ひなまつり』
○月△日□曜日
ひな祭り
ひな祭り、女の子の健やかな成長を願って、男雛や女雛にちらし寿司や白酒を飲み、桃の花や木々を飾り、ひなあられなどを供える行事。
女の子の行事、昔は人形を出したりひなあられを買ってきたりしてたが、最近はしてないなぁ。
私は、体は女だ。
ただ性別というものが認知できてない。
「〇〇は女の子だし人形出さなきゃね。」
なんというか微妙である。
確かに女だが、なんというかなぁ。
こうやって書いているとうり誰にも言ってない。
まあいいかとも思うが、良いのか?とも思う
最近はジェンダーやらなんやら言ってるが、根本の意識なんか帰れん。
小さい頃から根付いてるんはなかなか変わらん。
だが、理解してほしいと思うのも、人間のさが。
難しい。
◯月☓日♡曜日
、、、
ニュース★ナイトTIMEの時間です。
今日❣‡‰地区のアパートで〇〇さんが死亡しているのが発見されました。
自殺者が〇☘年ぶりに出てしまいました。
ここ数年で人口が約♠%減っており、自殺者まで出てしまうと、、、、
誰か「こおつの名前と、この日記の名前って、、、あいつ、ついに死んじまったか。なんで最後俺に日記なんか渡したんだろ。たしかにこの時代に書いてちゃいけない事ばっか書いてあるが、、、」
☓日
今日はお母さんたちに自分の性別が分からないと話した。
怒られた。
気持ち悪がられた。
もうここには、居られない。
△日
職場のAさんが受け入れてくれて、告白してくれた。
この人なら信頼できそう。
♦日
Aさんに浮気された。
さっさと慰謝料取って別れよう。
この性が気持ち悪いらしい。
誰か(今の時代ジェンダーに配慮しないと社会で生きていけなくなる。ネットは炎上、住所は特定され、最悪逮捕される。
一時期自殺者が急激に上昇し、その後一切出なくなった。こいつは性に悩まされたのに、こいつの嫌いな奴らを守った。いつまでも優しかったな。)
ひな祭り
水面光る。
2024/03/03㈰
土手を自転車で走ったら
川の水面の光がね、春の光だった。
ねえ、わかる?
夏と春の川の水面も煌めきの違いが。
眩しいなあと思ってたら
道に、てんとう虫が。
よく見たい衝動にかられて
戻ったら、もういなかった。
風に乗って行ったんだろうなあ。
あれは、一つ星てんとう虫だった。
残念。
そして上着を着ていない少年に
会った。
この町の少年たちは、
寒さに震えている子が多いなあ。
袖口を伸ばして手を隠してるの。
僕も小学生の頃、良くしたなあ。
あ、そういうもの?
みんな、そういう時を通るものなんだね。
おやすみ。
第三十四話 その妃、災厄か最悪か
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
暫くすると、バタバタと人が倒れていく音がする。耳元でかわいい鳴き声が聞こえ、顔を覆う紙を持ち上げると、手の平の大きさほどに縮んだ麒麟が、いつの間にか肩に乗っていた。
「お疲れ様。ゆっくり休んで」
きっと、皆が幸せな夢の中に旅立って行ったことを知らせたのだろう。
彼が伸ばした手の指に鼻先をつけ、パッと小さな光を放った麒麟は、気付けば折り紙のようになっていた。
それに感心している間もなく、懐に麒麟の折り紙を仕舞ったロンは、続けて今度は幾つもの“黒い鳥”の折り紙を取り出す。
「大体の人数は」
「さあ? まあ多いんじゃないかしら」
この力の欠点があるとすれば、それは正確さだろう。
彼らの記憶は覗けたとしても、それが正しいものなのかを知る術はない。
つまり、計画の段階はわかっても、実行前に内容を変えられてしまっていては、元も子もないというわけだ。
変則が全くないわけじゃない。
だから、その変則の可能性も全て考える。
計画を変える時はどういう時か。
気候? 人数? 対象の動向?
