coniHz🐋

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仕事の帰り道の途中に
小さな公園がある。

一日、誰かの身体に触れた後
まっすぐ家には帰らない。



夜の公園はとても静かだ。

昼のざわめきが消えて
鉄の匂いと、少し湿った土の気配。
街頭の、わずかな灯り。

ブランコに腰を下ろし
冷たい鎖を握る。

揺れる、というのは
決めきらない、ということ。

前にいくときは
「今日もよくやったね」と
未来へ渡す。

後ろに戻るときは
「ここまで来たな」と
過去を撫でる。

どちらも本当で
どちらも途中。

いちばん高いところで
一瞬、無音になる。
世界が止まる。

街の音も
誰かの期待も
自分の役割も
ふっと遠のく。

その瞬間
私は、夜の一部になる。

私は、誰でもない私に戻る。

強く蹴らなくても
高く上がらなくても
それでも、ちゃんと深くゆれる。

ブランコは
前に進むための道具じゃない

揺れを味わう
余分なものを落とすための装置。

だから、今日も少しだけ
揺れて帰る。

どこにも行かない。
ちゃんと戻るよ。

私のもとへ。

#ブランコ

2/28/2026, 7:48:49 AM