ある真夜中
私は1人ベランダでタバコを嗜んでいた
故郷を出て一人暮らしを初めてからもうすぐ1年
東京という大都会を目にした時の感動は一生忘れない
そして、
「僕も一服良いですか」
この男
隣の部屋に住む一人暮らしの男
お互い夜にベランダでタバコを嗜む習慣があり少しづつ話すようになった
「ええ、どうぞ」
私はいつもと変わらない言葉をかける
「今日は一段と月が綺麗な夜ですね」
いつものように男は話し始める
「本当ですね、、」
これが私のナイトルーティーン
男はふと目を伏せて少し微笑む
「私たちはもう1ヶ月はこのやり取りを続けていますが、、貴方は気にならないのですか?」
「何がですか?」
「私たちはお互い名前すら明かしていない。でもこんなにも信頼し合い、、私もたくさん相談をさせてもらいました」
「そうですね」
「私ふと思ったんです。もっと貴方のことを知りたいなと」
「ふふ、、そうなんですか?」
「ええ、、かなり前から」
男は妖艶な笑みを浮かべ私の顔に軽くタバコの煙をかける
私は少し驚きつつも笑みを返す
今夜は長い夜になりそうですね
5/18/2024, 10:04:53 AM