狼星

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テーマ:太陽の下で #375

太陽の下で生きているはずなのに。
太陽が出ている時には起きられない少年がいました。
そういう病でした。
少年は雨や曇りの時しか起きられない。
途中で日の光が出てくると
日が出てくる前に眠気が来たり、
日が雲の合間からチラチラと顔をのぞかせるだけでも、
気絶してしまう、厄介な病でした。
少年は太陽が見てみたかった。
日の光を浴びたかった。
少年が主に活動できるのは太陽の沈んだ夜だ。
そのため、
少年は周りから『吸血鬼』と呼ばれていました。
確かに日の光に焼けることのない少年の肌は真っ白で
その白さは青白いと言っても良いくらいだった。
学校にいかなければ『不登校』だと言われ、
一歩外に出れば『吸血鬼』だと噂される。
少年は苦しかった。
太陽の下で生活している普通の人間なのに。
どうして人外扱いされるのか。
少年は悲しかった。
そしてその悲しさは少年の小さな胸を抉った。
少年は絵を描くのが好きだった。
太陽の下で少年が笑って手を広げている絵だ。
少年は追い詰められ、鬱病になった。
病院で調べたところ、
鬱病以外の病気も見つかってしまった。
それは太陽の下で生きられない
彼の病の進行が引き起こした最悪の結末だった。

彼は笑っていた。
最後の日やっと太陽を見られたから。
それもこんなにも近くで。
それは温かく、眩しかった。
温かな光りに包まれ、彼は目を閉じる。
「これが僕の欲しかったものだ」と。


※♡4500ありがとうございます

11/25/2023, 12:15:50 PM