クジラになりたいイルカ

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プレゼント____




記憶上、初めて家族に

気を使ったことを覚えている。

それは、5歳のクリスマスの日だった。


『サンタへ。かわいいおうちをください』

私は、そう手紙を書きツリーの靴下の中へ入れた。

そして眠りにつくギリギリまでニヤニヤしていた。


朝起きると、私は出窓の方の空き地をみた。

でも、そこには家も何もなかった。

あれ?と思い他の窓の外も見る。

でも、海外のお姫様みたいなお屋敷のお家は

1つもなかった。


あったのはツリーのしたにあるプレゼント。

「イルカ、開けてみ」

そう、父が言った。

私は、どうしてお家がないのか、

と不思議に思いながら、

ラッピングされたプレゼントをビリビリと破く。


中に入っていたのはキッズテントだった。

周りは動物や花が描かれていて、

森の中の小屋のようだった。


「わぁー!やったー!」

私は私にできる最大限の笑顔を作り、喜んだ。



『チッ、本物の家じゃないのかよ』

と正直、心の中で思っていた。





次のクリスマス……

『今年は車にしてやるか』

ツリーの下にはトミカがあった。



12/23/2022, 10:40:00 AM