彼女は初恋、と言った──
僕にとっては何度目かの恋だった
けど、“初めて”の恋だった
僕だって恋多き男ではないけど
初めて僕のが経験が明らかに上だった
「こんな時、どうすればいい?」
彼女に言われ、戸惑う僕
初恋、の時ですらなかったこと
手繋ぎ一つですら
悩んだ
“もう少し一緒にいたい”
そう告げるタイミングも悩んだ
一度、落とし物を拾おうとして
顔が近くにあった時
彼女の反応が……高級ワイングラスのように感じたから
下手に触れると壊れてしまいそうな……
手を繋ぐまで、3ヶ月
マンガみたいな彼女に
僕は夢中になった
高級ワイングラスを割らずに
ワインを注ぐように
口付けて飲み干すように
──そして、今日
僕はワインを飲み干し
中に花を咲かせ始める──
(2023.06.25/繊細な花)
6/25/2023, 11:35:29 AM