『ひなまつり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ひなまつり
テレビに映る、綺羅びやかな雛壇…真紅の繊毛に、お内裏様やお雛様、そして、沢山の御付きの人々…ぼんぼりや桃の花や、御飾り…豪華な衣装を纏って、微笑むお雛様の姿が何となく、きみの姿が重なって…
僕は、決して裕福でも、地位も無いし…きみを幸せに出来るなんて、大見得はきれない…けれど、きみをずっと隣で支えて居たい…
雛人形 長く飾って まだ独身
雛人形 毎年悩む 座る場所
ひなまつり 人形背に向け ちらし寿司
ひなまつりだから
女の子が主役の日だから
声を大にして言おう。
今日、誕生日の男の子へ。
お誕生日おめでとう。
「ひなまつり」
お父さんのひなまつり(テーマ ひなまつり)
1
「今日、3月3日なんだけど。」
久しぶりの休日で、昼間で寝るつもりだった俺は、妻のやけに冷たい声に起こされた。
(3月3日。・・・何の日だったか。そうだ、ひなまつりだ。)
雛祭りの人形などは用意していない。
そう言えば、少し前から妻がなにか相談しようとしてきたが、仕事が佳境でロクに睡眠時間も取れていなかった俺は、まともに聞くことができていなかった。
土曜日の昼で仕事が一段落し、帰ってから寝続け、居間に至る。
「真子は?」
「朝ご飯食べて、テレビ見てる。」
娘の真子はすでに起きているようだ。
(日曜日の朝のアニメは偉大だ。親に貴重な時間をくれる。)
「ひな祭り、なしでよくないか?夕飯やおやつで少しそれっぽいものを出すくらいで。」
適当に答えると、妻の気分が一段悪くなったのが目に見えた。
「仕事が忙しいのはわかるけど、親としてどうなの?それ。」
「・・・でも、当日に雛人形とか買えないだろ。」
「スルーはしない。真子に嫌な思い出を作っちゃだめ。こういうの、悪いことは一生覚えてるわよ。」
こうして、仕事で神経をすり減らす日々の間のたまの休日も、朝から難問に取り組むことになった。
2
俺の実家は男兄弟しかいないので、雛祭りの人形はない。
妻の実家にはあったようだが、立派すぎて家には飾れない。
「とは言え、買うのもなぁ。」
物が何もかも高くなっている昨今だ。1年に1回、飾るだけのものに高い金を払うのは痛い出費だ。
「こういうの、一生物だと思うんだけど。」
「でも、適当に安いのを買うのも中途半端だし、高いものを買うくらいなら、真子の進学のための費用に充てておいたほうがいいんじゃないか。」
金を貯めることも難しくなっているが、学費は意地でもためていかないと、真子が高校・大学に行くときに辛い選択をさせることになる。
それは避けたかった。
「友達に自慢できるとまではいかなくても、何もしなかったっていうのはないと思うわよ。」
しばらく悩んだ末に、覚悟を決める。
金の覚悟ではない。
「よし。作ろう。」
手探りで休日を潰す覚悟だ。
3
「おかあさん。次、どうするの?」
「ちょっとまってね。次はここを折る感じね。この画面よ。ねえ、ひな壇を作るにはどうしたらいいかな。本を重ねて、シーツかける?」
「それで作ったら本が読めなくなる。空の菓子箱がいくつかあっただろうから、切り貼りして作ってみよう」
全部手作りでやろう、ということになると、その後はおしゃべりしながら細々作業をした。
スマホで折り紙を調べて、雛人形を作ってみる。
妻の人形はできが良く、次に娘。最後に俺の出来損ない。
大人しく菓子箱の厚紙を切り刻み、ひな壇を作ることに専念した。
しばらく紙と格闘し、折り紙のひな壇が出来上がった。
「やった」
娘は、最初は立派な人形ではないことを気にしていたが、折り紙で一緒に作り始めたときから切り替えたのか楽しそうにし始め、出来上がったらスマホで撮影をはじめた。
俺のスマホで、雛祭りのBGMを流してみる。
少し、様になった気がした。
「ね。やってよかったでしょ?」
妻の声が気持ち、得意そうだ。
「まあ、真子が喜んだならよかった。」
「あなた、最近帰ってきて寝るだけだし。こういう時に一緒になにかしておかないと、そのうち、口を利いてもらえなくなるわよ。」
(なんて恐ろしいことを。)
