勉強が出来て、スポーツが出来て、素直で、負けず嫌いで、プライドが高くて、潔癖症で、基本愛想がなくて人に興味がない。特徴を挙げようとすると、人として悪いところばかり出てくるが、どこか惹かれていた。お世辞や陰口を巧みに使い分ける八方美人がうまくやっていける世の中で、1人いつまでも子供みたいに真っすぐ純粋無垢、要領良いはずなのにある意味不器用なところが魅力的に思えた。こんな人いないって。
なのに、どこにでもいるような奴に懐き始めた。どっこにでもいる八方美人に。そいつと話している時は見たことないくらい笑顔で、見えないはずの尻尾が見えた。そんな奴じゃなかっただろってがっかりした。ムカついた。ムカついたから、アイツにもムカつかせたかった。もはやキモがらせたかった。誰彼構わず加害する趣味はないし、他人に嫌われないほうが生きやすいのは知っている。でもアイツには嫌われていたい。キモいって思われたい。リイにとって一番気色の悪い存在になりたい。
本当にたったそれだけの話だから、そんな訝しげに見ないでよ。どこにでもいる八方美人とか思って悪かったからー。
10/3/2025, 2:10:18 PM