受験生の息抜き

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赤い糸
「あ、マユミ!ごめん、遅れた」
彼氏のユウキが三十分も遅れてやってきた。
「...遅いよ。すごく待ったんだよ!?」
「あはは、ごめんごめん
 それじゃあ、ジェットコースターに乗ろうか」
ユウキは申し訳なさそうな顔もせず、
ヘラヘラと笑いながらそう提案した。
この遊園地デートを計画する時に、ジェットコースターだけはやめてほしいと伝えていたのに。
それすらも忘れられてしまったのだろうか。
「はぁ....ユウキ一人で乗ってきなよ」
呆れた顔を見せながらそう言う。
今日この日の為に、少し背伸びを髪の毛を巻いたり
新しく可愛い服を買った。
それなのに彼は何も気づいてくれない。
「え?なんで?それはないでしょ」
ユウキはヘラヘラした笑顔から一変してムスッとした顔になった。
本当に覚えてないんだ。
私はバッグの中に手を入れてハサミを取り出した。
そして、私とユウキの小指に巻き付いている赤い糸を切った。糸はスルスルと私の小指からほどけてゆく。
「もう二度と関わりたくない」
そう言い私は立ち去った。

6/30/2024, 12:05:46 PM