次のイベントはホワイトデーか。
こちらは手作りは難しいかもしれない。
(大人しく何か買おう。)
4
そも、今の形のひな祭りは、江戸時代からあったらしい。
それ以前の原型となった行事を含めるなら更に遡る。
厄災避けの「守り雛」として、本人の代わりに厄を受けてもらったり、厄を払ってもらうための儀式
子どもの死亡率が今より遥かに高く、子どもが健やかに成長するために「祈る」ことしかできない時代。
人間の「科学知識」という力が今より遥かに少なく、その分「運命」やら「神」やらが幅を効かせていた時代の行事だ。
今は、それに頼らなくても日本では多くの子どもが健やかに成長できる環境がある。
だから、忙しいからやらなくても、多分問題ない。
(しかし)
行事がないと、日々の暮らしに精一杯の日々。
毎日、同じことを繰り返す日々だ。
忙しいからと言って、そのイベントたちを全部すっ飛ばしていくと、心を亡くして毎日毎日働くだけの日々が延々と続くだけになる。
そう。ボス戦なし、イベントなしのRPGのようなものなのだ。
人生には「ハレの日」というものが必要なのであろう。
昼間、菓子箱の厚紙と折り紙で作ったひな壇を見る。できの良いものも、悪いものもある。世界に一つだけの、不揃いのひな壇。
(娘と一緒に折り紙をする休日というのも、悪くなかった。)
そう考えると、今日の日は、良い思い出と言ってよかった。
(面倒だからと、辞めてしまっては自分の心までなくなる。忙しいからと、家庭まで効率化・省力化。・・・おかしくなっていたんだろう。)
明日の仕事がより億劫になったが、真子の寝顔を見て、気合を入れ直した。
そして、明日のために、さっさと寝た。
また長い仕事との格闘時間が始まるのだ。
ひなまつり
母は、
五段飾りの本格的な木目込み雛人形の材料を取り寄せ、
仕事が休みの日や
家事の合間など、時間を見つけては、作っていた。
もう40年以上前のことである。
毎年、五段飾りを座敷に3人の娘たちに
飾ってくれた母。
ある時
母がポツリと呟いた。
自分に雛人形欲しかったのよね。
実家は、裕福でなかったので雛人形など
買えなかったから自分で作ってみたかったのよ。
3人の娘たちにと言いながら、実は、一番
欲しかったのは母。
わかる。
母の年齢に近づき母の気持ち痛いほどわかる。
いつも子供のため24時間母でいたら辛い日もある。
たまに自分も娘に戻りたい。
3月3日の1日だけでも自分のためのお雛様
飾って自分のためのひなまつりしたい。
ささやかな母の夢。
母が亡くなり雛人形は、箱から出して飾らなくなった。
私たち三姉妹は、皆、子供は、男の子だったから
なおさら雛人形は、飾ることもない。
最近、私も小さな雛人形を集め始めた。
母の作った五段飾りの雛人形には及ばないけど。
自分のためのひなまつりをここ数年、
一人密かに楽しんでいる。
母の嬉しそうだった顔を思い出す。
ひなまつり
男三兄弟の末っ子として生まれ、ひなまつりとは全く縁はなかった
人とは無い物ねだりをしたがる、小さい頃に下が居たら良いなと、妹が良いなと思った覚えがある
そこに特別深い理由は無かったと思う、兄に成ってみたかったのと、男兄弟だけというのは何だかバランスが悪いかなと思った程度の考えだったと思う
でももし本当に妹が居たら、良い兄に成れていただろうか、一緒に楽しくひなまつりをお祝い出来ただろうか
・
・
・
現在の自分からは想像出来ない姿に嫌悪感すら覚える
お題:ひなまつり
『変わらない想い』
皆で大皿を囲んで
笑いあって楽しく過ごす
そんな日々がこの先も続いていくと思った
3月3日の昼下がり
ちらし寿司とひなあられ
いつもよりも少し豪華なお料理ばかり
私はとても嬉しかった
今もずっと色褪せない
でも、今はどうだろう
実家に残した父と母
「今年もお雛様出してるよ」と
今日の朝にくれた電話
たとえ遠く離れても
願いは変わらないのだと
教えてくれた温かな声
これから先も優しい日々が続くようにと
お雛様に願った夜
ちらし寿司
ひなあられ
が有名だが、
蛤のお吸い物
も
ひな祭りで
よく
食べられている。
どうして
蛤なのか?
