「月が綺麗ですね。」
秋も深まり、冬すらも感じられる気温だというのに頭から火が出そう。たくさんの時間をかけてやっと絞り出した言葉。好きですって、それだけなのに、好意を伝えるのですら他人の言葉を借りないとできない。
不安で不安でどんな顔をしているのか気になるのに、暗くてよく見えない。
「えっと、その、」
雲が動いて月が見える。今日は満月かな。
月明かりに照らされた君の顔はとても困っていた。
血の気が引くのがわかった。さっきまでの熱さはどこかへいってしまった。今度は冷や汗が止まらない。
「満月かな。雲少なくてよく見えるね。」
「そうだね。」
ほっと胸を撫で下ろしているのがわかった。安心したような顔しないでよ。
誤魔化せるような言葉で伝えた私は臆病だ。
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3/8/2026, 1:05:11 AM