※二次創作
※ワルロゼ(ワルイージ×ロゼッタ)
流星群を一緒に見たいと誘った相手は、泥臭い男である自分には手の届かない綺羅星の筈なのに。
彼女は胸の前で手を組んで感激した様子を見せ、三日月型に細めた目をして笑った。
付き合ってもいないのにどちらかの家(彼女の場合は天文台)で、という訳にはいかない。
当日の夜、キノコタウン付近の丘へ集った二人は挨拶もそこそこに、幾筋もの星が零れ落ちる空を見上げた。
「再びこの蒼い星から流れ星を見られたらと、ずっと夢見ていたのです」
見目好い姿からかもし出されるように、やはり何処か秘密を抱える身の上らしい。
自分が知るのはファミリーの一人としてカートやスポーツに打ち込む様相と、星の子への母性のみ。でも、一つだけ言える事があるとすれば。
――どんな彼女だって、悪党の自分から見れば全てが眩しい宝石だ。
ふと、隣の彼女を盗み見る。
両手を組み、長い睫毛の生え揃った瞼を閉じ、祈りの体勢を取っていた。
女神――と頭に漠然と浮かんで思わず息を呑む。
体勢を解き、こちらに気づいた彼女が一歩距離を詰めた。
綺麗な瞳と柔らかそうな唇との距離が近づき、心臓が高ぶった音を鳴らす。
「改めて、お誘いくださってありがとうございます。天の川で身を清めるような素晴らしい思いをしました」
「い、いや、気にすんな別に。と、ところでなに祈ってたんだ?」
どぎまぎとした己を誤魔化す形で彼は質問した。
彼女は少し眉を釣り下げた困った笑みを見せ、小さく肩を揺らす。
「ごめんなさい、言ってしまうと叶わなくなってしまうので」
「お、おうそうだな。もう少し、見てくか」
「そうですね」
やたら熱い顔が赤くなっていたらと思うと見せられやしない。
取り繕うように再び夜空を見上げる。
「また、見せてやるよ、こういう日があったら……」
「まあ、嬉しいですね」
寄越した言葉はぼそりとしていたのに、彼女はしっかり拾っていたようだ。
今度はバレたくないので、目線だけを動かして様子を窺う。
彼女の碧色の瞳に流星が走り、温かな光を放つ。
夜が似合うのにやはり眩しい人だと、彼は心の何処かで敵わないと負けた気分になった。
なのに何故だか清々しいのは、彼女が着ている涼しい色のドレスのせいだとキザな言い訳をした。
(おわり)
4/26/2023, 5:30:45 AM