蛤の貝殻は
その2枚だけしか
ピッタリと
形が合わないそうだ。
他の貝殻とは
形が合わないことから
仲の良い夫婦
の象徴
とされている。
わたしたち
夫婦は
どうなのだろう?
離婚しちゃダメ
とまでは
思ってないけど
出来れば
このまま
夫婦として
続けていけたら
いいけどなぁ。
この前
盛大に
喧嘩したとこだし
先は長い。
貝殻みたいに
形が合うか
見えたらいいのにね。
#ひなまつり
すっかりイベントごとに心が動かなくなってしまった
悪いことじゃない、それでいい
3月3日におよそ関係のない鶏肉じゃがを作った
手前味噌ながらおいしくできた、それでいいんだ
私には姉がいて、子供の頃は毎年雛人形を飾ったものだ。
ガラスケースに入ったコンパクトなものだったが、お雛様、お内裏様はもちろん、三人官女、五人囃子、重箱、御所車、橘、桜と一通り揃っていて、今思い出すとナカナカ良い雛人形であったと記憶している。
3歳上の姉の人形だから60年前くらいに作られたものであろう。爺さんからの贈り物だったと聞いていたがさぞかし値の張る買い物だったのではないかと思う。
私には兄もいて、端午の節句には桃太郎の人形が飾られた。私は金太郎さんだったが、お雛様にも桃太郎にも劣っているような気がした。
そりゃ、物語り的には「金太郎」より「桃太郎」の方が格上だし、「桃太郎」の人形の方が断然スマートでカッコイイのである。金太郎さんはすんぐり体型だからね。
でもやはり「桃太郎」よりお雛様の方が見栄えは上で、飾る時はなんだか姉も誇らしげに見えた。
そうそう、「うれしいひなまつり」の歌詞には
「あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな」
とあるが、梅や桜は見慣れているが、桃の花は私は見るきかいがなかった。
香港に頻繁に遊びに行っていた頃、農歴の正月では香港人は桃の花をよく飾る。夜市が開かれ大晦日に人々は桃の花を買うのである(桃の他に水仙も飾る、水仙は鉢に活けて乙なものだ)。
作詞したサトウハチローはどうして桃の花としたのか?私の知るかぎり日本では桃の花は雛祭りに飾られない。
雛祭りの頃に宇和島を旅した事があったが、そこで見たお雛様は実に洗練されて美しかった。
雛祭り展が役所だったか、学校だったかで催されていて、偶然見たのだが、おそらく名のある武家のお雛様であろう、本式の立派な雛飾りを幾つも見比べる事が出来た。実にお上品で神々しい輝きを放っていた。
男だって雛人形は素敵だと思うのである。
桃太郎や金太郎も立派なものはあるが、やっぱりお雛様の方が立派であろう。これって、もしかして男女不公平すぎない??