夢は、決して予知能力ではない。
あくまでも、一つの可能性に過ぎない。
夢の全てを過信、盲信してしまえば、それは己の破滅となる。
「言えることはせいぜい、この首を刈りにきている輩がいるということくらいね」
「どれだけの恨みを買ってきたんですか、全く……」
だから、常に最悪の状況に備えるしかないのだ。
大きな穴の空いた天井から、ぽつりぽつりと、雨が降り始める。それは次第に数を増やし、雨脚は強くなっていった。
気配はない。足音も。
でも、きっといる。
素人のように幻覚に惑わされることのない輩が。
この悪天候と夜の闇に姿を溶かす、本物の殺し屋が。
「ジュファ様。これ、持っておいてください」
物騒な話に、最悪な事態が頭を過ったのか。彼が渡してくれたのは、折り紙で作られた人形のようなもの。
「一先ず二体かな。まだありますけど」
「まるで雛人形みたいね」
「元々災厄避けの意味もありますから」
「乳幼児向けですけど、精神年齢似たようなもんだし、丁度いいでしょ」と、失礼なことを言いながら彼は、黒い鳥の折り紙を宙に放った。
「先に謝っときます。僕はあくまでも、帝の陰陽師なんで」
「わかってるわ。だから、絶対にその境界は越えないで」
それは、彼と手を組んだ時に決めていたこと。
彼がと言うよりは、此方が頑なにそれを要求したのだ。
彼を、そして彼の家族を守るために、表立って力は使わないことを。
「バレる可能性があるので、今の僕ができるのは“鴉の人間”が来るまでの時間稼ぎくらいなんですけど」
「それってどれくらいかしら」
「運が最高に良ければ、今こんな話はしてないですかね」
「……悪ければ?」
「一生来ないですね」
そしてロンは、持っていた羽織りを掛けながら、ふっと笑みを浮かべた。
「大丈夫ですよ。僕はまた妻にも娘にも会えます。あなたの運が余程最悪でなければ」
この恐ろしい程の笑顔に、素直に口には出せなかった。
生まれてこの方、“運”というものには見放されて生きてきたことを。
#ひなまつり/和風ファンタジー/気まぐれ更新
子供のことを、性別の固定概念に当てはめて育ててきたつもりはなかった。けれど、いざ、カミングアウトを受けてみると、大きな衝撃を受けた。
その時私は、受け入れるとか、突き放すとかいうことを前提に考えていた訳ではなく、ただただ単純に驚いていた。
私が生きてきた時代では、なんてことを語り始める時点で時代錯誤だなんだと批判されるのかもしれないけど、実際そういうのが差別されて当たり前だとかいう時代であったものだから、もしかしたら私は知らず知らずのうちに子供を女性という枠に当てはめて育てて、接していたのかもしれないと考えると、心臓がキュッと萎んで冷水に付けられたような感覚を覚えた。
もしかしたら、今日この日、毎年欠かせず祝っていたひな祭りも彼女、いや、彼にとっては自分が持つ違和感をただ単に増幅させるだけの苦痛の行事だったのかもしれないと思うと、自分の愚鈍さと無神経さに苛立って、酷く申し訳ない気持ちになった。
だから、心から私は娘いや、息子に謝った。
あなたの苦しみに気づいてあげられなくてごめんなさい。ずっと一人で辛い思いをさせて、無神経なことを言っていたのならごめんなさい。と。
子供の苦しみに気づけなかったことが、私は一人の子供の親として恥ずかしくて悔しかった。
そして、今日、例年通り行ってきたひな祭りの用意をやめて、準備していたもの全てをしまおうとした、
その時
横から伸びてきた息子の手に、それを拒まれた。
そして、驚くようなことを彼は言った。
「俺、母さんが準備するひな祭りが嫌いだったわけじゃないよ。用意してくれる豪華な料理も雛人形も、全部、俺のためのものでしょ。確かに、これは女の子のための行事なのかもしれないけど、母さんが用意してくれることに苦しく思ったことは一度もないよ。」
そう言う表情に、嘘は少しも見られないかった。
