筑紫菜月

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雨に佇む


手を広げ
落ちてくる雨を受けとめながら歩いた

やっと降ってきた雨は
泣けない私の涙みたいで

泣いているつもりになって
落ちてくる涙をぬぐいもせず
天を仰いだ

心が麻痺しているのなら
悲しみも苦しみも感じないはずだ
なのに
悲しすぎて可笑しかった
どうどうと雨は流れた

部屋に入りなさいと言われたけれど
私は泣きたかった

雨に打たれ
雨に佇む

服は濡れたけど
心は乾いたまま
風邪をひいたのは
心だった

たまに人のことで泣くときがあるけれど
自分の悲しみでは泣けない

豪雨が来ると
ああ
私の悲しみが氾濫していると思う

泣けない私の悲しみが
繰り返し降ってくる

悲しみはおそろしい

ポツポツと降ってくる雨に踊る

薬じゃ悲しみは癒えない
心は誰にも救えない

強く
強く
抱きしめてほしくて

ずっと雨を待っていた

ポツポツと降ってくる雨に佇む
為す術もなく
雨に佇む
















































8/28/2024, 12:27:24 AM