突然の雨。ほとんどの学生が鞄を頭に乗せて走り出している。
けれど、目の前にいる貴方だけは、鞄から綺麗に折り畳まれた傘を取り出している。
私は、鞄を開けるのを止めて貴方の背を追った。
「傘忘れちゃったんだ。入れてもらってもいい?」
そう問いかけると、貴方はにこっと笑った。
「これ、使って。そういう人がいるかと思って、もう一本持っているんだ。」
そう言いながら、貴方は鞄から別の傘を取り出して私に手渡した。
「ありがとう…」
優しいけれど、そうじゃない。
私は鞄を開けて、最近買ったばかりの真新しい傘を取り出した。
【相合傘】
6/19/2023, 11:43:49 AM