「でも、私、光が苦しんでるのも知らずに、ずっと、ずっと、振舞って、きたのよ。」
それでも、私は息子に懺悔せざるにはいられなかった。
無知は罪で、無意識に人を傷つけた傷口は傷つけた本人は知らずとも、深く、酷く痛むものだ。
私から発せられる声は情けなくも細かく震えて、途切れ途切れだった。
「どんなに謝ろうとも、無駄かもしれない。でも本当にごめんなさい。私は今、謝ることしか出来ないわ。」
「母さん。」
そう呼ばれると同時に、そっと私の肩に彼の手が置かれた。
ゆっくりと顔をあげると、息子は悲しそうに笑っていた。
「お願い、謝らないで。俺こそ、娘でいてあげられなくてごめんね。」
その笑顔は本当に、申し訳なさそうで、悔しげで、悲しい笑顔だった。
そんな笑顔を見て、咄嗟に私の体は動いていた。
今度は、私は謝らなかった。
謝ることよりも、親として今ここですべきことを悟ったからだ。
私は、謝らない代わりに、彼の身体を引き寄せた。
腕の中に入れ込んで、昔とは違う背丈にちょっとした感慨深さも感じながら、ゆっくりと背中を擦る。
彼の背中を擦りながら、そこで気づいた、私は驚いて、自分の行いに恥じて、怒ったけれど、目の前の子に注ぐ愛情は、1ミリも変わっていないことに。
息子が言ってくれたように、毎年準備していたひな祭りも、私なりの息子への愛情だった。
喜んでくれることが嬉しかったから。
宥めるつもりが、私は息子を抱きしめながら泣いていた。
そんな私につられるように、気づけば彼も私の腕の中で静かに泣いていた。
この涙を勘違いはして欲しくない。
そう思って、私は、思いを言葉にすることにした。
「あのね、私、気づけたのよ。光がこうやって伝えてくれることで、私が光をどれだけ大好きで、大事に思ってるのかを。」
「だからね、光。あなたも謝らないでちょうだい。光が光らしく生きることで、誰にも迷惑なんてかからないわ。現に私は迷惑どころが気づきを得たのだし。」
「大事な、勇気もあることを伝えてくれてありがとう。そして、気づかせてくれてありがとう。あなたのことは変わらず愛してるわ。」
これは一言一句、私が息子に伝える思い全てで、それはきっとこれからも変わらないものだ。
子供にかける私の愛情が、揺るがない強いものだと、今目の前で息子は私に教えてくれた。
だから、私は、そのお返しを。
これからの人生で、性別を変えて人生をあゆむ息子に、私は、揺るがぬ愛情をあなた注いでいくことは変わらないのだと、どうか、知っていて欲しかった。
―――不変の愛
お題【ひな祭り】
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花、、
「あなたがもしおひなさまみたいな着物着たら、きっと可愛くて素敵なんでしょうね」
何時だかのひなまつりの日、親戚の人のそんな言葉に素直に頷くことが出来なかった。
それが僕にとって、自分が周りの人と少し違うという事に多少なりとも気づき始めるきっかけとなった。
僕はトランスジェンダー、まぁ性同一性障害ってやつ。
身体は女だが心は男。
なんとも面倒臭い感じに生まれてしまったなぁ。
この事はまだ誰にも言えていない。
自分の周りにはあまり、というか全くいないしね。
僕が着るとしたらお内裏様の服がいい。
落ち着いた色でありつつもカッコよさを持ち合わせ、左腰に差した刀。
想像するだけでわくわくしてしまう。
自分の子供がひなまつりにこんなこと考えてるなんて思いもしないんだろうな、この両親。
ふと、飾られた全体をぼんやりと見るとおひなさまと目が合った気がした。
もちろんそんなはず無いので僕の思い込みなのだろうが。
ただ僕は彼女から目が離せなくなっていた。
おひなさま、僕は僕を取り繕って生きていかなきゃいけないのかな。
それとも公表するかは別として自分らしく生きるべき?
