NoName

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初めは君のことを僕が一方的に冴えない子だなと知っているだけだった。

それから少しして委員会が同じになったり、とにかく偶然が重なり友達のひとりにはなれたはずだ。…たぶん。

そのうち君は僕の体調、家の事情、先生との関係性など気がついていてなお、聞かないでくれた。

卒業が近づいて来ると彼女と親友と呼べるくらいの仲になっていた。
心のどこかで引っかかっていた疑問を小さく漏らすと

「偶然?運命?かは分からないけど、少なくとも私はあなたに出会えて良かった。それじゃダメ?」

その一言で僕は長年味わっていた孤独が埋められていくような。体の真ん中らへんが満ち足て溢れかえるような感覚がした。




やっと彼女に伝えられると決心がつき春休みに会う約束もしたのにな。

直接言葉に出来ないけれど、どうか伝わって欲しい。そんな願いを込めた手紙はもう看護師さんに託した。

もし来世があるなら…


また会いましょう。

11/13/2023, 2:07:44 PM