「スイマーの力」
とある学校の水泳部での出来事。
「皆ー!みかん持ってきたよ」
水泳部員達は、部員の一人の周りに集まりました。
「はい、一人一個ずつ」
「僕のもありますか?」
少年はみかんを持って来た部員に言いました。
「あんたにあげるわけ無いじゃん」
部員はそう言うと少年にそっぽを向き、
部員達にみかんを配り始めました。
少年はイジメに遭っていました。
「オイ、お前。俺のタイムを抜いただろ」
少年は先輩にそう言われると、先輩に殴られ始めました。
授業中は不良達に物を投げつけられる為、
授業に集中が出来ません。
少年は成績が悪かったので、
周りの人から馬鹿にされる日々を送っていました。
「オイ、馬鹿が教科書持って歩いてるぜ」
「トモダチに持たされてんじゃねーの?」
「そいつら、馬鹿の事友達だなんて思ってねーよ」
周りには笑い者にされる…
少年は、そんな言葉を毎日の様に聞かされていました。
少年は学校に行きたくないって思っていましたが、
親によって無理矢理行かされていました。
「それ位、我慢しろ」
「学校へ行きなさい」
少年の親はそれしか言いませんでした。
ある日、少年は水泳大会に出場する事になりました。
少年は飛び込み台に立つと、
油が塗ってあったのか
滑ってプールに落ちてしまいました。
部員、教師、観客の生徒…
その場に居た少年以外の人間全員が大笑いしました。
その事が引き金になったのか、
少年は電車の踏切に入り、自殺しました。
少年の葬儀に来た同級生達は、
少年の家で大暴れを仕出しました。
家財道具は全て壊され、
少年の部屋は見るも無惨にボロボロになりました。
少年の家族は学校に訴訟を起こしましたが、
訴えは届きませんでした。
少年の骨は土に廻り、雨に流され、川に辿り着き、
海へと流れて行きました。
「人間なんて悪者だ!
人間なんて消えてしまえば良いんだ!」
海の生き物達はその声で大きな円を書くように
ぐるぐると泳ぎ出しました。
いくつもの小さな波が集まり、
大きな津波になって、
少年が生きてた土地へと押し寄せました。
その土地は津波に飲まれてしまい、
大きな被害を出し、
少年の学校の
少年をイジメていた生徒と教師全員は
全員亡くなってしまいました。
少年を始めとする海の生き物達は
母なる海へと帰って行きました。
11/7/2021, 1:38:29 PM