↓震災関連ですので、苦手な方はご注意ください🙇🏻♀️
私の雛人形、顔にシミがあるんだよね。
東日本大震災の揺れで、神棚にお供えしていたお酒が
かかっちゃったんだって。
買ってもらったばかりだったね。
けれど、病気ひとつせず、元気に育っています。
ありがとう。
今はもう他界した、祖母に聞いた話。
祖母がまだ幼かった頃、桃の節句には毎年ひな人形が飾られていた。
その当時にしてはなかなか立派なひな壇で、人形もオールスター勢揃いって感じ。
祖母のお気に入りはお内裏様で、子供ながらにその凛としたクールさに惹かれていたという。
ひなまつりの夜、祖母は、お内裏様がひな壇から落ちていることに気付き、拾い上げてみると、首のあたりが千切れかけていた。
当時、猫を飼っており、ひな壇のある部屋には入れないようにしていたつもりだったが、人の出入りに乗じて侵入したのだろう。
祖母は嘆き、母親に相談してみた。
それを聞いた母親は、今夜のうちに縫い直しておくことを約束する。
祖母は喜んで、ほっと胸をなでおろした。
次の日の朝。
祖母は、母親の悲鳴で目を覚ます。
慌てて両親の部屋に行ってみると、母の寝床の枕元に、お姫様と三人官女が並んで座っていた。
聞けば、目を覚まして横を見たら、お姫様と目があったという。
そりゃ悲鳴もあげるわけだ。
話はこれだけ。
母親は、夜に修繕したお内裏様をそのまま枕元に置いて眠ってしまったらしい。
お姫様は、夜になっても妻のもとへ帰らない夫を心配して、あるいは疑って、三人官女を引き連れてここまで来たのだろうか。
どうやってひな壇を降りたのか、どうやって扉を開けたのか。
謎は深まるばかり。
父親のイタズラかもしれない。
最後まで知らぬ存ぜぬの一点張りだったが。
それにしても、五人囃子の面々は、変わらずひな壇の上で呑気にお囃子を続けていたというから、女性同士で意気投合しての道行きだったのだろうか。
そんなことがあって祖母は、クールなお内裏様に熱を上げるのはやめようと心に決めたらしい。
それから何年も、ひなまつりのたびにそのひな人形は飾られていたが、誰もお内裏様にアプローチなどしなかったせいか、二度とカチコミが来ることは無かったそーだ。
『ひなまつり』
「お先に失礼しまぁ〜す」
『お疲れさまぁ〜』
『気をつけて帰ってねぇ〜』
「ありがとうございまぁ〜す」
雪の降る寒い夜
私はバイトを終え
店長がくれた廃棄処分寸前のパンを
自転車に乗せて夜道を急いだ。
今にも消えそうなくらい薄暗い街灯が
ポツ ポツとしかない道を
恐怖心と闘いながら走る。
かごに入ったパンが跳ねるのを
手で押さえながら…
5分くらい走ると民家が見えてきた。
いつもならそこも変わらず真っ暗な道。
今日は珍しく部屋の灯りがついていた。
安心感から自転車をこぐ足が遅くなる。
窓ガラスに曇り止めがされているのか
カーテンも開いていて
部屋の中がはっきりと見えた。
私は自転車から降りてゆっくりと歩き始めた。
家の中では家族そろってテーブルを囲み
何かを祝うケーキが
テーブルの上に置かれていた。
小さな女の子とその両親。
女の子は色とりどりの華やかな着物を着ていた。
にっこり笑う女の子。
嬉しそうに写真におさめる両親。
温もりいっぱいの家族の姿がそこにはあった。
寒空の下
私はふと今日が何の日だったか気になり
ポケットからスマホを取り出し
日付を確認した。
3月3日 ひなまつり🎎
雪の降る寒い夜
心だけは温かくなった。
🍀
子供に優しくない
「あ"ー、早く帰りてぇ…」
俺は同僚と昼休みに公園に来た。
最近寝れてないせいか、ちょっとした事でも疲れてしまうようになってしまった。
俺はタバコに火を付けて、同僚と雑談をした。
「お前、そういやー、奥さんと仲直りしたのか?」
「一応は話し合って仲直りしたよ笑てか、タバコの煙めっちゃ来るんだけど笑」
最近こいつは奥さんと馬鹿みたいにくだらない事で喧嘩したと、相談をしてきた。
俺は特に奥さんが居るわけでも、彼女がいるわけでもない独身だから、そこの所はわからない。
「ねね!そこのおじさんたち!」
「んあ?」
俺達の所に小さな男の子が話しかけてきた。
そしたら、男の子は手を銃の形をして、俺達にやってきた。
「ばーん!」
同僚はコンビニ弁当を食いながらも、倒れるふりをしていた。
「う"あ"あ"あぁぁぁぁぁ」
俺は、取り敢えず現実を少年に教えることにした。
「はぁ…良いか?小僧。大人になったら、絶対そういう事を社会でするなよ?一瞬で…まぁ一部には好かれるだろうけど、皆から距離を置かれるから。」
俺が少年の頭を撫でたら、少年はボールを手に持ってどっかに行った。
「お前って本当に子供に優しくないよな。だから顔良くてもモテねぇんだよ。」
「はぁ?」
ひなまつり
今日、3月3日は世間一般ではひなまつりと言って女の子の幸せと健やかな成長を願ってお祝いする日のことらしい
でもそれは人の子だけなのだろうか?
