NoName

Open App

15歳の春、高校の入学式を迎えた私に

憧れの制服に身を包み、希望に道溢れ、不安もありものの期待は大きく、だからこそ今でも鮮明に覚えている。

講堂での式の記憶は曖昧。だが、1年7組の教室のざわざわした雰囲気は、いまでもすぐにタイムスリップできる。

出席番号の順に並んだ席。男子は左手から。女子は右側。私の席は教室のど真ん中!

右側にはtーちゃん。今でもお付き合いしている高校時代の1番の友人。明るい声でよくしゃべる。すぐに仲良くなった。後ろはkちゃん。この子もよくしゃべり、かつ意見を臆することなく言う。頭の良さそうな子ばかりだ。

そして1番気になるのは、私の左側の男子。入学第一日目だというのに、ずっと机につっぷして寝ている。だから顔は見えない。

名前が呼ばれて、各自前に出て、何かを受け取りに行った。やっと級友たちの顔をチェックできる。寝ていた彼もヨロヨロと起きて、その後ろ姿を見送る。そして彼が振り返った。

その瞬間、私は恋に墜ちたのだと思う。
なんと可愛らしい甘いマスク。
彼との出会いの日。

1番戻りたい過去。
ここからやり直せたなら。
でもきっと、また同じなのだろう。
あの頃とちっとも変わらない、私の心根。


担任は数学教師。
毎朝のホームルームで数学のミニテスト。
一問のみ。習いたての因数分解。
私が頑張れたのは1年の1学期まで。
授業のスピードが速くて、
私の理解などお構い無し。

高校生活の期待はすぐに下降線。
得意の英語も乱気流。

あの頃は毎日何を頑張っていたのか?
仲良しはすぐにできた。
男子とも話せる。彼ともチラチラっと話した。
家が近くとわかり、一緒に帰ろう!などと気楽に声をかけてくる。だけど、ついぞ一度もそうはならなかった。

5/24/2024, 1:35:51 PM