泣いても笑っても最後の選択だ。
君は何を望む? 何をつかむ?
「おれは、それでもクロさんと帰るんだ! 明日みんなで笑うために」
おれはそう決めるとコートを雨よけのように、頭上に掲げて走りはじめる。
最早それは数えることも出来ず、黒い雨のようにあなたへと降り注ぎ、その皮膚を貫き、溶かしていく。
痛い、熱いーー
苦痛に顔を歪めながらも、あなたは走る足を止めないだろう。
眼前の醜悪な祭壇にたどり着いた途端、安堵からかがくっと崩れ落ちた。
否、あなたの足が溶け落ちたのだ。
足元が赤黒く染まっていく。
その血によって、祭壇はその役目を果たそうとしはじめる。
産声がいまーー
「させるかああああああ」
近場にあった、液体をたたえる杯のようなものを壊し、クロを祭壇から引き剥がす。
穴が空き、溶けかけの腕がミチリと嫌な音を立てる。
それでもあなたは祭壇から切り離すことに成功した。
しかし最早限界だった。
その手に命の鼓動を感じながら、あなたは意識を手放すでしょう。
「...う、ここは? っ!? ましろ!? なんで? こんな」
意識を取り戻したあなたの目の前に、あなたを力なく抱いたまま地に伏せるましろの姿があった。
かろうじてあなたの知る姿ではあるが、その皮膚は溶け、変色し、至るところに穴を作っている。
吹き出す血が止まらない。
「呪文を使う」
あなたは即座に判断する。
そうしなければ、庭崎ましろは死んでしまう。
沈黙した祭壇にあなたは向き直る。
その口から紡がれるのは、
「いあ いあ」
先程自分を捉え、捧げた男が唱えたものとは別の呪文。
あなたが研究室で見つけた呪文を唱え終わる。
光が空間を埋め尽くす。
「今回は面白いものを見せてもらえた。サービスだ。記憶と引き換えに戻してやろう」
その声と共にあなた達の運命のダイスが振られる。
ましろ:3 クロ:4
ああ、なるほど。
あなた達はーー
「さて、このシーンで終わりなんだけど。何かやりたいことある?」
「いや無いね。満足した」
「ぼくもいいかなー。やりたいこと全部やったし」
「おっけ。では、これにてクトゥルフTRPG終了です」
「「「お疲れ様でした!!!」」」
お題:終わりにしよう
7/15/2023, 9:30:06 PM