、、答えてくれる訳がないが、僕にはひとつ思ったことがある。
それは、ひなまつりがあったから僕は自分の生き方についてちゃんと考えることが出来ている、という事だ。
ひなまつりがなくてもいつかは気付いて向き合う日がきていただろうが、早くに自覚すれば自分の生きたいように生きられる時間も伸びるのではないか。
だとするならば、
ひなまつり、ありがとうございます。
僕はこれから自分の生き方についてよく考え、自分の生きたいように生きていけるよう頑張ります。
ひなまつり正直面倒臭いと思う時もあったが、その行事にどんな発見を楽しみを見つけるかは人それぞれだろう。
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『ひなまつり』
小さくて可愛らしい花の姿は
あなたの面影によく似ている
春のうららかな陽だまりの中
美しく咲き誇れますようにと
桃の花にそっと願いを託して
『ひなまつり』
祖父母の家には、七段の雛飾りがあったそうだ。
お内裏さまとお雛様、三人官女に五人囃子、随臣に仕丁。これらたくさんの御人形に、嫁入り道具や御輿入れ道具なんてのもあった。
比べて、わたしの家にあるのは、姉が生まれた頃に買ったらしい三段の雛飾りだ。
お内裏さまにお雛様、三人官女に、嫁入り道具。
こちらもなかなか可愛いけれど、母の話を聞く限り、七段飾りも一度は見てみたいと思う。
別に羨んでいるわけではない。
ただ、三段でも魅入ってしまうほどに美しい人形が、七段もあるのだ。
それはきっと綺麗で、家にあるものよりさらに立派なものなのだろう。
一度、一度でいいから、生で見てみたい。
明日が誕生日なのに、今日が日曜だから、今日にケーキを食べる。
ひなまつりのケーキしか売ってないなあ……。
クリスマス周辺の誕生日の人もこれ思ってそう、とか勝手に共感してる。
#ひなまつり
ひなまつり
一年に一度の女の子の日
私は何気にこの日が大好きだ
昔から家にある綺麗な雛人形
親が作ってくれるちらし寿司
一年に一度だけ顔を見せるお雛様とお内裏様、二人はとても綺麗に見えて、これを色んな人に見せてあげたいと思った。それぐらい素敵な私のお雛様
これは日本が世界に誇れる素晴らしい文化だと私は思う。だからこそ、この伝統を繋いでいきたいと思う今日この頃だった。
"ひなまつり"
小窓ごしに診察室の中を覗いてくる。その姿が視界の端に見えると、カルテに情報を打ち込んでいた手を止めて顔を向ける。
「よ」
片手を上げ短い声を出して反応すると、開け放たれた扉の前で一旦止まって丁寧に方向転換して、診察室に入ってくる。
「久しぶりだな」
言いながら俺が座る椅子の前で止まる。その言葉に「おう、久しぶり」と返す。
「集中していた所の邪魔をして済まない」
小さく腰を折って謝罪する。「いい」と方手を振って言葉を続ける。
「俺こそ、出迎えられなくて悪かった」
朝とはいえ、今は開院して数十分経ったところで、俺より先に出迎えるハナは居室に箱詰め。先程医院に来た患者の、今ある情報を少しでも早く纏めたくパソコンに向かって打ち出していた為、数メートル近付いてくるまで足音に全く気付けなかった。
何か言おうと口を開くが、方手でそれを制して「これでおあいこ」と続ける。すると小さく頷いて、謝罪のやり合いで時間を潰してしまう事を止めた俺の意図を汲んだ。
「これを」
そう言うとスーツの懐に手を入れて、淡い緑色の手ぬぐいを取り出す。
三日程前、オペ中に怪我をして流血したのを隠しながら病院に戻ろうとしたのを止めて医院に無理矢理連れて戻り、傷口にガーゼを当て固定用テープでは心許ないと、救急箱の傍に置いていた手ぬぐいで縛ったのだ。
