【町の明かり】
お前と歩く夜は嫌いじゃない。
いつも一人で歩いては街頭の少なさに文句を言いたくなるような道だって、的確にお前を照らし出す豪勢なステージに化ける。
そんな戯言を抜かす俺に「バカじゃないの」なんて言って笑うお前の姿だけが金色に浮かび上がって、そしてまた闇に沈む。
俺たちはあと何度この道を歩けるのだろう。お前はあと何度光を浴びるのだろう。
こんな寂れた道では光に当たれないような俺を、お前がやがて見限るのはいつだろう。
胸の奥底に燻る感傷は丁寧にしまい込んで、今日もお前とただ歩く。
夜にしか生きられない俺に、ほんの少しだけでいいから光を浴びさせてくれ。お前の行く道に太陽が昇るその日まで。
7/8/2024, 3:02:48 PM