暮みちる

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「おもてなし」

わたしが小さい頃、両親が家族の友人たちふたりを夕食に招いたことがある。
わたしたちも決してゆとりある生活ではなかったが、
彼女たちはもっと慎ましい生活をしていた。
彼女たちの1人が私に「はい、おみやげ」と言って何かをわたしの手に持たせた。
絵のついたミニポケットティッシュひとつと髪の毛をしばるゴムひとつ。
幼いわたしにも、その「おみやげ」がぜんぜん高価でないことはすぐにわかった。
それでも、なぜかわたしはとても嬉しかった。
豪華なチョコレートの缶や綺麗なハンカチをもらっていたらきっとそのことを数年後には忘れていたかもしれない。
でも、彼女のおみやげは、数十年経った今でも心に残っている。

10/28/2025, 10:41:04 AM