ふとスマホを弄ってたら、画面の上からバナーが出てきた。彼氏からのLINEだ。
『話したいことがあるんだけど、時間ある?』
しばらくバナーが消えるまでぼうっと眺めた。正直、どう返信すればいいのか、すぐに既読をつけたくもないくらい気が重い。彼と大喧嘩して1週間経つ。きっかけはほんの些細なこと。それが今まで蓄積した不満がお互いに爆発して沢山酷い言葉で傷つけあってしまった。終いには「あんたなんか消えちまえ!」って怒鳴ってた。
数日経って冷静になれたけど、どんな顔を向けて謝ればいいのか、プライドが邪魔をしてズルズルと今日まで連絡も出来ずにいた。だから、話したいことは別れ話なのだろう。今まで沢山迷惑を掛けてるから、愛想を尽かされてもおかしくないくらいだ。別れたくないけど、そんな都合よく事態が良くなるわけないのは承知だ。
バナーをタップしてLINEのトーク画面が映る。文字を入力している時間が、いつもより長く感じる。どう返信しようか悩む必要なんてないのに悩んで、ようやく文ができた。私は送信ボタンを押す。
『いいよ。通話で話さない?』
シュポンッと鳴った瞬間に既読がついた。「あっ」、気づいた時には着信画面に切り替わっていた。待っていたんだ。身体の強ばりが和らいだ気がして、躊躇わず応答ボタンをスライドさせた。
9/2/2023, 10:43:26 AM