その時「血ぃ止まったら捨てろ」と言ったが「洗って返す」と言い返してきて、その時業務が残っていたのもあり「いいから早く帰れ」と半ば強く追い返した。
「あの後のスケジュールが分刻みだったから、正直助かった」
「用事ってこれかよ。……って、本当に洗って来たのか。いいっつったのに」
丁寧に折り畳まれた手ぬぐいを顔の前で広げる。血の跡どころか土埃すら付いておらず、下手するとガーゼを固定する前よりも綺麗な淡い緑色に、胸の中で『本当律儀な奴』と呆れ声で呟いて小さく畳み直す。
「こんな安物、洗って返さなくたって……」
立ち上がってデスク上の戸棚の扉を開け、救急箱の隣の数枚重ねて置いている他の手ぬぐいの上に置く。
「こんなの、近くの雑貨屋に似たようなの沢山売ってるし安いし、応急処置用に何枚かストックだってある。一枚や二枚無くなった所で幾らでも替えがきく」
言い終えて戸棚の扉を閉めると、横から「そういう人だったな」という呟きが聞こえた。その呟きに小さく鼻を鳴らすと、「だが」と言葉を続けた。
「助かったのは事実だ。俺がやりたくてやった」
そう真っ直ぐな声色で言われ、反論も何もできず「そうかよ」と短くぶっきらぼうに返す。
すると、まだ時間があるのか「ところで、今日は桃の節句か」と小窓の傍に置いた、お内裏様とお雛様の折り紙に視線を向けながら話題を投げかけてきた。
「また徹夜して日付感覚狂ってんのか?」
そう聞くと「違う」と否定してきた。
「ただ、これまでこの日にあまり思い入れが無かったから、今日が季節の行事がある日だと忘れていただけだ」
言葉を最後まで聞くと「あぁ」と納得した。
確かに俺たちには馴染みのない行事だ。思い入れどころか、行事についての思い出すら殆どない。
それなのに、こうして折り紙を折って小窓の傍に飾っている俺は、良くも悪くも日付に細かいのだろうか。うざがられていないか少し心配になって、ちらりと伺う。
「ここに来る度に感覚が整うから有難い」
そんな俺に気付いたのか、フォローの言葉をかけてくる。
「ちょっとでも季節感出した方が安心するだろ」
「確かに。行事を意識した飾りをすると安心する患者が多いからな」
「あと、ちょくちょく日付感覚狂ってる誰かさんの為に、こういう事して日付を教えてる所もあるな」
ちょっと揶揄うように言うと「面目ない」と顔を少し伏せる。可笑しくて小さく笑い「冗談だ」と返す。
「それより時間大丈夫か?戻った後もあんだろ」
そう言って腕時計を指差して時間を見るよう促す。腕時計を巻いた左手首を掲げて文字盤を見て「もうこんな時間か」と呟いて顔を上げる。
「そろそろ行かなければ。今度はゆっくり時間を作って来る」
そう言ってコートの裾を翻すと廊下に歩み出て、方向転換してこちらを向いた。
「見送りはいい。また」
「あぁ、またな。ハナが会いたがってっから、今度はハナが出てられる時間帯に来い」
そう言うと「分かった」と言って方手を上げて、壁の向こうに消えていった。革靴の音が遠ざかっていき、正面玄関の扉が開閉される音が聞こえた。
「……」
救急箱と手ぬぐいが入っている戸棚の扉に視線を向ける。手を伸ばして扉を開けると、洗って返却された淡い緑色の手ぬぐいを取り出して、手ぬぐいの匂いを嗅ぐ。
──飛彩の匂い……。
思わず表情が綻ぶ。数秒手ぬぐいに染み付いた匂いを堪能すると、何かに弾かれたように顔を上げて頭を振り、手ぬぐいを戻して戸棚の扉を閉める。
「こんな事してる場合じゃねぇ……。打ち込みの続き……」
椅子に座ってパソコンに向かい、情報の打ち込みの続きを始めた。
ひなまつり
母とは折り合いがつかないけど
「今日はおひなさまだー」と
はしゃいでいた母は愛しい、ずるい。
5歳くらいのひなまつりの日にイオンの2階の本屋で子供向けの雑誌を買ってもらったのが懐かしい
