荷物は、自分に必要なものだけを詰め込んだ手提げカバン一つ。
生まれ故郷を旅立つ理由は、特になかった。
ただ、新しい世界が見てみたい。
色んな人と話してみたい。
そんな、ちっぽけな理由だ。
こんな日に限って、空は冷たい雨を降らせている。
気分は当然上がらないが、だからと言って今更この足を止める理由はない。
生まれ故郷を離れて、遠くの街へ。
大人になったヒナが、巣から飛び立ち、広い大空に飛び立つように。
僕は、遠くの街へと向かう切符を手に、列車に乗り込んだ。
2/28/2024, 10:27:43 PM