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鳥かご

カエルくんのは空を眺めるのが好きでした。
明るく光る太陽。刻々と姿を変える雲などの空模様。カエルくんはまるで空は自分の心のようだと思っていました。また、この大きな空は世界中と繋がっていてと思うとワクワクしました。世界中の誰かも同じ空を見上げてる。みんなどんな思いで見ているのでしょうか。悲しい気持ち、楽しい気持ち、どんな空模様。きっとみんな違うけれど、自分と同じ一続きの空を見ている。なんだか、カエルくんには、それがとても幸せなことのように思えました。そしていつか世界中を旅して、いろんな生き物たちと仲良くなりたいと思っていました。

そんなカエルくんは空を飛びたかった。鳥が風を切って優雅に飛ぶ姿がとても好きでした。それでカエルくんは小さな鳥カゴに小さなミツバチを入れて飼っていました。

カエルくんの飼っているミツバチもカエルくんのように、よく空を見上げています。てもカエルくんと違ってとても寂しそうです。

カエルくんは思いました。きっと思いきり、この大きくて素敵な空を思いっきり飛び周りたいのだろうな。仲間と一緒に居たいのだろうな。

カエルくんは小さく、ごめんねと言いました。
でもカエルくんは大きな声で言いました。
「外は危険がいっぱい。君は小さいから直ぐに食べられちゃうよ。だからここに居るのが安全で一番良くて幸せなんだよ。」
カエルくんのは胸がチクリと痛みました。針が刺さったみたいに痛みましたが、気にしないようにしました。だってミツバチがいなくなるなんて、寂しすぎるから耐えられないからです。

今年の夏はとてつもなく熱く、カエルくんが狩りに出ても獲物が見つかりませんでした。幸い、ミツバチに餌の花はたくさんありました。
ミツバチは元気でしたが、カエルくんは痩せ衰えてゆきました。

このままでは、カエルくんは死んでしまいます。鳥かごの中のミツバチは言いました。「私を食べたら、きっと元気になってこの厳しい夏を乗り越えられるわ」
カエルくんは言いました。
「駄目だ、君は食べない。大切な存在だから。君のおかげで、今まで寂しくなかった。ありがとう」

そしてカエルくんはミツバチの居る鳥かごの扉を開けました。それでもミツバチは外の世界が怖いのか外に出ません。

カエルくんは言いました。
「さあ、外に出て仲間のところへ行くんだ。鳥かごの中にいても、鳥かごの外の世界にいもいつかは死んでしまう。一度しかない人生、大好きな仲間と一緒暮らして幸せになるんだ。鳥かごの外には危険もあるけど、幸せもいっぱいあるのだから。」

そう言うとカエルくんは意識を失ってしまいました。何日経ったかわかりません。石の上にいたカエルくん。ようやく意識を取り戻した。そんなカエルくんの身体の水分を生暖かい夜風が奪います。優しい月の光さえ今のカエルくんには辛いのです。カエルくんは近くの沼に這っていきます。思うように身体が動きません。

カエルくんは泣きました。でも涙が出ません。涙を流せないことがこんなに辛いとは思いませんでした。やっとの思いで、一雫の涙が出た時、口の中にとてつもなく甘いねっとりとしたものを感じました。

目を開けて見上げたカエルくは驚きました。 
なんと目の前にカエルくんが
飼っていたミツバチがたくさんのミツバチの仲間といます。手に蜂蜜を持っていて、その蜂蜜をカエルくんの口に入れています。

カエルくんは、ありがとうと言いましたが、声にはなりませんでした。そしてミツバチは蜂蜜の入った壺を残して、ミツバチの仲間夜空に消えました。

それ以来カエルくんはミツバチにあっていません。それでもカエルくんは冬眠中の暖かい部屋の中でミツバチとの思い出
を胸に素敵な夢見るのでした。

7/25/2024, 10:25:09 PM