朱芥

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私にとって貴方はとても輝いてみえた。
誰にでも優しく、あたたかく平等に接する貴方は私の理想だった。
困っている人がいたら助ける。怒っている人がいればさり気なく相談にのる。悩んでいる人には寄り添ってあげる。善を体現するような人だった。
私はそんな貴方に魅入られ焦がれてしまった。

そんな貴方がある日、私に声をかけてくれた。
周りの人と同様にあたたかく優しい言葉を。
曰く気になっていたんだそうだ。
私は貴方の平等の一部になったのだと思った。
しかし貴方は翌日も、そのまた翌日も飽きることなく毎日毎日話しかけてくる。やれ好きなものはなんだ。嫌いなものは。因みに自分は赤が好きだと聞いてもいないのに貴方は私に教えてくれる。
明日も明後日も明々後日も。飽きることなく毎日毎日。
嬉しくて、楽しくて、哀しかった。
貴方とのお話は真綿で首を絞められるかのような優しいやさしいあたたかさだった。
苦しかった。
私のせいで平等に接する貴方は失われる。私と話しをするたびに焦がれたあなたが消えてゆく。
-許せない-
ふと脳裏によぎるあの女と同じ言葉。
赤と白と黄色にまみれたあの部屋を思い出した。
輝きが失われるくらいなら。
私はナイフを振りかぶる。
温かい肉を突き破り貴方の好きな赤が広がった。
これで焦がれた貴方は損なわれない。
あの女の時とは違いこれは私の為の行いだ。
空をみあげる。
あの日も星が溢れるような夜だった。

3/15/2026, 3:11:04 PM