落下
地上にいたはずなのに
気付けば遥か下の真っ暗な穴倉に
落っこちていた
うーん またか
そう、これは夢
数ヶ月に一回のペースで
必ず僕はここへやってくる
最初は暗闇なのだが
目が慣れてくると少しずつ
周りの様子がわかってくる
今日は、金平糖のような星屑のような
手のひらくらいの大きさの物体が
あちらこちらに転がっているようだ
よく見ると鈍く光っている
どことなく可愛らしく見えたそれを拾ってみた
…思いの外、温かかったので
そっと胸に抱いてみる
すると、可愛らしい星は輝きを増して、
宙に浮かび、地上の方向へ
ゆっくりと飛んでいった
なんだか優しいような愛おしいような気持ちになった僕は、沢山のその子たちを夢中になって空へ放ち始めた。
ふっと我に帰った時、
上空には小さくなった星たちでいっぱいで…
僕の左目からひとすじ 涙が静かに流れた
ここは穴の中ではなくて…
日の沈んだ静寂の時…
夜…
6/18/2024, 9:30:35 PM