蓮池

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君と最後に会った日

一目で君だと分かった。
中学生だった僕は、君のことが好きだったのに声をかける勇気もなかった。
笑うときに、髪を耳にかける仕草が可愛いと思った。

大人になった君は小さな命をその手に抱えてた。
守るように、慈しむように触れるその手や瞳が、あの頃の君とはもう違うのだと教えた。
けれど、大切に未来を育む君がとても美しく見えた。
君が手を振った先の男性が駆け寄る姿を見届けて、僕は背を向けて歩き出す。

髪を耳にかける君の姿は、思い出の中だけにしまい込んだ。

6/26/2023, 1:30:37 PM