はるかぜ

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手を離した、その呆気なさに愕然とする

一人になった途端、独りにされた途端
夕焼けに追い立てられるように
走る、はしる、

夕日に焼き尽くされた街はまるで戦場のようで

机上でしか生きられない
いつかの時代のどこかの誰か
悲痛な叫びが、脳裏を過ぎる

戦争にロマンスを見いだせるなんて滑稽だ
それでも、命は散り際こそ美しいと
消耗品に成り下がった、尊かったものたち

誰かが生きるために駆けたかもしれない
怒号と悲鳴と泣き声と、痙攣する心臓を叱咤して

向かう道
先をゆくのは先人の影

暗闇に溶ける

やがて辿り着く
その向こう側へ

【別れ際に】

9/28/2024, 4:12:27 PM