杏奈

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桜がハラハラと舞う小学三年生のクラス替えのすぐ、木の影に立つ私の肩をトントンと叩いて、「おはよう」と声をかけてくれたクラスメートの男の子に恋をした。春の匂いはその思い出を呼び起こす。

桜がハラハラと舞う頃の中学二年生のクラス替えの時、こちらを見て少年のように笑う、性格の悪そうな男子を好きになった。春の匂いはその思い出を呼び起こす。

高校生になって、ワイワイ遊ぶのが楽しい、大好きな女の子の友達ができた。その子とお花見をした。もう一年目の春頃には、隣にいて欲しい、大好き、誰かの物にならないで欲しい、と思う程、大好きな友達になった。私の今の春の匂いの思い出は、その友達との思い出だ。

恋や愛なんて永遠じゃないから。それが怖いと思う程大好きになれる人が現れるなんて思わなかった。失うのが怖いけど、これがどんな気持ちなのかもわからない。何年先でも、ずっと一緒にお花見しているのかな。それとも、何年かしたら、私はまた新しく春の記憶を塗り替える程、大好きで恋焦がれる経験を、春のドキドキを、誰かに感じるのかな。

昔のような新鮮なドキドキをまた感じたくなる一方、今のよくわからないけどとりあえず大好きで一緒に居たい人を、誰かに取られたくない、過去の仲良しにしたくない、ずっと2人の幸せな時間が続けばいいのに。と思ってしまう気持ちもある。

私は数年後の桜が散る頃、どんな人間関係で、誰を想って、どんな気持ちでいるのかな。

「桜散る」

4/17/2024, 1:07:55 PM