新しい自転車を手に入れて半年以上経った。
兎にも角にも、次に交通事故に遭ってもちょっとやそっとじゃ壊れないよう、ママチャリ最強と名高いブリヂストンを奮発して購入したのだ。最強なだけあってかなり重量級の(丈夫さ=重さである)しかもうっかり27インチにしてしまったのを、なんとかえっちらおっちら乗りこなしている。
さて、ベルである。
通常、自転車のベルというのは「チリンチリン」もしくは「ジリジリジリジリ」といった、いかにも、自転車のベルです!という音がする。こいつを後ろから鳴らされると、故意に道を塞いでいるわけでもないのに「アッ、スンマセン…」感に苛まれるアレだ。
しかし、ママチャリブリヂストン氏は違う。
「ピーーーーーーン」とも「チーーーーーン」とも言えるような言えないような、頓狂な音がするのだ。ママチャリブリヂストン氏のベルは、ベル状の金具をプラスチックか何かの爪で弾くだけの造りをしており、そしてその構造通りの音がする。
この「ピーーーーーーン」もしくは「チーーーーーン」を聞いた時の衝撃…!は、さほどでもなかったが(何せ構造通りなので)しかし若干の戸惑いはあった。
何せ自転車のベルというものは、あの「そこのけそこのけチャリンコが通る」的な五月蝿さを持ってこそのベルであり、あの騒々しさ…もっと平易に言うと、ウザさ、が、自転車ベルのアイデンティティではなかったのか。
さらに言うと、自転車の通称である「チャリンコ」の語源だってベルの音だ(注:諸説あります)あのベル音があってこそのチャリンコなのだ。
このママチャリブリヂストン氏の音で通称をつくると、「ピーンコ」もしくは、「チ(自主規制)」になってしまい、およそ呼称として使えない上に、小学生男子が大喜びしてしまう。
だがしかし、
よく考えてみると、チャリンコのあのベル音は、皆にこよなく愛されているのかというと、それはそれで微妙である。
何せ、歩道を歩いている真後ろから、あの「チリンチリン」だの「ジリジリジリ」だの鳴らされると、「アッ、す、スンマセン…」的気分になるし、そもそも歩行者を退かすためにベルを鳴らすのは道路交通法違反…ということに気付くと、音にもじわじわと腹が立ってくる。
だから、あの「ピーーーーン」や「チーーーーン」は、なかなか考えられた音なのかもしれない。
人を不快にせず、しかし金属の高い音で危険をしっかりと知らせる…ために作られたのかもしれない。
そう思うと、自転車????か????みたいなベル音にも、ほんのりと愛着が湧いてくるのである。
愛着湧きついでに、私のママチャリブリヂストン氏は通称を「チー(自主規制)」で呼んでみ…、
いや…ないな…さすがにな…
12/20/2022, 1:55:29 PM