とりあえず投稿せねばと思って書いてるだけなので、これには"ハート"押さないでください。
そんなことを1日考えてたひなまつりでした。
ちらし寿司じゃなくて しっぽくうどん食べましたよ。 116
あかりをつけましょぼんぼりに
御殿で歌う子供たちの声を聞きながら
雛飾りを飾る
あの子たちが健やかに育ちますように
*ひなまつり
昨日、記憶の限り初めてひなあられを食べた。想像よりもずっと柔らかな甘さがあって無意識のうちに口に運び続けていた。天の川の星たちもお菓子になればこんな味がするんだろうなとふと思った。
口に入れる度に雪みたいにすぐとけるひなあられは、その色味もあって神様のオヤツみたいだった。
…星を食べた神様の、その食べカスかも、なんてね。地球に降る途中大気圏を通って、そこで小難しい字面の物質が小難しい化学反応を起こしてパステルカラーな緑、黄、ピンク、白に………
たわいもない妄想の果てに気付いた。明日(今日)はひな祭りじゃないか、と。あちらこちらで、お内裏様とお雛様、優雅な三人官女に愉快な五人囃子、時たま赤い顔した老大臣の方々をお見かけしていたのに……なぜかすっかりそんな気はしなかった。
それと、ひなあられは去年だか一昨年だか、とにかくいつかの日に食していたなあと。全然初めてなんかじゃなかった。ついつい話を盛ってしまった限りである。
それにしても静かで穏やかで、そしてなんて優しい祭日なんだろうなあ。ハロウィンを経て節分までの喧騒はどこへやら。
ついウッカリと、その優しさに甘えて、優しいものたちとすれ違ってしまう所だった。ごめんねえ、雛人形の面々よ。
少々の反省、些細な感謝、ちょっぴりの切なさを込めてひなあられをまたまた頬張る。
うん、おいしい。ふんわりとした小さく甘い星々は、春の訪問を告げながら机上でまたたく。
新しい時の始まりに、まるで新しい世界を待ちわびるかの様に胸が踊る。
あーあ、これで花粉さえなければ、本当にいい日なのに。まったく、困るよキミ。
「ひな祭りだから、これあげるね」とあの人が気まぐれでおれにくれたこんぺいとう
こんぺいとうなんか好きでもなかったがあの人がくれたものはなぜだがきらきらと輝いて見えた
ひとつぶだけ口に含む 甘い
こんぺいとうを噛み砕しながら横目でちらとあの人を見れば、もうおれのことなんか見てもいない おれの顔すら覚えていないのだろう そういう人だ
それでもおれはこの残りのこんぺいとうを食べられもせず捨てられもせずに机の奥にしまい込む
こんぺいとうは小さなおれのたからものとなった くだらない
お題「ひな祭り」 おまねむ
唐突に。
今日はひなまつりなんだから雛人形を飾ればいいのにと家族に言われた。
当日の、しかも夕方に言われても、一夜飾りだから縁起悪いし飾る気ないからって言っても食い下がってくるしで、その神経を疑った。
せめて前もって言ってほしい。
実際飾るかは別だけど。
わたしはいくらが好き
よく食べられるものじゃない。けど、大好き。ちっちゃな頃からずっと好き。クリスマスプレゼントにいくらを頼むくらい好き!
でもいくらは年中行事の時にしか食べられない…
だから!ひな祭りが大好き
この日ばかりは自分が女でよかったと思う
いつもは自分が男だったら、イケメンなパパの顔を受け継いで、なんかよくわかんないけどおじいちゃんやパパに叩き込まれたエスコートの仕方とか使って…それはそれはモテたんじゃないかな…なんて考えて
なにより生理がないからね!それが1番羨ましい
心から男になりたいわけじゃないし、自分の性別と体は一致してると思うけど、「もし、男だったら」と考え始めたら止まらなくなる
でも、今日だけは、いくらが食べられる今日だけは、女の子でよかったなって思えるんだ
雛人形なんてないよ!
…ぬいぐるみで代用して大丈夫かな?