人の子だけでなく犬や猫などの別の種族の女の子もお祝いの対象になるのではないかと思う
今日はひな祭りらしい。私の家はそういう行事があると必ず物を飾る。
ほんと、うざったい。
どこかのお店に行くと、定番の曲が流れる。
『明かりをつけましょぼんぼりに〜♪』
こんなふうに、毎年ひな祭りは騒がしい。何故ただの行事でこんなに騒がしくなるのか。私には分かりかねない。
いつも通り友達と遊ぶ。友達は行事が大好きで、ポツリ、ポツリとあの歌を歌う。
「明かりをつけましょぼんぼりに、お花を上げましょもものはな。五人囃子の笛太鼓。今日は楽しいひな祭り♪」
この曲、続きとかないのかな。
「あるよぉ!」
あるんだ。
「沢山歌詞があってね、楽しい曲だから好き!」
ただ五月蝿いだけだと思うけど。こんなこと考えたら怒られちゃう。
続きの歌詞でも調べるよ。
テーマ【ひなまつり】3/3 #5
新幹線のホームまで君を迎えに行って
君はなぜか私の予想していない所から来る。
一緒に映画を観たり、ご飯食べたり、カラオケしたり。
久しぶりにデートができた。
一緒にいる時間がこんなに尊くて幸せだと思った。
だからね。ホームまで君を送った時、
私寂しかったんだよね。
なんか君から連絡がまた来ないかもしれないと
不安だったの…。
ひなまつり
今日、娘が歌ってた…
頭につけましょぼんぼりを♪ お花を上げましょ桃の花♪
「あれ?ねー ママー ぼんぼりって何?」
待って!頭にぼんぼりつけないで!
我が子の幸せと健やかな日常を願う日。
その夜の食卓は、桃色を始めとする色彩豊かな愛情に溢れていた。
いつもより甘い香りに誘われたのか、くぅ、と食欲でお腹が鳴いたのを覚えている。
私の近くへ引き寄せたお皿の中身を取り分けながら、くすりと笑った母は「こんな意味があるんだよ」と優しい声で教えてくれた。
冬から春へと向かう時期。
それはもう一日ごとにスーパーの陳列棚が忙しなく入れ替わるので、幼い頃ひそかに感じていた待ち遠しさを少し懐かしみつつ、買い物かごの隙間を埋めていった。
今日の夕食も、今では私が作り並べている。
あの遠い夜に知った由来の話を、この子には、いつ伝えてあげたら良いのかな?
母の手料理とは、私の憧れの味でもある。
【ひなまつり】
8.『ひなまつり』
私が幼い頃、
我が家のひな祭りは
小さな箱に入った
お雛様とお内裏様を飾る。
そしてその日だけ
母は女子陣に仕事をさせなかった。
母お手製のちらし寿司を食べるのが
我が家の日課だった。