ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。少年が「止まれ」の信号を無視して軽やかに走った。その先は地獄の道だと、分からなかったのだろう。午前三時の暗闇じゃ到底周りは薄暗い。だけど本当にその所為だったのだろうか?何も知らずに何時までも走る姿は幼気で、迷い子そのものだ。その時間を何度も少年は繰り返した。何度も、何度も。___大人になる事から逃げていた事に気付いたのは走っていた足が思い切って階段から踏み外した、その時だった。
5/30/2022, 11:27:44 AM