山田紅輔

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 あれは小三の時、理科の授業のことだ。
 それまで蝶の名前など殆ど知らず、
 初めて聞く名前だった。
 今まで虫は恐れ嫌う対象でしかなかったが、
 その白い羽に目を取られていた。
 新しい発見に対する好奇心さえ生まれた。
 だが、その心とともに、幼虫の姿を見て興が冷めて
 いくのも感じた。
 また、キャベツの葉を齧ると聞き、敵意が芽生えて
 いくのも感じた。
 もっとも、当時は言葉にできなかったが。
 今思えば本当に不思議な感覚だなと思う。

5/10/2024, 2:30:11 PM