ぺんぎん

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いつかきみとはじめて手をつないだ街、に向かって、そこらじゅうの空気を抱きしめてはたと気づく、ぼくのなかで秋のにおいはきみのにおいだったのだと。きみは、ぼくの人生のなかの、金木犀のようなひとだった。記憶のすきまにするっと入ってきて、ぼくを呼びさますもの。ぼくはそのにおいを嗅ぐたびに、もう二度と、きみを忘れることはできないということに気づき、胸が張り裂けそうになるのだろう。

10/6/2023, 1:43:57 PM